第25話 二人が遊びに来た

 土曜日だ。


「こんにちは!司っち元気?」

「司くんこんにちは」

「お、おう!こんにちは。俺は元気」


 午後5時。大きな袋を提げて二人の美少女が俺の家を訪問した。


「……」


 返事をしたきり、動くことなく二人をぼーっと二人を見つめる俺を不審に思ったのか、奈々が小悪魔っぽく上目遣いで訊ねてくる。


「どうした?女の子二人が遊びにきて、緊張している?」

 

 と、制服っぽい服を着て俺を挑発する奈々。


 ちょっと離れたところから見ると、完全に高校一年生くらいの外見だ。


 奈々は目を細めて口角を微かに上げながら返事を待っている。


 本当に図星すぎて返す言葉もない。


 女の子が俺に家に遊びにきたのがこれが初めてだ。


 しかも相手は俺の彼女になった優奈と、奈々。


 レベルが違いすぎる。


 もしコミュ力抜群のイケメンだったら、怯むことなく面白い返事をして楽しく会話を続けていたのだろう。


「あ、ああ……奈々も可愛いし、そ、その……優奈も本当に綺麗だから」


「「っ!!」」


 二人が体をひくつかせて目を丸くした。


「つ、司くん……も格好いいよ」


 タータンチェックのスカートに黒いニットを着ている彼女は頬をピンク色の染めて息を弾ませていた。


 にしても、ニットって伸縮性いいから体に引っ付いて胸のラインを強調してくれるから参る。


 俺が目のやり場に困っていると、奈々がジト目を向けてきた。


「付き合ってるんだから、別にガン見しても良くない?なんなら私のもみていいよ。優奈っちよりは小さいけど」


 と、奈々が胸をむんと逸らしてドヤ顔を浮かべる。


 優奈の凶暴さと比べると圧倒的に小さいけど、常識的に考えればあれが普通だよな。


 ていうか、奈々は何見せてんだよ。


 俺は目を逸らして言う。


「……奈々、よせよ」

「ひひひ!司っち恥ずかしがっているうう」


 これは完全に主導権握られるやつだ。


 別に握られても構わないけどな。


 合コンの時にイケメン二人を困らせた女の子だ。


 俺なんかが勝てるはずがない。


 でも、


 伝えたいことがある。


「……とにかく、きてくれてありがとう。あと、奈々はこの前のパーティーに参加しなかった分、もっと楽しんでいけよ」

「え?」

「……俺の彼女をずっと助けてくれたわけだからな……ありがとうって直接伝えたかったんだけど奈々来なかったから」

「あ、う、うん……」

「ありがとう。奈々が優奈の友達で本当によかった」

「っ!!!!」

「な、奈々!?どうした?」


 さっきまで生意気な態度をとっていた奈々は急に顔を俯かせる。


 なんか調子でも悪いのかな。


 と、そんなことを思っていると、優奈が俺に飛び込んできた。


「ゆ、優奈!?」

「司くん奈々に優しい……大好き……」


 優奈が俺の頭に自分の両腕を回してそのまま自分の巨大すぎるおっぱいに俺の頭を埋める。


「ん……んんん……」

「奈々を言葉で堕とすなんて……私、初めてみた……めっちゃ盛り上がってきた……ああ、司くんの子産みたい……」


 優奈が何か喋った気がするが、優奈のおっぱいに挟まれているためあまり聞こえない。


 数十秒が過ぎて、俺はやっと解放された。


「……優奈……急にどうし……っ!」


 俺は驚いた。


 優奈は息を弾ませて俺に吸い込むような視線を送っており、奈々はピンク色の頬を自分の手でさすりながら目と口角を吊り上げる。


 好敵手を得たやんちゃな女の子のように俺をじっくり見つめてきた。


 や、やだ……


 ちょっとこの二人、めっちゃ怖い!


 俺がおどおどすると、二人は早速俺の家の中に入る。


「「」」


X X X


リビング


「へえ……ここが司っちの家ね……結構広いじゃん!」

「ま、まあ……」


 ソファーに腰掛けた奈々は不思議そうに俺の家を見回す。


 それから何か思いついたようにニッヒヒと笑って口を開く。


「こんなに広くて一人だと、エッチな動画とか見放題じゃん?」

「っ!」


 こ、この子は本当に正しいことしか言ってないから参る……


 俺が困ったように顔を下げると、優奈が俺の方にくっついた。それからぶんむくれたかのように頬を膨らませる。


「……勿体無い」

「ん?何が勿体無い?」

「なんでもない」

「……」


 優奈の言葉の意味がわからずキョトンとしている俺。


 すると、奈々がソファーから降りて、口を開ける。


「今日はいっぱい!」

 

 奈々はまた小悪魔っぽい面持ちで俺を見つめてきた。


 うん……


 なんだろう。この不安は。

 

 俺は無意識のうちに俺の隣にいる優奈に視線を向ける。


 すると、


「……」


 優奈は深海を思わせる青い目で俺の瞳をじっと見つめていた。

 

 何かを必死に我慢するような表情。


 うん……


 もっと不安になってきた。


 始まる前なのに、ちょっと



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合コンで出会った超絶美少女が昔助けた人でとんでもない地雷系女(姉はとんでもないヤンデレ)だった。 なるとし @narutoshi

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