私の灰歴史~日本・アンチテキパキ党とは?~

kayako

黒くもないが白くもない。そんな私の、『灰歴史』。



 ご存じのかたもいらっしゃるかも知れませんが、当方、ブログをやっています。

 タイトルは「日本・アンチテキパキ党」。

 あれはもう10年以上前でしょうか。あまりにもテキパキを要求されすぎる世間に非常に嫌気がさした頃、当時既にやっていたブログのタイトルを思い切って変更してしまい。

 同時にマニフェスト的な何かも作ってしまいました。

 今はほぼゲームとアニメとその他趣味もろもろしか書いていないブログですが、遥か昔にはそんな過去もあったのです……

 ブログの更新自体かなりさぼっていますが、一応現在も普通に閲覧可能であり、別に黒歴史というわけでもない。しかし堂々と人に言える過去かというとそうでもない。

 そんな私の、黒くないけど白くもない『灰歴史』が日本・アンチテキパキ党です。

(ツイッターのプロフィール欄にリンクがあります)



 当時書いたものを見てみると、まずはこんな文言が。



 ~~~~(引用始まり)


 時間厳守が何よりも重要とされる現代日本。

 この国土に生きる人々は古来より、テキパキ動くことを強要されてきた。

 テキパキ動くことが何よりの美徳とされ、時間通りに動き、正確に物事をこなすことは日本人にとって当然の常識とされてきた。

 たとえその常識が、通勤ラッシュや労働量過多などの様々なストレスの原因となったとしても、人々はテキパキを美徳とし続けている。

 テキパキを必死で守ることによって、現代日本が先進国と言われるまで急速に発展したことを、決して否定はしない。



「テキパキ行動」「テキパキお仕事」「テキパキ炊事」は、確かに正しいのだろう。テキパキ動いて非難されることなど、ここ日本においては殆どないに等しい。

 だが、



 テキパキ動こうとしても動けない

 テキパキ動こうとするとドジをやる



 そんな人々を、現代日本はどんどん置き去りにしてはいないだろうか?

 テキパキ動けない人間は、この現代日本でどう生きていくべきか? どう適応すべきなのか?

 いや、そもそも適応する必要はあるのか。

 こんな忙しい世界に無理やり適応しても、鬱病になってしまう! 過労死してしまう! だとしたらどうする? 反逆の方法はあるのか!? テキパキ強要の世界を革命する方法は!!??



 あまりに自分たちがテキパキ動きすぎた為に、日本社会は本来あるべき時間のスピードから大きく逸脱し、その結果として格差・少子化・環境破壊・通勤ラッシュ・鬱病増加・過疎化などなどの問題が今になって噴出しているのではないだろうか?

「テキパキ、テキパキ、テキパキ!」「時間厳守」「命守るより〆切守れ」がおかしいと思いながらも、時間を守るのは常識だからと誰にも言えずに黙っている人は、実は多いのではないだろうか?



 日本こそ、あのミヒャエル・エンデ「モモ」に登場する「時間泥棒」の餌食と成り果てた国ではないだろうか?



 ~~~~(引用終わり)



 読み返したら滅茶苦茶恥ずかしくなるかなぁ……

 と思いきや、滅茶苦茶共感してしまった! 当時の自分に!

 いや、小さい頃から周り中に「テキパキ動け」「きびきび働け」と言われまくって、ホントに嫌気がさしてたんです。両親も祖父母も先生も先輩も上司もみんな揃いも揃って、テキパキテキパキテキパキテキパキ……

 う、うるせぇぇえー!! テキパキ動こうと思っても出来ない奴だっているんだよ!!

 世界で最も嫌いな言葉は何かと聞かれたら間違いなく「テキパキ」だと答えるレベルには嫌いだった。

 でも、周囲はまるで「テキパキ」が最高の美徳であるようにこの言葉を崇めている。

 そういう世の中が嫌だなぁと心底感じてしまった結果、出来たのが『アンチテキパキ党』。

 党員はほぼ1名。今も昔も。

 頭に「日本」とつけたのは、この国は特にそういう傾向強いなぁと感じたせいです。



 労働者はどうしてこれほどまでに金に追われ、時間に追われなければならないのか。

 日本では何故これほどまでに時間を守ることが強要され、テキパキ動くことが美徳とされ、おっとりしておとなしい人間はここまで弾圧されなければならないのか。

 日本には、すべての人間が幸福になる権利があるという立派な法律があるんじゃなかったのか。ならば、テキパキやろうとしてもテキパキ動くことのできない人間にだってそれを適用すべきじゃないのか……

 という感じで、会社でも家でも電車でも常にこんなことばかり考えてました! 

 残業規制が厳しすぎて仕事は常に山積みだったし! 

 自分だけ仕事遅くてスケジュール管理できなくて毎日上司に業務後30分説教されたし!(勿論その時間は残業とは認められない) 

 毎年クリスマスの時期には試験強要されたし!!




 ちなみに参加資格は次の通り。

 どれか一つでも当てはまれば資格アリということにしていました。

(以下の箇条書きは全て引用。長いので適当に流し読みで結構ですw)


 ・家族・友人・同僚・上司、様々な人間から今も昔も「テキパキ動け」と言われ続けている

 ・テキパキ動いているつもりなのにそれでも言われる

 ・一気にたくさんの仕事を押し付けられるとパニクる

 ・自分はADHDもしくはADD(注意欠陥障害)ではないかと一度でも疑ったことがある(もしくは正式な診断を下されている)

 ・遅刻・寝坊常習犯だ

 ・頼まれた仕事・書類などを長期間放置してしまい、恐ろしくて誰にも相談できず今でも放置状態のまま

 ・たまの休みをとった後、会社に戻るのが恐怖(机上にたまった仕事の山が、修正の嵐が……)

 ・自分の留守中、整理の出来ていない棚を調べられて注意・お叱りを食らったことがある

 ・仕事の優先順位がつけられない

 ・一日が50時間ならいいのにとちょっとでも思ったことがある

 ・休みをとっても家でゴロゴロ、旅行なんて面倒くさい……

 ・一生懸命時間かけて家事をしたつもりなのに、何故か「最後までやってよ!」と注意を食らう

 ・日本では何故あれだけ年齢・職歴が重要視されるのか理解できない

 ・社会人になって数年たつが、時間を守ることの重要性を未だに理解できない(というか、社会人になってから時間厳守の概念に疑問を抱くようになった)

 ・「シュガー社員」に同情・共感してしまう

 ・昔は給食の残りを机の中にしまっておくような子供だった

 ・「年齢のわりには幼い」と言われたことがある

 ・オシャレをしたつもりでも「もっさりしている」「垢抜けない」などという評価をされる

 ・疑問点があると一人で考え込んでしまい、いつのまにか時間が経過してしまう

 ・どんなに注意をして作業しても必ず1、2箇所はミスっている

 ・慌てて作業をすると常識では考えられぬミスをする

 ・勉強はできたが、グループ行動や実技のできない子だった

 ・「彼氏なんて、結婚なんてまだまだ早いでしょ♪」なんて思っていたらいつの間にか適齢期をシャレにならないほど過ぎていた

 ・ヒッピー・ニート・引きこもりに憧れている(もしくは現在なっている)

 ・周りの会話のノリ・流れについていけない

 ・間違っているのは俺じゃない、世界のほうだ!!



 引用にあたり一部修正しましたが、ほぼ原文そのままです。

 項目一個一個でそれぞれ解説エッセイが書けそうなくらい色々言いたいことがあるんですが、キリがないので引用のみで。

 これ書いた当時、相当仕事でストレスたまってた覚えがある。

 ちょうど仕事がたまりすぎて、山積みになったまま放置せざるをえない状態の業務が多かったせい。連休明けも本当に嫌でしたが、有給まとめて取った後とか(年度内に取れなどと言われ、仕事山積みなのに仕方なく取らされるケースが圧倒的)マジモンの恐怖でした。

 たまった仕事の山の指摘とか本当に嫌で嫌で……自分用の棚やら引き出しやら何やら隅々まで調べられ、机の上に大量の付箋つきで乗せられていたりとかも。

 キャパ大幅超えの仕事押し付けてきた挙句、仕事残ってるのに残業規制で無理やり定刻で帰したがるオメーらが全部悪いんだよ!!と、何百回叫びたくなったか分かりません。

 残業がない・定刻で帰してくれる=ホワイト企業……なんてことはねぇ!!と心底思い知らされた。


 それにしてもこの、病的ともいえるほどの箇条書きの嵐……

 当時の自分のストレスはガチでヤバかったとしか言いようがないです。



 あと、「シュガー社員」というのは当時若干話題になった言葉ですね。

 Wikipediaによると、

『社会保険労務士の田北百樹子が提唱する、主に若者を中心とした日本的な労働価値観に反感を覚える社会人としての自覚やモラルなどの欠ける者をさす言葉』

 だそうです。

 要は「大した仕事もしていないのにすぐ会社をブラックだのパワハラだの言って、プチうつになったと言っては仕事から逃げて旅行やら何やら遊びまくっている社員」らしい。

 これが少々話題になったせいで、「この会社ブラックだ」「先輩がパワハラしてくる」「もうちょっとで鬱になりそう」という普通の愚痴すら迂闊に言えなくなった覚えが。




 そして、目標として掲げていたのが次の3項目。


 1.通勤ラッシュをなくす

 2.労働は週2回以下

 3.標準時刻を遅らせ、時間の概念を変える



 いずれも、「何言ってんだこいつ」的なものばかりです。

 はい、当時心身共に相当疲れていたしストレスまみれでした!! 仕事で追いつめられた人間の思考はこうなります!!



 まず「1.通勤ラッシュをなくす」

 具体的には「朝9時始業」の労働慣行を叩き潰す!というもの。

 9時始業の会社が半分以下になれば、地獄の通勤ラッシュはだいぶ軽減されるはず!と当時の私は考えた。

 会社がフレックス導入していたにも関わらず、何故か毎日強制朝9時始業というわけの分からん勤務形態でストレス加速しまくってたのもあるw

(出勤表の書き方が滅茶苦茶面倒だっただけでひとつもいいことがなかった。そんな会社でもネットで評判調べると何故かホワイト寄りで、さらに絶望が深まってたような)



 あと

 ・夏は朝7時の時点で気温30度以上、冬は5度以下だったら無条件で遅刻OKにする

 ・通勤時の都市部への過集中を防ぐ為、東京の高層ビルの15階から上の企業は埼玉・千葉などへ強制移転(空いた場所はそのまま住宅として使用)


 なんて記述も。早い話、朝が超絶苦手です(今も)

 しかし強制移転の話は短編小説のネタとしては面白くなる……かも、知れない?

 真面目に考えて、東京と一言で言っても会社がやたら集中している場所って中央・新宿・渋谷・品川・千代田・港区とかのごく一部で、23区内でも江戸川区とか豊島区あたりになるとガクッと減る印象。そのへんにもっと企業を分散していくだけでも違うんじゃないかとは今でも思っています。


 コロナ流行によってテレワークが導入され、通勤ラッシュについては強制的に緩和されたような気もしていますが……

 コロナが終息しても、テレワークは廃れないでほしいしもっと色々な企業が導入してほしいと思います。その分家事は若干手間になるけれども。



 そして「2.労働は週2回以下」

 これについては簡単です。ぶっちゃけ「働きたくない」。

 働かざる者食うべからずという常識をぶち壊せ! 働きたくない時まで働く必要はない! 気が向いた時に好きな職にありつき、気が向いた時に辞める、それが理想じゃないか! 週休5日制万歳!

 ……要するに、適度に働いて適度に休むが一番!と言いたかったんですけどね。

 当時の自身の労働環境がいかにヤバかったかと(ry


 今は当時と違い、キャパを大幅に超えた過度な要求をされることなく、ある程度好きに働いて好きに休めて、好きに創作活動ができていることを考えると、恵まれた環境にいるのだなぁと思います。勿論、周囲の支えがあってこそ成立している環境なんですが。



 とどめが「3.標準時刻を遅らせ、時間の概念を変える」


 突然のSF的発想。

 マジで何だコレですが、今も時々思うことがあります。

 人々がこれだけ時間がないないと常に騒いでいるのは、1分1秒が短すぎるからではないかと。本来、人に適した時間の計測方法というのはもっとゆったりしているのではないかと。

 つまり、現在計測されている月・日・時間・分・秒の計測方法を元から変えてしまえば、人はもっと余裕をもって行動できるのではないか?……という発想。

 早い話が、今3秒と感じている時間を1秒として計測しないか?というものです。現在時間で言うところの3日が経過しても、日付は1日しか経過していないことになる。

 締切が素晴らしく伸びるよ! 休暇も3倍楽しめるよ!! 

 すぐには無理でも、最初は1日に1秒→1.001秒ぐらいの誤差で標準時間を遅らせていき、最終的には「アレ?いつのまにやら一日に太陽が3回昇ってる?」という状態になっていればベスト!

 ――などという姑息な方法まで考えていた。

 いや、笑っていただいて結構です。当時の私が期限ぎりぎりの仕事でどれほど苦しんでいたかだけご理解いただければ……3倍の時間がないとあんな量こなせないよ!と毎日吐くほど悩んでた( ノД`)


 今でもこれは良いSFネタになるのではと思っていますが、どう料理するかが意外と難しい。



 ただ、当時の自分が見落としていた大事なことが一つありまして。

 それは――『人生の締切』は、伸ばせないということです。

 計測方法を変えて30歳が10歳になろうが、1日に太陽が何回落ちようが、人の寿命はそう簡単には変えられない。

 だからこそ皆、限られた時間を必死でテキパキ生きるんだろうと今では思っています。

(思えば「テキパキ動け」と言ってきたのは年配者が多かった気も)

 しかし、そうと分かってもテキパキ出来ない人間もいるのです。私のように!




 これらの文言の最後にはこんな一文が。


『世の中厳しいとはいうけれど、厳しいのならその厳しさを少しでも楽な方向へ変えていく、それが人の進化というものじゃないのか』


 これは当時苦しみ抜いた自分の、心からの叫びと言えるでしょう。

 世の中の厳しさを当たり前とせず。

 また、自分の経験した厳しさを人に押しつけず。

 厳しいならその厳しさを少しでも楽にする。実際に楽にならずとも、楽に生きられるほうへもっていく。わざわざ苦労を買うようなことはしなくてもいい。

 そんな生き方が出来たらいいな――というのは、当時も今も変わらず願っています。


 以上、私の『灰歴史』大公開でした!

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