エクストラ・オーディナリー



 extraordinary、半端ねえ! =無双 の回です、こんにちは。

 

 ノリと勢いで書いた短編「退魔OL ~派遣先で無双します~」の裏話を少し書きたいなと思います。

 このエッセイをお読みになってくださっている貴方様なら、ストレスフルな私の職場環境をお察しくださっていることと存じますが……実はそれだけではございません。


 この短編に出てくるセクハラの数々。いやもう令和だしね? とお思いの方もいらっしゃるのではと思います。

 残念ながら、長年に渡って積み上げてきた文化形成というのは厄介なもので、人の意識やバイアスというのは変わらないです。


 あれは大学三年生の時。

 珍しくサークルの飲み会に出席した私は(騒ぐお酒の席は苦手)、見知らぬメンツもたくさんいる中、端っこでちびちびとジュースを飲んでおりました。すると、傷んだ金髪で食べ方の汚い、できればお近づきになりたくないタイプの男性が、席のローテだとか言って、近くにどかっと断りもなく座りました。

 そして、いきなり周りの女性陣の年齢を聞いて回りました。私は、普通に二十一才です、と答えました。

 

「ぷっ。ハタチ以上は女じゃないよね~」


 ――ぱーどぅん?


 この一瞬でフリーズする空気感、お察しいただけますでしょうか。

 

「こないだ彼女がハタチになってさー、別れ話したら泣かれたんだよね! ぷげらっちょ!」


 ――りありー?


 まだ未熟だった私は、これにどう返せばいいか、手段がございませんでした。

 あ、周りの男子たちもドン引きですよ。大丈夫です。

 小汚い彼は、それだけ言って、ハタチより上しかいねえのかよ、と捨て台詞を吐いて去っていきました。


「えーっと、あれ、マジで言ってんの?」

 近くの男子に聞いたところ、ものっそい苦笑いで

「マジなんだよね……ほんとに十九以下としか付き合わない」

 と言っていました。


 ――くれいじー!


 彼がその後どうなったか、ものすごく知りたいですね。

 全然興味ないし、名前も知らないし、学部も違うようなのでこの一瞬だけの出会い? でしたが。

 その時はやはり多少傷つきましたね。理不尽であっても、どうでも良い人であっても、面と向かって「女として無価値」と言われること。それ自体は悪口ですから、傷つきますよね。

 今となっては「ネタをありがとう!」ですが。


 これは非常に強烈な一例ですが、日々働き、社内外問わずいろいろな人と接していると、なかなか根底意識にへばりついているものというのは変わらないのだなあと思うことが多々あります。

 

 例えばうちのパワハラ部長。飲みの席では必ず

「おい、えーじゅん、いいか、女はなあ」


 ※パリピ課長が名付けた私のニックネームは、この人が社内中に広めている。今では、知らない人にも呼ばれる。


「絶対二人以上子供を産め! 人口維持に貢献しろ!」


 ――ぱーどぅん?


「俺はデキ婚だったぞ。今からでもだいじょうぶだ!」


 ――なにが?


 とかね。

 

 

 初めて接する業者のおじさん。

 電話会議で初めて会うと(私の名前は中性的)、今までメールでは殊勝な感じだったのに

「あなたがえーじゅさん? あなたさあ、急にこまるんだよねえ」

 と態度と口調が変わる。

 

 こちらの要求は理不尽じゃないし、なんならあなたが資料見落としてましたよね。

 でもそれを責めても仕方がないので、ここをこうしたら期日に間に合うんじゃ? でもお値段据え置きでお願いしますね、と言うと

「いやあ、その分工数かかりますしねえ」

 と言ってくる。うん、こちらの不備なら払うけど、そちらの不備だよね? と言おうとしたところで、前の会議が長引いて遅れてインするパリピ課長。

 

「どうも! パリピです! お世話様です、遅れてごめんなさい。前の会議が長引いておりましてー」

「お世話になっております! はい、もう、●●日までにやらしていただきますんで!」

「発注金額変更なしで良いですよね、がんばってくださいね(パリピスマイル)」

「はい!」


 ――ぱーどぅん?


「かちょー……私ちゃんとやったのにー」

「うんうん、知ってる! 昭和のおじさんだからさ!」

「慰めになってないっす」

「てへへー。チョコ食べる?」

 

 である。食べる。――太る。

 


 まあ女性の立場だけじゃなく、男性の立場にもいろいろありますし、目につきます。

 パワハラ部長は特に体育会系なので、そんな情けない声出すんじゃねえ! ゴリ押しだ! とか、お前、俺が帰ってくる前に帰るな! とかね。いや仕事終わったら普通に帰るよ定時だよ、です。


 そんなこんな、色々なハラスメントと闘いながら、みなさん毎日がんばっていますね!

 全部、叩き斬ってやるぜええええ!

 というエールをこめて。勢いのまま書きなぐったのが、無双OLでした。

 

 短編にチャレンジしたのはこれが二回目です。

 最初の作品は「グングニルは、果てない夢を見る」という「薔薇魔女」のスピンオフでした。

 そこから半年経って、書いてみたのが無双OLなわけですが、1万字っていうと結構余裕ありそうで短いですね!

 私は物書き初心者(お尻に卵の殻が半分くっついている)なので、これは起承転結、いや序破急を意識するべし、とだけ決めて。


 あとは「あんなこといいな~できたらいいな~あんなカフェ、こんな猫、いっぱいあるけど~」です。


 ご都合展開上等、爽快感を大事にしてみました。

 楽しかった! と言っていただけて、とっても嬉しいです!

 

 見た目と態度は真面目な、黒髪ストレートヘアの大和撫子OLが、実は口汚くてめちゃくちゃ強い。

 楽しすぎました。二神と蓮花って発展するのかな。光晴さん、どういう経緯でねこしょカフェに来たのか。そもそも蓮花、なんで退魔師になったのか。

 色々考えてありますので、また気が向いたら、書きたいと思っています。


 ここまでお読み頂き、ありがとうございました!

 

 

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