スカー・フォー・リビング

アルティメット バブリー！

　Ultimate Bubbly!　の回ですこんにちは。

　本当はスペンダーとかハイローラーの方がしっくりきますが、分かりづらいのであえて和製英語ですみません。（英語のBubblyはポジティブな意味です！）

　皆様は、バブル時代ってご存じでしょうか？　1985年から1991年のことらしいです。

　某高校ダンス部の動画や、お笑い芸人のノラさんが有名ですね。

　なぜその話をしたかというと、うちの会社にまさにその時代そのものの女性がいらっしゃるのです。仮でバブルさんとお呼びしましょう。おそらくアラフィフです。

「あの頃は毎晩踊ってたし、お金なんか払ったことない」

　などと、ドヤッてされました。よく分かりませんが、バブリーですね。

　しかもアルティメット（究極な）です。なんでかと言うと――

　財布はシャ●ル

　首にはティ●ァニーのオープンハート

　時計と指輪はカルティ●

　ダウンはモンク●ール

　はいっ、せーのっ！

「バブリーーーーーー！！！！！」

　叫んでいただけましたでしょうか？

　いやー、すごいですね。

　常にマツエク二百本（予想）、ぴかぴかジェルネイル、高級ハンドクリームをぬりぬりな彼女は、役職ありの独身でいらっしゃいます。

　女子力高く、常におしゃれには気を遣い、メイクもパーフェクト。趣味はピラティスです。

　国内出張たまたまホテルが一緒になった、隣の部署のお姉さんが、朝食でドすっぴんなバブルさんに会って――とても表現できないって言ってました。油断バブルさん、恐るべしです。

　んでこのバブルさん。

　怖いんです。

　いや何が怖いって、私のことを呼ぶとき「あんたさあ」です。うちの会社、パワハラ研修必須なはずだけどな？　あれえ？

　まあ私はヘッポコなので、よしとしましょう。

　次に、仕事ができない。まあできない。人のことをあんまり言いたくはないけども、そういうレベルではないのです。

　例を言いますね。

　ある日のこと、バブルさんが出した書類を、半泣きで経理の人が持ってきたので、たまたま居た私が受けまして。

「ねえエイジュさん……日本円で小数点二桁って、どうやって払うの？涙」

　オーウ、それなんてＪＰＹ？　ホワーイ？

　おまけに再提出は「これでいいんでしょ！　フンッ」て紙をデスクに投げ捨てていった挙句（ちゃんと手渡ししましょうね）、よくよく見たらば通貨がＵＳＤに変わっていて、おかげさまでお支払いが億単位です。

　まてまてーーーえい！　会社潰れるぅーーーーー！

　そんなバブルさん、最もすごいのが「マウンティング」です。

　私、あんまり人にマウンティングってされたことがなくてですね、鈍感でした。

「あたしの方ができるし」「エイジュの知識って、所詮に（・）わ（・）か（・）でしょ」「それ、いつの話？　今はこっちがメインだけど」「まだ英語しゃべれないの？　ぷーくすくす」

　なんて、発言の度に言われておりました。へーへーほーへーの術です。さすがに「イフ関数って知ってる？」てドヤ顔で言われた時には、コーヒーを吹きかけましたけども。ええ。便利ですよネーて言っておきました。

　そしたら、パリピ課長がある日

「えーじゅん……あのさ……席替えしようね」

　とボソボソ言うわけです。

　課長ったら、いつもオフィスの端から端まで響くデカボイスのくせに、今日ちっさいね？　まあ、気分転換も大事だなーと思ってニコニコしておりました。

　で、あとから聞いたことには――他部署の人々が、よくうちの部署に質問に来られんですね。提出書類どう書くの？　申請書どこ？　とかそんな感じの。皆さん、バブルさんが怖すぎて、かつ意味不明な回答のため、バブルさんの席を越えて私のところに来るのです……それが猛烈に気に食わないと。

　いや知らんがな！　しかもそれを「贔屓すんな」って人事に苦情言うとか、ちょっと意味が分からない。いいから仕事しろ。してくれ。してください。（三段活用）

　とにかくもう、私の行動全てが、お気に召さない。

　会社にお弁当を作っていって、誰かがそれを褒めてくださると「冷凍食品ばっかじゃん」と言われ「そっすねー、でも最近のうまいっすよ」と返し。

　ピアスや髪形が可愛いと褒められたなら「それオモチャっぽくない？」「髪傷んでんじゃん」と言われ「あー、貧乏ですませーん」「トリートメント代欲しい……かちょおー！　ボウナスプリーズ！」とかやってたら、また怒られる毎日。ボーナスはくれないし、理不尽だ。なるべく明るく生きておるのに。なぜじゃ。

　いやほんと、どうしたらご満足？

　と思って探っていたらばですね、暗に「手下になれ」と言われましたよ。

　手下？

　手下？？？？

　てーしーたー？？？　ホワーーーッツ？？？？

　ちょっと何言ってるか分からないんですけど……

　でもねえ、そんなバブルさんの栄光？　も長くは続かないんですよ。（手下の件は、アハハーって生温かい笑顔でスルーしときましたよ！）

　断られたのが気に食わなかったのでしょう、非常に私に対して攻撃的になりました。私はまだいいけれど、バブルさんの補助（だってお仕事が壊滅的だから）に～と来ていただいた派遣さん達が、連続で十人、契約更新を断っていかれました。みんな一か月でいなくなるから、お名前覚えられなかったです。アルティメットレコードおめでとー。人事が泣いてた。

　さて。強気に出てもダメなら、次は何をすると思いますか？

　答え。泣き落としです。

　海外から、偉い人がたまに出張でうちのオフィスに来ると、みんな元気？　ってことで、一対一の面談ぽいことをしてくれます。

　なんでも話していいよ、困ったこととかある？　ってニコニコ聞かれるけど、とても言えない日本人な私。けれどバブルさんはやはり一味違った。

　職場でどれだけ自分が理不尽な目に合っていて、辛い思いをしていることか。こんなに一生懸命やっているのに、評価もしてくれない！　とヨヨヨと泣きわめくわけです。

　さすがに、そんな辛い思いをされていたのね……なんて一瞬思った私。

　ですがどうやらバブルさん、会社のお偉い人とネンゴロなご関係になることでのし上がってきたようで、気にしなくていーよー、泣き落とし＝スポンサー探しだよーってパリピ課長にのほほんと言われたこの衝撃。皆様へも共有させていただきます。

　はいっ、せーのっ！

「バブリーーーーーー！！！！！」

　いや今時ある？　そんなことある？？

　まあ好きに生きたらいいよ……と最近は思っています。

　そんなバブルさんも、どうやら焦ってきたらしく。最近始めたそうですよ、婚活。コンカツ。トンカツじゃないよ。

　みんなー！　今なら結婚できるかもよーーーーーー！　年収きゅうひゃくまん以上ならって言ってたよー！

　どうぞどうぞ、お幸せに。心から願っております。ほんとだよ。

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　お読みくださり、ありがとうございました。

　明るく書いてはおりますが、やはり心のダメージが深い時もございます。

　人のふり見て我がふり直せ。

　他人を威嚇するような態度や言動、また頭ごなしに否定するようなことはしないように、重々気を付けよう、と心がける毎日です。