第33話 出航!

 朝、ラズから鞘に入ったミスリルの剣と鞘、剣を腰につけるためのベルト2つを手渡された。


「マスター、鍛治能力向上のおかけで前より作業が早く出来るようになりました。そのうえ品質も向上したみたいです! なので、前のミスリルの剣をアンナさんにあげてください。こちらはマスターがお使いください!」


「おぉ! そうなんだ! 了解だよ。じゃあ前の剣を……おぉ鞘、ピッタリだね! しかも鞘の装飾もそれぞれ違うんだ。ありがとうラズ! こっちの新しいのは、俺が使わせてもらうね」


「はい! 拠点が出来たら、僕も着いて行って、アンナさんのサイズ測らせてもらいますね!」


「はいよ。その時は頼むね」


「お任せください!」


 グッと両手を胸の前で握るラズ。

 

 その後、みんなに見送られながら、俺とせっちゃんは宿に転移した。


「おはよー、今日も準備バッチリだね。あとこれ」


「おはようございます……」


「あれ? どうしたの?」


「……」


「おーい、アンナー」


「ッ! こんな見事な装飾見たことがなく、見惚れていました」


「ふっふっふ、そうかそうか! ラズの腕は物凄いからね!」


「本当に見事です。まるでドワーフ族が作った最高品のようです」


「そうだよ?」


「え?」


「あれ? 言ってなかった? ラズはドワーフだよ」


「……」


「あれ? アンナー?」


 アンナはそのままベッドに倒れてしまった。


「えええ!? ちょ! アンナ! アンナー!」


 白目を剥いたアンナは、揺すっても声をかけても、しばらく起きなかった。


「……ハッ!? あ、シゲオ様来ていたのですね。おはようございます」


「記憶が飛んでる!? そこまでの品だったのか……」


「……あれ? この剣いつの間に?」


「これは思い出させた方がいいのか、忘れたままの方がいいのか悩むな……」


「ッ!? そうでした! ドワーフの最高品! な、な、なななな」


「お、落ち着いてアンナ! 大丈夫、大丈夫だからね?」


 俺もどうしていいか分からず、そっとアンナをハグした。


 なななと言っていたアンナも、ハグされて、固まっていた。


 しばらくそうしていると、アンナの力も抜け、落ち着いてきたようだ。


「シ、シゲオ様、も、もう大丈夫です」


「お、おう。落ち着いて良かった。でも、もうアンナは俺達の仲間だからさ、受け取ってね」


「いえいえいえ、私は奴隷ですよ? 仲間なんてそんな……」


「この世界の常識からは逸脱してるかもだけど、みんなアンナのこと仲間だって思ってしまっているからね。もう諦めて、受け入れて。というか、もうその選択肢しかないけどね」


「……す、すみません。ありがとうございます……」


 アンナは、目を潤ませていた。


「よし! じゃあ、今日は商業ギルドに行って、船賃確保しに行く予定だよ。売り物は、コショウ、砂糖、ミスリルインゴット。どうかな?」


「こ、こんなに……そ、そうですね。砂糖は何かに入っているようですね……」


「そうだね。砂糖はギルドにある魔道具か壺に入れてもらおうかと思ってるよ」


「そうなのですね。それにコショウとミスリル……これだけあれば、金貨数百枚になりそうな気がしますね……」


「なら十分、船賃になりそうだね!」


「シゲオ様多すぎます……昨日、宿の主人に聞いたところ、3人で戦闘もできるなら金貨3枚もあれば足りるって言ってました」


「あれ? そんな安いんだ? じゃあ、インゴット以外を売っちゃおうか」

 

「それでも多い気がしますが……分かりました」


「うんうん、じゃあ商業ギルド行こうか。場所わかる?」


「はい。船の予約も商業ギルドでするようですので、昨日聞いておきました」


「お、いいね。なら、行こうか」


 こうして多少のトラブルもありながらも商業ギルドへ向かった。


 そこでも、多少のトラブルはあったが、コショウと砂糖を全部売ることができ、金貨120枚手に入れることが出来た。そして、船賃もサービスしてくれた。

 みんなホクホクでWin-Winだね!


 船は、今日のお昼に出るそうだ。 


 俺達は、出航の時間まで、冒険者ギルドでお肉と皮を手に入れ、その後はブラブラ市場を歩き、時間を潰した。


 そして、出航です。

 なんと俺達は個室です。

 商業ギルド素晴らしいサービスだね!

 これなら、ダンジョン帰還出来るはず。

 怖かったので、出港までに試してみた。

 無事出来ることがわかり、ほっとした……が、出来なかったら初期地点しかなかったのをダンジョンで気づいて変な汗かいたね。

 戻った時に、皮をラズに、肉を桜に渡しておいた。


 東へは、7日程かかるようだ。

 遠いねぇ。

 向こうとこっちを行き来して、こっちきたら釣りでもしようかな。

 あと、アンナの暇つぶし用に何か買ってこよう。


 俺達は、色々やって落ち着いたところで個室で話をした。


「ふぅ、色々無事にここまでこれたね」


「はい、改めまして、私のためにありがとうございます」


「いえいえ、どういたしまして。アンナは船の中でどう過ごすの?」


「そうですね……たまに甲板に出たりですかね」


「それだけ? みんな何して暇潰すんだろ?」


「カードやサイコロで賭け事をしているのではないでしょうか」


「こっちにも、カードやサイコロはあるんだね。うーん、映画やアニメでも観る?」


「えいがやあにめですか?」


「ちょっと待っててね。向こうから持ってくるね」


 俺は、ダンジョンに戻り、ショップからポータブルDVDプレイヤー(6時間再生可能)を購入し、青い耳なしの王道アニメや彗星が赤くて速いアニメとイヤホンを購入して、船に戻った。


 アンナにプレイヤーの操作とイヤホンの使い方を説明し、青い方を再生してみた。

 音量確認のため、俺も片方をしている。

 うん、音量はこのくらいで良いか。

 隣のアンナの様子を見ると、目がキラキラしていた。


 何を言っているのか分からないらしいが、わぁきゃぁ言いながら観ていた。

 良い暇つぶしになればいいなぁ。


 夕食はダンジョンに戻り、アンナの分をもらって、俺とせっちゃんは船で食べた。

 夜になったので、プレイヤーを回収してダンジョンに戻った。

 アンナは目をキラキラさせながら、明日が楽しみですと言っていた。


 俺は、プレイヤーを充電し、みんなと色々話をして、就寝した。

 



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現在の主人公装備一覧


初心者の剣

初心者の木の盾

ウエットスーツ一式


ミスリルの短剣

ミスリルの剣

ミスリルのカイトシールド

ミスリルコンポジットボウ

ミスリルハーフプレートメイル

ミスリルアームガード

ミスリルグリーブ

ウルフマント

リザードマンの皮手袋

スノーシュー

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スキル一覧


テイム

体術

短剣術

長剣術 

盾術 

弓術

魔力

魔力操作  

魔力向上 

上級回復魔法

(回復魔法には、解毒などの魔法も含む)

生活魔法

補助魔法

腕力上昇 

脚力上昇 

体力向上 

回避補正

鷹の目

鑑定

錬金術

収納

矢弾作成

水中行動

気配察知

異世界言語

冷寒耐性

熱暑耐性

ダンジョン帰還

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持ち物一覧


若返りの薬 1本

チェーンソー

ミスリルの両手剣

ミスリルの槍

ミスリルタワーシールド

ミスリルの腕輪

ガーネットとミスリルのネックレス

隠者のローブ

ツルハシ 3本

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設備一覧

内装 ロッジ風

初心者物干しセット

鍛治設備一式

小さな個室

トイレ

脱衣所付き風呂場(洗濯機、洗面台は脱衣所)

冷蔵庫

キッチン設備一式

大きな座卓一式

配信用カメラ

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従魔一覧


ヴァルキリー風ゴーレム(せっちゃん)

念話、食事

ドワーフ(ラズ)

鍛治能力向上

リリス(トワさん)

拘束魔法、拘束魔法強化

ヴァンパイア(桜)

異空間収納、料理


アンナ 赤髪ロング (異世界奴隷)


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DVDプレイヤー、食材等 Dポイント 3,300

残 Dポイント 39,395

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