第47話 謎の正体(12日目)
最後のボルトを慎重に外し、遂に円盤の中心から円柱形の容器を引き出した。
「どうやらこの中に秘密があるようだ」研究者のリーダー格のサマーズ博士が確信に満ちた声で言った。
「ところでこの円盤の周囲に付着していた物について何かわかったのか」
「日本でパンデミックになっているウイルスと同じものです」
「COVID-19に続いてまた中国が発生源か、あいつらは決して認めないだろうが」
サマーズ博士は円盤本体と円柱形の容器を徹底的に調べるためにハワイにある研究施設に運ぶことにした。
その頃、江角首相に面会をしたいと首相官邸に突然訪れてきた人物がいた。その人物というは、中国大使館の王大使だった。
「首相、王大使がアポもなく面会をしたいと言っていますが、お会いになりますか」中路首相補佐官はこの数日間ですっかり憔悴した江角の体調を心配していた。「今まで四街道にけんもほろろの態度を取ってきたのに態度豹変だな。とにかく会うことにしよう」中路は首相がこの戦争の一日も早い終結を心から願っていることを知っていた。
応接室に通された王大使の態度はいつもとは違っていた。強面で横柄な態度は消えて、どこか落ち着きが無かった。江角は王大使の指が震えているのを見逃さなかった。
「王大使、突然の訪問ですがどんなご用件でしょうか」首相は和平交渉の提案を期待していたが、王大使の口から出たのは意外な話だった。
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