第23話 発見
しんかい6500はすでに水深3,500mに達していた。投光器に照らされた海底に沈んでいるはずの潜水艦はその痕跡すら見つからなかった。橘は海底を這うように泳ぐシンカイヨロイダラを見つけてホッとした気持ちに一瞬なった。
立川は持ち込んだ放射線測定器を見ていた。沈んだのが原子力潜水艦であれば放射線測定器が反応するはずだった。しかし、液晶画面が表示する数値は低いままだった。立川は沈んでいる潜水艦が非大気依存推進(AIP)システムを搭載しているのではないかと思い始めていた。
日米の監視網をくぐり抜けて、我が国の領海内深くまで侵入するには相当な潜水艦の静粛性が求められるからだった。原子力潜水艦にAIPを備えた通常動力型潜水艦も中国が所有しているとなると脅威だった。
探査を開始して、すでに2時間が経過していた。潜水可能時間を考えると残り時間は1時間を切っていた。明日にはなればアルビン号が到着する。アルビン号よりも先に発見することを厳命されていた立川の焦りは募った。
「なぜ見つからないんだ」「もう少し深いところに沈んでいるのかもしれないですね」深海では投光器が照らし出すのは10m程度しかなかった。
その時だった。警報音と同時に放射線測定器の液晶画面の数値が上がった。
「見つけたぞ」立川は思わず声を上げた。
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