世界観の深掘りが凄すぎる転生モノ。展開に違和感を残しません

流行りの転生モノと思いきや。
主人公がゲーム世界に転生して、仲間を増やし、イベントをこなして、その先のゲームクリアに至って、願いを叶えて元の世界に戻って。
それからがこの作品の始まりなのです。

願いの叶え方が良くなかったのか、何者かの陰謀が差し込まれたのか。
現実への帰還はなったものの、思わぬ状態になってしまい。
ある意味そこから、主人公第二の冒険が始まるのです。

お見事なのはその世界観の構築です。
深掘りが、凄まじいです。
ゲーム世界に仲間を置き去りにしたら、彼らは何を考えどう行動するのか。
仮に異世界から現実世界への転移者が現れた場合、現実世界の物品やルールにどういう反応を示すのか、どんな考えを持つのか。
その辺りがバンバンと話題に出てきて、「なるほど、確かにそうなりそう」と読者に納得感を与えてくれます。
違和感を、物語中に決して残しません。
この凄まじさは、実際に読んで実感して欲しいです。

私程度の拙いレビューで書き表すと上記のようになってしまい、「そういう世界観の擦り合わせは、大なり小なりどの作品でも描かれるのでは」と思われるかもしれません。
でもこの作品は、そういった解説が本当に細かくて丁寧なのです。
そういう意味では、むしろ転生モノを書きたいと思う作家さんにこそ手本として読んで欲しい作品かも知れません。

異世界から現実への転移者達の、現実世界への順応におけるドタバタも、読んでいて微笑ましい展開となっています。
シリアス一辺倒という訳でもないので、好みに関わらず色んな方に広く受け入れられる作風なので、ぜひご一読ください。

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