第2話 心配、したらダメなはずなのに。

前回、社長に昇進の話を渡され部長になった

僕、誤字山 伍時郎。

そんな僕だが、絶対に誤字らないと有名な

『橋月 三奈』さんを誤字らせる仕事を

任されてしまった。どうやら、元部長の仕事らしい。押し付けられたな、これ。


マジでしばきたい。

これには仏様も御怒りだろう。

何言ってんだお前、だって?

僕も何言ってるか分からない。


橋月さんのスマホで生活するようになり

分かったことがある。この人はとても

仕事ができる人、ということだ。


橋月『あ、やば…これ出し忘れてた...あわわ』


みたいな感じで、ミスをするととても可愛くなる。いかんいかん、彼女は敵だ。

可愛いとか考えたらダメだ。うん。

戦えなくなるな。うん。


とにかく、この人は仕事熱心で料理も

凄かった。完璧超人、と言うやつか?


ま、橋月さんの紹介はこんなもんでいーだろう。

仕事なので、誤字らせなければならないのだが、どうしたものか。


3日目

キーボードのあ行とか行の位置を入れ替えた

普通に使ってた。うん、ヤバすぎ。

プロの音ゲーマーかな?動体視力どうなってんの?いや、まず動体視力の問題か?


4日目は、彼女は珍しく酔っていた

誤字りはしなかったものの、ずっと

酒を飲みながら泣いていた。

どうかしたのだろうか...?

もしかしたら、泣き上戸?という

やつなのかも知れない。


いけない、彼女は敵なのだ。

...でも。少し心配だと思ってしまうのは

何故なのだろう。


翌日からも、彼女との戦いは始まった

高速であ行とか行を入れ替えたり

もっと強い掃除機を使ったり。


でも、彼女が誤字ることはなかった。

ほんとにすごいと思った。(語彙力消失


こんなことを体験したら、きっと、

みんなはケータイを変えるだろう

しかし、彼女は笑って僕を使ってくれた。


何故だろう。最近は彼女のことばっか

考えてしまうのだ。そりゃあ、

確かに仕事の関係で考えることの方が、

多いが彼女はなんで僕を使うのか、とか


様々なことについて考えているのだ。

ほんとに、不思議な気分になってしまう。

こんな思い、言い訳ないのに。

なぜなら、僕と彼女は過ごす世界が、

本当の意味で違うのだから。


例え、どんなに心配しても。










...届くわけ、ないんだから。




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