誤字らせたらめっちゃ昇格した〜絶対誤字らない橋月さんと部長の僕〜

りんたそ

第1話 絶対誤字らない橋月さん

『君、昇格ね。』


その一言から始まった一日。


『え?』

僕、誤字山 伍時郎(ごじやま ごじろう)

はただの平社員だ。先日、ただの女の子を

誤字らせた結果、何故か部長に昇格した。


『はっはっはっ…こんなこともあるんだね』

夢かとも思ったが、頬をつねっても

指をハンマーで叩いても痛かった。

良い子は真似しないで欲しい。

怪我しちゃうからね。うん。

そして、元部長の誤字内 六郎さんから

の仕事を引き継いだ。


それが、この橋月さんを誤字らせる、という

任務である。ま、一日で部長になったのだ。

この僕ならこんな人誤字らせることは

楽勝...!!!


『ぜぇ、はぁ...ぜぇ、はぁ...』

おかしい。あの人の指の近くに他のキーを

置いても回避するし、掃除機で吸い寄せても

上手くいかない。後で社長に聞いたが、

別に僕に才能があるとかそういう訳じゃなくて、ただ誤字内さんからの推薦らしい。

なるほど、つまり厄介事を押し付けられたのか。


許すまじ。絶対しばく。あの元上司許すまじ。


僕も辞退しようとしたが、却下された。

うん、なんで?


推薦されたんだから頑張れ、との事らしい

これだからこの会社はクs...

と、まぁ会社の文句を言っても仕方ないので

やる訳だが。


一日目。今日は指の近くに別のキーを

置いてみた。普通に避けてた。

うん、スマホ使うのが上手いな。

諦めず次だ。


2日目。次は小型掃除機で指を引き寄せてみた。普通に吸い付かなかった。

力どうなってんだよ、ゴリラか?


『ぜぇ、はぁ...』

おかしい。いくら何でもおかしい。

普通の人ならこんなの直ぐに吸い付くのに。

何故だ。おかしい。とにかくおかしい。


『あ、その人絶対に誤字らない人だから』


そっか!だから誤字らないのか!


...え?


....ん?????


絶対に...誤字らない???


いやいやいやいや!?!?

そんな人に3日前まで平社員だった

僕が誤字らせられるわけねぇじゃん!?

うちの上司頭どうにかしてんの!?

あとやっぱり誤字内さんはしばく!!!!


と、まぁ。絶対に誤字らない橋月さんと、

誤字らせたい僕は出会った。


...今思うが、本当におかしい出会いだな、と

思うのだった。

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