13話 結果は最初から決まってる

ディスケレそれらを観ることにした。

だが、彼は考えなんて決まっていた。軍について知らなければ、知識もない人間が勝てる訳がないと。唯一気がかりなのは元帥がこの人物を連れてきたということだ。だが、彼女は『即決の怪物』という二つ名で呼ばれていた。その二つ名の通り、彼女が状況を理解し、一番勝率の高い選択を選び、それを実行するスピードが人間離れしていた。そのため、彼女と戦う際全て後手に回らざる負えなくなり、彼女はより有利になる、そしてそれを繰り返し、敵が1つ残らず消えるというものだ。現に、軍学校時代の演習(シュミレーション)では、全て勝利していたし、司令部に配属されてからも次々と幕僚たちに勝利していた。なぜその様な彼女が幕僚で止まってしまった理由は、彼女に実力がなかったからではない。彼女に負けることを幕僚以上のクラスの司令官たちが確信してしまったからだ。彼女は司令部のトップになる実力を持っていたにも関わらず、司令官たちが勝負を拒否し、彼らが彼女の昇進の機会を奪った。人間もAIも見解は変わらず、彼女に最大評価をしている。だから、たとえレナトゥスさんに知識があっても勝つことはできない。極端な話、でもない限り、彼女を負かすことはできないのだと。


シュミレーションは始まった。


エンブランは言葉で表現していた感情より、実際は冷静だった。

こう思考していた。

このシュミレーションは、完全にランダムな場所に2つの艦隊が配置される。突然、最初から近い位置に艦隊が配置され、最初から決戦が起きたり。逆に、敵を中々発見できず、先に敵艦を者が先制攻撃を行い、全滅というパターンもある。そのため、柔軟な対応と素早い実行が求められる。つまり私は有利だ。

しかし、相手は表面上無能に見えるが、現にあの元帥から直接採用された人物だ、何かしら秀でたものがあるに違いない。そう考え、慎重に事を進めると同時に、大胆な行動に出た。戦闘教義で定義されている、分割することのできる程度の索敵艦隊を作成し、個別に敵艦隊を発見するものとした。この際、1万の艦隊を6000隻の主力艦隊と4個艦隊で1艦隊、1000隻の索敵艦隊を用意した。


ディスケレは驚いていた。

あそこまで艦隊を分割し、索敵範囲を広げるとは、戦力の分散は危険だが、このシュミレーションはそうしなければ相手に優位をとれない。それに、彼女は相手を過小評価せず、自身にとって十分な脅威であると考えていた、それが一番の驚きだ。




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