8話 根本的な意志

「ここで一つ大切なことを述べせさてほしい、これは私の根幹にある考え方だ。」

「この考えはその殺された少年から全て私に受け継がれている。彼の根本的な意志である。これこそが私の原動力だ。」


人間は誰しも様々な特性を持っている。

人間が好きな者や人間が苦手な者

言語理解力が高い者や情報処理速度が速い者やその両方を持ち合わせる者

一つの分野にしか興味を示さないがその分野に関して深い知識と理解を得る者や1つの分野を深く身につける事を苦手とするが複数の分野を理解し複数の分野の橋渡しをする者

視覚情報の処理を得意とする者や聴覚情報の処理を得意とする者や両方とも得意とする者

これらは連続体(スペクトラム)であって、絶対的な評価は定まらないが、相対的に評価、比較することは可能だ。実際には、小規模な集団(学校の1クラスや50人程度の法人など)、大規模な集団(州の人口など)、国全体や宇宙全体の人類など、様々な規模で比較するものだ。ただし、これらの比較対象はどちらが優秀だとか、役に立つと言うのは関係しないのだ。そもそもそれが目的ではない。なぜなら、それぞれに適材適所があるからである。もし、うまく能力を発揮できていないのなら、それはその個人の努力が足りないのでなく、その個人を適切な能力を発揮できるように、その環境を社会が用意しなければならない。

例えば、その1番の例が教育だ。教育は、人にものを教えると勘違いしている人もいるが、教育はその人が内に秘めた能力を発揮するのを手助けするものであって、方法は無限にあっていい。これは、AIが絶対に取って代わることのできない人間だけが持っている能力だ。人の能力を引き出すことは、人類有史以前から行われている。まだ地球で文明が生まれたばかりの頃、降伏した敵軍の将軍を捕虜として連れて帰り、その人に家庭教師をさせたことが教員の誕生だったりする。そんな教育の目的は、教育を通して能力を引き出すきっかけを作り出し、個人それぞれにより大きく、様々な可能性を見出すことだ。

問題はその社会の実現にある。その社会の実現には、一部の活動家や少数派ではなく、社会の人々全員がこれを実現すべきだと考え、一人一人が行動しなければこれは実現不可能である。


これが私の行動の原動力であり、彼の根本的な意志だ。


これらのことを頭に入れて、話を聞いてほしい、お願いだ。

これらのことはとても大切なことだ、この社会の実現が目的なのだから。

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