リスト・オブ・100ブックス(感想①)

 『19世紀の異端科学者はかく語る』電子書籍化にともない、カクヨム版は序文を残して削除しました。規約の関係でURL載せませんが、書籍版タイトルは『十九世紀の異端科学者はかく語る: ダーウィンの愛弟子ラボックの思想と哲学 -The Pleasures of Life-』です。


 電子書籍版を出したからといって、小説投稿サイトを軽んじるつもりはまったくなく、棲み分けしつつ執筆活動を展開したいと考えています。


 そこで、ここから先は、翻訳文を引用しながら訳者主観で「感想と解説」を投稿しようかと。


「翻訳者だって、ひとりの読者として感想書きたい!」


 そんな主旨で、好き勝手に語ります。


(※引用文は改稿前のもので、書籍版とは異なる場合があります)





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リスト・オブ・100ブックス(感想①)

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 原著では、前回「#4 本の選び方」の末尾にあったこのリスト。

 この章だけで1万1000文字を軽く超えてしまうため、二分割しました。


 よく、「本棚を見ると持ち主の人柄がわかる」と言いますね。

 著者のジョン・ラボックが選んだおすすめ本100冊は、選りすぐりの名作ばかりで、日本語に翻訳されている本も多いですが、中には未邦訳本もちらほら。


 100冊ちょっと(改訂版で何冊か追加された)の著者と作品名がずらっと並んでいるだけのリストですが……。


 19世紀のイギリス人であるラボックが、孔子の『論語』やインドの『マハーバーラタ』『ラーマーヤナ』、イランの『シャーナーメ』、イスラム教の『コーラン』まで幅広く読んでいることに、私はかなり驚かされました。


 中でも、異色を放つのは、トーマス・カーライルの『フランス革命史』。


 イギリス関連が多いのは当然ながら、歴史分野の本は「広い地域・広い時代」のタイトルを選んでいるのに、カーライルの『フランス革命史』だけがそうではない。


 一説によるとジュール・ミシュレの『フランス革命史』と双璧をなす名著といわれてますが、カーライルの革命史は日本では抄訳版すら刊行されてません。同じ出来事を扱いながら、ミシュレは革命を肯定的に、カーライルは否定的に解釈しているそうで。


 カーライルの方……を選んでいるところに、ラボックの個人的な歴史観が反映されているように感じました。


 解釈が正反対の名著二冊。読み比べてみたいなぁ。

 また自力で翻訳するしかないのか。翻訳予定リストが溜まっていく……。

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