#10 仕事と休息(2)
十九世紀現在、いくつか特別な欠点があるかもしれないが、それでも私たちは、昔はなかった多くの利点をもって仕事に臨んでいる。
昔より安全に生活し、労働の成果を乱暴に奪われることもあまりない。
昔は、勉強の難しさが今よりはるかに大きかった。
本は高価で扱いにくく、多くの場合、机の上に鎖でつないで保管されていた。
偉大な学者たちは、しばしば非常に貧しかった。エラスムス(Erasmus)は、ろうそくを買う余裕がなかったので、月明かりを頼りに本を読み、「慈善のためではなく、学問を愛するために一ペニーを乞うた」[6]
時間がないことは、怠ける理由にならない。
ジェレミー・テイラーは「私たちの人生」について、次のように語っている。
「高慢な王子や横暴な反逆者の野心に仕えるには短すぎるし、莫大な富を手に入れたり、強欲な愚か者のプライドを満足させたり、正義や不正義の利害の敵をすべて踏みにじるには時間がなさすぎる。しかし、美徳を得るために節制と慎みを手に入れ、宗教的な行いのために幼年期から老年期までの人の生涯を考えると、神は十分な時間を与えてくださっている」
仕事とは、私たちが存在するために必要なもので、どのように働くかよりも、働くかどうかが問題だ。古い格言によれば「悪魔は自分から仕事をしない者のために仕事を見つける」という。
イギリス人が人種として成功したとすれば、それは少なからず、一生懸命に働いたという事実に起因している。
そればかりか、私たちは自然の力が人間の役に立つように仕向けて来た。
エマーソンは「蒸気はほとんどイギリス人である」と語っている。
労働の力は、特に偉大な人物たちを特徴づけてきた。
セシルは、ウォルター・ローリー卿について 「ひどく苦労することができた」と述べている。
イギリス人は、これまで世界が見たこともない偉大な帝国に属していることを誇りに思っている。ワーズワースの言葉を借りれば、「世界は我々(イギリス人)とともにありすぎる。遅かれ早かれ、我々の力を手に入れて無駄に浪費する」は、特に真実味を帯びているといえる。
その通りだが、それはどんな世界だろうか。世界は我々とともにある。好むと好まざるとにかかわらず、世界も私たちも確実に存在している。
しかし、それがどんな世界になるかは、私たち自身に大きく依存している。
私たちは、「世界から追放されないために祈るのではなく、悪から遠ざかるように祈りなさい」と言われている。
仕事にはいろいろなやり方がある。
素早さはいいかもしれないが、急ぐのはよくない。
「急がず、休まず、星のように、
それぞれが自分の重荷を中心に
回転している」(原文ラテン語)[7]
すなわち、「星のように、急がず、休まず、各自が自分の望みを叶えよう」
ニュートンは自分の働き方について、「テーマをつねに目の前に置いておき、最初の夜明けがゆっくりと、少しずつ、はっきりした完全な光の中へ開いていくのを待つ」と語ったと伝えられている。
また、エマーソンは「天才の秘訣(The secret of genius)」について、次のように語っている。
・存在する虚構(フィクション)に苦しまない。
・知っていることをすべて実現する。
・現代の洗練された生活(芸術、科学、書籍、人間)の中で、誠意と現実と目的を正確に伝える。
・最初から最後まで、中間も、終わることなく、用いるものすべての真理に敬意を払う。
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