#8 自然の美しさ(2)
イギリス人は、狩猟や射撃や釣りを通じて、動物界から大きな喜びを享受している。新鮮な空気を吸って体を動かしながら、変化に富んだ美しい風景に導かれる。
しかし、純粋に利己的な観点から見て、いつの日か「動物を殺める行為」は動物から最大の楽しみを得る方法ではないと認識されるようになると思う。
もし、人間が他の動物にやさしく接するなら、動物たちは恐れずに近づいてきて、愛嬌のある姿を見せてくれるだろう。そんな楽しみを得られるようになれば、各地を歩き回ることがどれほど面白くなることか。
動物の起源と歴史、構造と習性、感覚と知性は、好奇心と驚きの尽きない領域だ。
生命の豊かさはすばらしい。草の上に静かに腰を下ろして、少し観察してみれば、生き物の数と多様性に本当に驚かされる。
生き物それぞれが特別な歴史を持っていて、ひとつひとつが非常に興味深い、終わりなき課題を提供している。
「もし、あなたの心が本当に正しいなら、すべての生物があなたを映す生命の鏡となり、聖なる教えの本となるだろう」[3]
自然史の研究は、私たちを田舎や野外に連れ出すという特別な利点がある。
だが、街も美しい。
どこの街も、人間の興味と歴史的な記憶にあふれている。
ワーズワースは自然をこよなく愛していた。だが、彼はロンドンっ子なら誰でも納得するような調子で、「夜明けのロンドンの街よりも、自然の中で麗しく、深い静けさを感じるものは他にない」と語ってなかっただろうか。
「地球には、より美しく見せるものがない。
その威容と、心を打つ光景の中で、
通り過ぎることができる鈍感な魂があるだろうか。
この街は今、衣装を身にまとっている。
美しい朝は、静かで飾り気がなく、
船、塔、丸い屋根、劇場、寺院が横たわり
空とフィールドに向かって開いている。
煙のない空気の中で、すべてが明るく輝いている。
これほど美しく、急激に輝く太陽はない
最初の輝きで、谷も岩も丘も。
これまで感じたことのない深い静寂を見た!
川はその甘い意志でなめらかに流れる。
ああ、神よ! 家そのものが眠っているようだ。
その並外れたハートはすべて静止している!」
また、ミルトンはロンドンを次のように表現している。
「至福の住まい、
地球上のすべての場所で、
その美しさは見えないが、
それはあなたの中に満ちている」
しかし、大都会でしばらく過ごしていると、田舎へ憧れを感じるようになる。
「谷間のつまらない小花、
疾風を吹き上げるシンプルな音、
ありふれた太陽も、空気も、空も、
そこには楽園が開かれている」[4]
ここで、グレイはまず最初に「花」を挙げる。
なぜなら、イギリスを象徴するこの偉大な都市は、花が自分自身を暗示しているように思えるからだ。
ラスキンは「花は、ごく普通の人間を慰めるために存在しているようだ」と語っている。
「子供たちは花を愛している。もの静かで優しく満たされている普通の人たちは、花が成長するのを愛でる。贅沢好きで無秩序な人たちは、花をかき集めて嬉しがる。また、花はコテージの宝物だ。人口過密な街の目印として、労働者たちは平和の誓いを心に刻み、小さな虹のかけらのように窓を飾る」
しかし、混雑した通りや格式ある庭園に咲く花は、森や野原で自由に生き、好きなように成長したいと願っているように、少なくとも私には見える。
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