第2話 幼馴染は登校中も甘えてくる
「ううっ、悠真君、悠真く~ん!」
「どうしたの、風花ちゃん? 何かあったの、大丈夫?」
「ボタン掛け違えちゃった……えへへ、悠真君、風花のお着がえ手伝って?」
「……それくらい自分でしなさい!」
~~~
「よいしょ、じゃじゃーん! 風花ちゃんお着がえ完了です、風花ちゃん制服フォルム! えへへ、悠真君とお揃いの制服だよ!」
しばらく扉の前で待っていると、制服に着替えた風花ちゃんがばーん、と大きく腕を広げて、ニコニコ笑顔で飛び出してくる。
ふふっ、それ毎日やってるけど飽きないの、風花ちゃん? 何回見てもめっちゃ可愛いけど、そろそろ飽きない?
「えへへ、飽きないよ。だって、悠真君と、一緒の制服、嬉しいんだもん……えへへ、何年経っても、悠真君と一緒で、嬉しいだもん! 悠真君も、ふへへ、可愛い風花見れて嬉しいでしょ? 嬉しいよね、ふふっ!」
「男女で違うけどね、でも嬉しいよ、俺も。可愛い風花ちゃん見れて嬉しい……あ、リボンずれてるし、カッターもちょっとよれてる。少しジッとしてて、風花ちゃん」
「ふへへ、悠真君が可愛いって言ってくれるの嬉しいな……んっ、じっとしてる。悠真君が、直してくれるの、目瞑って、じっとして待つ……ん~」
……だからそのキス顔も可愛すぎるって、我慢できなくなるよ!
まだ朝だよ、風花ちゃん!
「ん~? 悠真君? ん~?」
「あ、ごめんごめん。よいしょ、よいしょ……いいよ、もう目あけて。大丈夫、直った。これでもっといい感じ」
「えへへ、やったぁ……悠真君のおかげで、風花レベルアップ……あ、悠真君の、ネクタイもずれてるよ。風花が直してあげるね!」
「え、ネクタイ? 直すよ、それくらい自分で」
「ううん、直させて! 風花に悠真君のネクタイ、直させて……よいしょ……ふふふっ、こうやってしてると、アレだね、悠真君……ふへへ、なんか楽しいね、悠真君。悠真君のネクタイ直すの……えへへ、楽しくて、ぽかぽかするね」
「そ、そうかな?」
「ふふっ、こうしてると、風花と悠真君新k……あ、ダメダメ! まだダメだった、風花と悠真君じゃダメだった……でも楽しい。嬉しい、幸せ……えへへ」
「……そうだね、風花ちゃん」
☆
「風花ちゃん、学校行くよ。時間あるけど、遅刻するかもだからね。教科書、忘れちゃダメだよ」
「う~、まってぇ、悠真君。もうちょっとで、準備完璧出来るから……よいしょ。よし、準備完了、完璧風花ちゃん! 行きましょ行きましょ、悠真君!」
朝ごはんを食べて、色々準備すると結構いい時間、登校するにはいい時間。
「ふふっ、もうおめめぱっちりだね、風花ちゃん。それじゃ、行くよ」
「うん! えへへ、風花と一緒に登校しましょ、悠真君!」
すっかり目が覚めたみたいで、元気いっぱいになった風花ちゃんと、クリスマスに互いに送りあったお揃いの手編みのマフラーをつけながら、二人並んで仲良く学校の方向に足を進める。
「お~、太陽燦々。今日もいい天気……じ~」
「ふふっ、そうだね風花ちゃん。冬だけど、最近雪降らないね。また雪合戦とかしたいのに。風花ちゃん家族と家の家族の雪合戦大会、またしたいんだけどな」
「じ~……えへへ、風花は、雪だるまと、かまくら作りたいな! また、悠真君雪だるま、作るの! あ、あとね、悠真君と一緒にかまくら作って、二人で中にはいって、二人で、過ごす! かまくらの中で、悠真君と一緒に、お昼ご飯食べたり、お昼寝したりするの……じ~」
「アハハ、それはすっごい大きなかまくら作らなきゃだね。って、どうかした、風花ちゃん? 俺の顔、何かついてる?」
他愛ない会話をしている最中、ずっと風花ちゃんの視線が俺に刺さっていて。
お話してるから当たり前なんだけど、なんかちょっと気になるかも。
「じ~……え、あ、その……ゆ、悠真君見てた! 悠真君のお顔、見てるとぽかぽか幸せだから、見てた……えへへ、ふへへ……じ~」
「……そっか。それは嬉しいな」
「う、うん! ほ、本当は他の用事あるけど、それは風花今作戦会議中……じ~、作戦、作戦……あ! そうだ、よし……う~、むにゃむにゃ……えへへ」
俺の顔をじ~、っと見つめていた風花ちゃんが思いついたように大きな声をあげて、俺の胸めがけて倒れこんでくる。
むにゅっと柔らかい感触を感じると同時に、むにゃむにゃ寝たふりを……ちょ、ど、どうしたの風花ちゃん?
「むにゃむにゃ、むにゃむにゃ……むにゃ~、風花、ねむねむさんだな~。これじゃ、一人で歩けないな~、学校行けないな~……むにゃむにゃ」
「わ、わ~、それはたいへんだ~」
「えへへ、大変だね~。すっごく大変だ、風花ちゃん一大事だ~! 風花ちゃんの一大事だ、これはどうしましょう? 悠真君、風花、どうしたらいいでしょうか……あ、むにゃむにゃ。むにゃむにゃ~」
思い出したようにむにゃむにゃ呟いた風花ちゃんが、もちもちの身体を俺の胸に押し付けながら、ドキドキ可愛い上目づかいでそう聞いてくる。
やば、感覚心地よくて、気持ちよくて風花ちゃんに……おっとっと。
「ふ、風花ちゃんはどうしたい?」
「う~、じゃなかった、むにゃむにゃ~。風花は、悠真君と~、おてて繋いだなら、大丈夫だと思います! 悠真君と、おてて繋いで、学校行ったら、遅刻しないと思います! おてて、ぎゅーって……あ、むにゃむにゃ」
風花ちゃんの表情は、さっきと同じような期待に満ち溢れた表情で。
甘えたくて、ふにゃふにゃで……もう、わかったよ! わかった、風花ちゃん!
「ふ、風花ちゃんが遅刻したら大変だ! だから風花ちゃんがしたいように! おいで、風花ちゃん」
「えへへ、やった~! それじゃ、ぎゅ~! 悠真君、ぎゅ~!」
ぱーっと明るい笑顔になった風花ちゃんは、そのまま俺の手……じゃなくて腕を取ると、それを自分の腕とぎゅーっと絡める。
「えへへ、悠真君、これなら風花大丈夫……えへへ」
がっしりとホールドされ、密着した左腕に、むにゅっと柔らかくて豊満な幸せな感覚……ふ、風花ちゃん?
「ふ、風花ちゃん、手繋ぐんじゃなかったの?」
「ぬへへ、だって悠真君が何しても良いって言ったから……風花、こっちの方が幸せな気分なるもん、ぽかぽかするもん……えへへ、悠真君の腕ぎゅーってした方が、温かくて、幸せだもん……えへへ、ダメ? ダメかな、悠真君? あ、それに、こっちの方が、ねむねむでも歩けるもん……むにゃむにゃ~、ダメ~、悠真君?」
俺の腕を両手でぎゅーっとホールドしながら。
もちもちの身体を俺に預けた風花ちゃんが、腕に頭をすりすりしながら、上目遣いでそう聞いてきて……もう、ずるいよそれは! 風花ちゃんズルいよ、そんなの可愛すぎるよ、もう!
「わかったよ、風花ちゃん。風花ちゃんの仰せのままに!」
「ん~、悠真君! ふへへ、悠真君……えへへ。それじゃ、もっと悠真君にぎゅーって……ふへへ、悠真君、ぽかぽか。悠真君とぎゅーっするの、風花好き」
嬉しそうに笑う風花ちゃんがさらに、俺に身体を密着させる。
全体重を俺に預けて、抱き着いているような体勢になって……もう、風花ちゃんここお外だよ?
「えへへ、お家はもっとだし、もっと甘々するし。今日も悠真君のベッドで、いっぱいいっぱいするし、悠真君ともっと甘々するし。それに、お外だからだよ、お外、寒いから、こうやってしてるんだよ。えへへ、悠真君、あったかぽかぽかだよ。悠真君も風花と一緒で、ぽかぽかしてる?」
「……してるよ、風花ちゃんと一緒で。風花ちゃんと一緒なら、いつでもぽかぽかだよ、いつでも温かい気分なれるよ。大好きだよ、風花ちゃん」
「えへへ、やったね! 悠真君も同じ気持ちなら、風花嬉しいな……風花も好きだよ、悠真君とこうするの。悠真君と一緒で、ぎゅーってしてぽかぽかするの大好きだよ……えへへ、ふへへ」
「……嬉しいな、俺も。本当に大好きだよ、風花ちゃん」
「うへへ、風花も大好き! 悠真君とこうするの、風花も大好き……えへへ、風花今、悠真君チャージしてるよ。放課後のベッドまで、絶対我慢できないから。絶対悠真君、足りなくなるから、今チャージしてる……えへへ、悠真君? 風花、悠真君チャージしていいですか? もっともっと、悠真君の事、感じて、いっぱいチャージしていいですか?」
「……うん、いっぱいしていいよ、風花ちゃん」
「うん、するする! 風花、悠真君チャージ……くぅん、悠真君、はむっ、んちゅ、ちゅぷっ……んんっ、悠真君……うへへ、えへへ、悠真君……ふへへ♪」
「……風花ちゃん」
俺の腕に全体重を預けて、チャージと称して、全身を撫でまわすように、すりすりごろごろわんちゃんみたいに甘えてくる温かい幼馴染の感覚を存分に味わいながら。
俺は風花ちゃんと一緒に、寒空でも温かい通学路を歩いて行った。
「ん~、悠真君……えへへ、悠真君、喉のとこごろごろして? 喉ごろごろされるの、風花大好きだから……えへへ、悠真君にしてもらうの大好きだから、ごろごろ、お願いします。悠真君に、大好きして欲しいな」
「うん、わかった。よ~し、ごろごろ~ごろごろ~」
「うへへ、ふひひ! ん~、悠真く~ん、それしゅき、だいしゅき……にゃ~ん、んにゃにゃ~ん……にゃにゃにゃ~ん、悠真く~ん……だいしゅきにゃ~ん」
「……」
~~~
「……それで、風花ちゃんがやっぱりすっごく可愛かった! 本当に可愛い、風花ちゃんマジで最高に可愛い幼馴染で、甘々大天使だ!!! 本当に大好きだ、風花ちゃん! 最高に大好きな幼馴染だ!!!」
「アハハ、そっかそっか。本当に大好きだよな、悠真は高田さんの事……それで、いつ付き合うんだ?」
「うん、大好き! 本当に大好k……え!? え、あ、そ、それは……」
「とぼけんなって、大好きなんだろ? あんだけイチャイチャして、大好き同士なんだろ? いつになったらお付き合いして、正式なカップルになるんだ、悠真と高田さんは?」
★★★
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