第4話 衝撃の真実 1

火曜日の放課後、美術室に向かう。

緊張してきた。

そしてドアを開ける。

「やあ、湊くん」

「や、やあ。ねぇ、凜、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

「なぁに、湊くん」

「この前見せてもらった絵を参考に描いてみたんだけど、どうも赤色があんなに濃ゆくならなくて」

「あ、あれは、ちょっと特殊な絵の具で塗ってるからなぁ」

なんか凜の様子がおかしい気がする。

「俺、あの色が血の色に似てるなって思って、血で塗ってみたんだよ。そしたら、色が一致して」

今思ったけど、血で塗るってヤバくね!?

「で、でも......あーあ、バレちゃったか」

「えっ」

「そうよ、私が使ってる赤色は血」

「はっ!?」

「血を使うことで表現の幅が広がるんだ~」

「う、嘘だよな。どうせ、ドッキリだったり」

「いや、本当の血だよ」

もう意味が分からない。

血、血、なんで

「それって、自分の血なんだよね?」

「......いや、人の血だよ(^o^)」

「はっ!? 人の血をどうやって...」

「殺すの」

「へっ!?」

「私の言うことを聞かなかった奴は全員殺すの」

何を言ってるのか分からない。

ただ、凜の目から、狂気じみた話なのは分かる。

凜の目に光が差し込んでいない!

紫のいかにもヤバそうな雰囲気を放っている。

「私って小さい頃から良くモテるのよね。それで中1の時に初めて彼氏と付き合ったんだけど、その彼氏が本当うざくて私を性的な目でしか見てくれなかったの。それからどんどん彼に殺意が湧いてきちゃって、ついに殺しちゃったの。あぁ、あれは快感だったなぁ。もちろん証拠隠滅はしたよ。あと、転校もしたの。そして、風呂場であいつの遺体を解体してるときに思いついちゃったの。この血って、使えるくね?って。親が元々絵師だったから、親の絵の具をその血と入れ換えたの。そしたら、それと同時に親の収入が上がっていって...これは最高だってなってぇ...ふふっ。それから付き合ってうざかった奴は、全部抹殺して絵の具にしたいって思うようになったの。私も後に絵を始めたんだけどね。どう? 私の人生」

言葉が出ない。

凜が恋人を殺した?

嘘のようにしか思えなかった。

凜が転校してきたのって、、、

「丁度良い機会だからここで言うね。......私、湊くんのことが好きです」

は?

どう反応したら良いか分からない。

「え、えっと...」

「急すぎるよね。湊くんは私を助けてくれたの。あの日曜日」

日曜日、助けた...あ、なんとなく分かった。

「もしかして、あの痴漢されてた子?」

「やっと気づいた? もう、遅いよぉ」


そう、あれは2年前の夏。

俺はなんか知らんが電車に乗っていた。

ホントになんでか知らないが電車に乗っていた。

確か、海に行って黄昏ていたような...まあいい。

乗車してあることに気づいた。

丁度同い年くらいの女の子が痴漢されていることに。

俺は素早く小型カメラを取り出し、様子を撮影する。

証拠がなかったら俺が訴えられるだけだからな。

ある程度撮影できたら、男に近づいた。

「あの、すいません」

「あ? なんだ、てめえ」

「あなたの横の女の子が変な様子でしたので」

「は? 何が言いたいん?」

「要するに、あなたが『痴漢』していたということですよ!」

「は? お前ふざけんな! 証拠は証拠!」

「みなさん、こちらの映像をご覧ください」

俺は乗車している全ての人に証拠映像を見せた。

みんな引いている。

「認めたらどうですか」

「ふざけんな! 撃つぞ! 手を挙げろ!」

見るからにおもちゃの銃。

一体、何がしたいんだ。

俺は素早く後ろに回り込み背負い投げしてやった。

「お前やったな!、警察に訴えてやる!!」

「訴えられるのはあなたの方ではないですか?」

「警察だ! お前が犯人か!」

「なんで、警察!?」

「現行犯逮捕。非道なクズ人間が。署に来い」

「俺は若い女の子とヤりたかっただけなんだよ~!」

男は気色悪いことを言い残して電車を後にした。

俺もやることはやったし、海に向かうかぁ。

「あ、あの!」

「ん?」

「ありがとう。この恩は絶対に返すから!」

俺は一度振り返ったが、すぐ前を向いた。

恩、かぁ

俺は凄いことをしたんだなと思いながら夕日に黄昏て、青い海を見ていた。


「あ、あの時の!」

「そう! ホントありがとう、あの時は。その恩を今返そうと思うの」

一体何なんだ。

「私の...彼女になって!」

は?


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