悪魔の効率的な殺し方

和翔/kazuto

プロローグ

『神は存在する』

 そんな非現実なことをこの世界の人間は本気で信じている。

 生まれながら童話のように聞いているそんな迷信。

『人が死ぬとその魂を天使が食べにくる』

 確かにニュースで「死体が突如として消えた」だの「火葬場で処理したはずなのに炭が残っていなかった」だの。

 この世界は全て現実的な原理のもと、科学的に成り立つように作られているのだ。

 月は重力によって地球の周りを回っているし、海が青いのは海が赤い光を吸収しているから。

 この世界に神とか天使なんてものは存在しない。

 ましてや空を飛ぶとか他人との位置を入れ変えるなどと言った、科学的に説明の付かないことはありえないはずなのだ。

 そんなことを言い続けて17年。

 俺は見事に友人を失い家族すらも俺を罵倒するようになってしまった。

 皆は俺が間違えている。信仰心に欠けている。悪魔だ。様々な言葉を使って俺を悪人に仕立て上げてきた。

 他人に向かってそんなひどいことをするなんて、貴様らの信じている神が許すと思うか? なんてそんな話誰も耳を傾けない。

 結局は皆自分の都合のいいように解釈しているだけ。自分がただ縋りたいだけであって本当は神なんて存在しないことくらい理解しているのだろう。

 現実を見ようとしないこの世界は偽善であふれていた。

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