第23話 追い出し
「あ、貴方は誰ですかね……?」
「んー?」
おずおずと聞いた俺に長髪の金髪頭を後ろでくくっている男の人が聞き返す。
服装は赤色のパーカーにジーンズ生地の上着をはおり、黒色のジャージをはいて、白色の靴をはいている。
そして、無鱒名さんみたいに飄々としていて……なんだか、軽薄そうだ。
「あっ!あなたは!誰ですかァー!」
聞こえなかったみたいだった、兄上と遠くにいる金髪の人へと、俺は声を張り上げる。
「実。大声を出すな!コイツは、六大妖の貢献だ!」
緊迫した表情で、答えたのは、金髪頭の人ではなく、そのとなりの兄上だった。
通常なら、あの寡黙な兄が大声を出したことに驚くだろう。
━━が
「コウ……ケン……?」
俺が驚いたのは兄上の言葉の意味の方だった。
また、六大妖!?
六大妖の強さとしては、三耽溺花でもやっと、倒せるくらいだと聞く。
六大妖の一位争いをしている、「安定感」と「不安定感」は三耽溺花の総勢力をあげてやっとという、話まであるくらいだ。
よって、いくら強いといっても、三耽溺花のみんなには及ばない兄上が、貢献を倒せるかは大分微妙だ。
━━こんな、足手まといもいるし。
成長の、耳引きちぎり事件を思い出して、俺の足は勝手に振動し出す。
「よぉ〜し!じゃあ、エリート兄弟たちを、痛めつけていこォかなァ」
「待て、貢献」
「もォー。空気読めよー。いいトコなのにィ」
「落ち着け」
乗り気な貢献を、兄上が落ち着かせて、俺の方を指さす。
「こっちのやつは、外に返さないか?」
━━え?なんで?
「弱いぞ」と付け加える兄を見て、貢献は少し緑色の瞳をあらわにしていたが、俺の瞳はもっと見開かれている自信がある。
何故だ。もしかして、俺を非難させてくれた━━はずはないか。
……あ、ただ邪魔だっただけか。
なーんだ、と一人で勝手に肩を落とす。まぁ、今更期待も何もないけど。
「なーんだ。がっかり。じゃあ、いーよ」
そういったかと思うと、すぐさま貢献はとなえる。
「解除」
◻︎▪︎◻︎
「うわっ!」
俺の目の前にはおめかししている生田目さんが、桃色の目をあらわにして立っていた。
俺は、生田目さんそっちのけで、あたりを見回す。
一面の手入れされた芝生の上に大きなテーブルが置かれ、その上には沢山の料理がある。
「
「えぇ!忠くんまだいないの!?」
そして、なにより知ってる人の声が、する。
そこは、俺の家の庭だった。
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