「姫さま!大変です!問題発生です!」プリンセスに転生させてもらったら、何と魔王の娘!?次々起こる問題を現代の知識と得意なカンフーとお料理でズバッと解決!
第10話 女の子達のココロとカラダの消えない痕
第10話 女の子達のココロとカラダの消えない痕
戦いが終わった。
女の子達の気持ちは少しは晴れたかしら?
「ルナ。女の子達をとりあえず外に。デクストラ。ついてきて奥を確認しよう」
わたしの指示に2人は頷く。
ルナは手際よく女の子達を誘導していく。
わたしはデクストラと2人奥のゴブモンドがでてきた部屋を確認する。
「た、助けて…許して…」
「帰して、もう、いや…」
鎖に繋がれた一際綺麗な女の子達がいた。
わたしは魔法で鎖を焼き、女の子達を解放する。
「ゴブモンドは死んだわ。安心して」
「じゃあ、帰れる?」
「ええ、辛かったわね」
そう言うと女の子達はわたしに抱きついて大泣きをはじめた。
その間にデクストラが部屋を物色しているのが見えた。
おひおひ、こんな状況でよくこんなこと出来るわねf(^_^;
「おっ!あったあった!」
「あなた、何してるの泥棒?」
「ちゃうちゃう。そんなことせえへん」
そう言い、デクストラはプレートに名前みたいなのが書かれたアクセサリーを見せる。
「これはな。冒険者の登録証なんよ。身分証みたいなもんやな。これだけで、持ち主の冒険者がどれくらいの強さだとかがわかるんやで」
へぇ~、そうなんだ。
「てか、そんなことも知らんのかいな、姫はんは」
「まあね。冒険者じゃないし」
それを聞いて目を見開くデクストラ。
「ちょいちょいちょい!それ、ホンマでっか?」
「ええ、本当だけど…それがどうかしたの?」
「いや、何でもないんよ。ただ、冒険者の義務のひとつとして見つけた冒険者証はギルドに届けなあかんのよ」
「ふーん。なんで?」
「身分証みたいなもんやと教えたやん。まー、こいつだけがギルドに戻ってきたら、持ち主の死亡が確認されるんやわ。ほんで、遺族なんかにも連絡を一応するんよ」
「死亡が確認される?」
「そや。冒険者なんちゅー商売は何処で何が起こるか分からへん。罠にはまって壁の中っちゅうこともあるとかないとか。死体も残らない、生死不明で行方不明なんちゅうことはザラやしなぁ」
「なるほど、そういうことなのね」
「せや」
わたしもデクストラに協力して冒険者証を探す。
「上位の亜人どもはたまに自分達がぶちのめした冒険者達の冒険者上位をコレクションしおるのもおるらしいで」
そういうものなのね。
「あ、後ウチは保護していた子供達をつれてくるさかい、先に外出たってや」
デクストラに言われるまま、外に出る。
この小鬼の洞穴で保護した女の子達は10名ほど。
人間、
「姫さま。如何しますか?」
「そうね。確か、近くに川があったわよね。清潔な水も欲しいし、川の方に移動しましょうか」
「畏まりました」
川までは直ぐだ。
川についたらルナに火を起こしてもらった。そして、川の水を汲んで、湯を沸かす。
得る程度温まったところで、その鍋を外し、清潔な布を濡らして温かいタオルを作り、1人づつカラダを丁寧に拭いてあげるわたし。
体表面だけでなく、秘部も念入りに。
所々、傷跡が目につく。
酷い扱いを受けていたんだろうな…
「ごめんね、本当は湯につからせてあげたいのだけど、今は用意出来なくて…これで我慢して」
女の子達はただただ「ありがとう」とだけ呟き、涙を流す。
「姫はん。エエもん持ってきたで。これ、みんなに着せたってや」
デクストラは放置されていた木箱の中から清潔で痛みの少ない布を持ってきてくれた。
ルナに頼み、適当に処理してもらいスモックというかポンチョ風の簡易な服をつくってもらった。
全員の身体を丹念に清拭して、清潔な服を着せてあげる。
そこで、わたしはマジックポケットから保存食の干し肉や干野菜を取り出す。
お芋に玉ねぎ、お豆、トマト。
沸かしておいたお湯に干し肉を一口大にカットしたものと、同じく根菜類も一口大にカット。
この洞窟に来る途中で採ったキノコも入れる。
え?毒とか大丈夫なのかって?
そこは大丈夫。わたし、サバイバルというかアウトドア好きだったから見分け方とか習ったし。
スパイスを入れ塩コショウで味を整える。
うん!良いお味ね!
そして、川に仕掛けておいた罠を回収。そこにはお魚がたくさん。
そのお魚達は持ってきてきたハーブや採った山菜と一緒に蒸し焼き。
香草焼きみたいな感じね。
「うわぁ、良い匂いだね、おねえちゃん」
「美味しそうだねえ」
そこに現れたのはデクストラが保護していた2人の人間の子供。
年は5、6歳ってところかな?
男の子はソル。女の子はステラ。
「ソルとステラね。わたしはルクスリアよ。よろしくね」
わたしは2人を抱き締める。
嗚呼、可愛い…
「姫さま。食事が仕上がりました。皆に与えます」
「ええ、頼むわ」
ルナの一言に子供達の顔が更に明るくなる。
「お姉ちゃんって、おひめさまなの?」
「そうよ」
「すごーい!」
「ひめさま、すごーい!」
それから、すっかり懐かれてしまい、食事も一緒に取った。
この2人は商隊の子供で、親は
これから、この子達の成長を見守って行くことになるんだけど、まさか、あんなことになるなんて今のわたしの頭には微塵もありませんでした。
夜は簡易テントを立てて被害にあった女の子達を休ませることにした。
子供2人はデクストラの持っていたテントで休んでもらっている。お腹もいっぱいなのか、よく眠っている。
見張りは、ルナ、わたし、デクストラの3人で交代しながら。
まぁ、みんなも想像つくと思うけどるルナが
「姫さまに見張りなどさせられません!」
何て、言ってきたけど、ルナも身体を休めて欲しいからそれはダメ。そこは譲らなかった。
それに、女の子達の様子も気になるし。
わたしの風俗の仕事で知り合った女の子のようにならないとは限らないから…
ある日、呑みに行って話をしたとき。
その娘も実はレイプの被害者だった事を急にカミングアウトされた。
面食らって、あたふたしたわたしは、
じゃあ、なんで風俗なんかしてるの?って質問してみた。
そしたら
ーセックスしている時だけ。あの嫌な記憶を上書きできるからー
その娘は言った。
その娘は風俗の仕事だけではなく、マッチングアプリなんかも使って、兎に角隙間なく色々な人とセックスを繰り返してたんだって。
お金でも、愛でもない。
ただ、ただ、忌まわしい記憶をその瞬間だけ上書きし、忘れるためだけに。
後は、2人でお酒の勢いで、今までの仕事のお客さんの愚痴なんかを面白おかしく話して、解散した。
そして、その娘はその日、自殺した。
別れ際の一言が今も心にチクリと刺さる。
ー話を聞いてくれて、ありがとうー
変に正義感の強かったわたしは、その娘の自殺を悔やんだ。
何でもっと力になってあげられなかったんだろう。
わたしは、救出した女の子達をその娘に重ねてみていた。
何度、想像してもおぞましい。
きっと、心にはわたしの想像を絶するようなダメージを負っているに違いない。
あの娘みたいに自ら命を絶ってしまうかもしれない。
そんなことは、ダメだ!
ー今度こそは、救ってみせるー
わたしは、久方ぶりに穏やかに休めている女の子達を見て、その決意を固めたのでした。
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