第2話 そして、目覚めるわたし
う、う~ん…
あと、5分…
等と寝ぼけるわたし。
うっすら目を開けると、天蓋付きの超豪華なクイーンサイズのベッドに横たわってる。
嗚呼、なんてふかふかで寝心地良いの…
段ボールに薄い毛布一枚とか、ネカフェのシートとは大違い♪
そういえば、プリンセスに転生したんだっけ。
ゆっくり身体を起こすわたし。
わお!ネグリジェ着てる!セクシーで可愛いじゃん!
体育の時の短パンとTシャツとは大違いね!
肌も白くてキレイ。
な・に・よ・り♪
おっぱい大きい!
コレコレ!このくらいのサイズが欲しかったの!
カタチもサイコー!
女神さま、ありがとー。サービス満載じゃん!
わたしは自分の容姿を確認したくなったので姿見みたいな鏡を探す。
をっ!
あったあった♪
わたしは薄目で下を見ながら姿見の前に立つ。
どれどれ…
足元から姿見に移る自分を見る。
スラッと長い足。
ただ長いだけではなく太股は丁度良い感じの太さ。細すぎず、筋肉付きすぎず、それでいてほんの少しムッチリしてる。色っぽい脚!
キュッと上がったお尻も申し分ないカタチ。
ウエストはバッチリクビレ!
お腹回りには無駄なお肉はなくてうっすら立て線が!
おっぱいはさっきも言った通り。
大きくて~、カタチも良くて~。
ボン!キュッ!ボン!って感じ!
細くて巨乳!完璧なボディですよ!
素晴らしい!素晴らしい肉体ですよ!女神さま!
嗚呼、これだけのボディがあったなら憧れだった彼とか、あの人とか振り向かせること出来たかな?
サヨナラ、貧相だった人間の頃のボディ!
ウェルカム、スーパーモデルもグラビアアイドルも人気セクシー女優もビックリなパーフェクトボディ♪
最後に顔を見る。
髪の毛の長さは金髪セミロング。少しウェーブの入った癖っ毛で髪の毛量は多めね。
口からは八重歯が覗いているわね。
瞳は最高峰のルビーの様に赤くって。
お耳はちょっと尖ってて…
ん?尖ってる?
頭には、
頭には、、
頭には、、、
つ、角?
角があるぅぅぅぅぅぅ!!!!
「な、なんじゃこりゃ~~~~~!!!!」
その時、勢いよく部屋のドアが開く。
そこには、やっぱり頭に角の生えた耳の尖ったメイドの女性が。
「ひ、」
ひっ!て、何よ!
何もしてないわよ!
取って食ったりしないわよ!
「姫さまがお目覚めあそばされましたぁぁぁ!!!」
猛ダッシュで部屋から出ていくメイドさん。
待って!待って!行かないで!状況を教えて~(汗)
行っちゃった…
今「姫さまが目覚めた」って言ってたわね。
あっ
そういえば女神さまが「貴女に分かりやすく言うと植物状態の個体です」とか言ってたわね。
そっか、このカラダの元々の主がそうなのね
あと、とりあえずメイドさんが「姫さま」とか言ってたからプリンセスなことは確かね。
ドタドタドタドタ
この部屋に迫る足音が聞こえる。
「おおおおお!ついに、ついに目覚めてくれた!」
「ルクスリア?わかる?ママよ!」
豪華な服を着た男の人と女の人。勿論、角は生えてるし、耳も尖っている。
多分、お父さんとお母さんだ。
それから、このカラダの娘の名前は「ルクスリア」って言うみたいね。
なので、今からわたしは「ルクスリア」。転生前の名前は忘れよう。
お母さんは思いっきり抱きついてくる。
わたしはわたしより大きな胸にギューと顔を埋められる。
もうね、ミシッ!ミシッ!ミシッ!って音がするくらい。
「く、苦しい…」
まぢで。
おっぱいで窒息するとか、まさにこれだわ。
「ご、ごめんなさい。貴女が100年ぶりに目覚めたものだからママ、嬉しくって…」
へ?100年?
「ルクスリア!パパだぞ!お前が人間達の卑怯な攻撃で頭に大ダメージを受けたと聞いた時はこの世の終わりかと思ったぞ」
大きな手で頭と角を撫でてくれるお父さんっぽい人。
嗚呼、お父さんの手ってこんなに暖かいんだ…
18歳にしてクソオヤジとクソアニキの作った借金にまみれ。
それを返すためにとはいえ、お金のために男の欲望で汚され尽くされたカラダ。
心、死亡。
それに比べてこのお父さんは何?
父親って、やっぱり良いものなのね。
「パパ…」
わたしはつい、お父さんっぽい人に抱き付いてしまう。
わたしだって、お父さんに甘えたかったんだから!
「よしよし」
嗚呼、このパパとママ。本当に好い人だぁ。
娘の事、愛してるのね…
「あ、あのね。パパ、ママ」
わたしは意を決して話す。ま、所々誤魔化してだけど。
とりあえず、記憶がない、ということにした。
100年の間眠っていて、その時見ていた夢(現代の生活)を鮮明に覚えていて、記憶が混同してるって事にもした。
「そうか。ルクスリアも大変だったのね。大丈夫よ。何があっても貴女は私達の娘よ、ね。パパ」
「そうだとも。新しく生まれ変わった気持ちで過ごしなさい」
じ~ん…
感動…
やっぱり、良い両親だぁ…
「ありがとう。パパ、ママ」
ここでわたしは1つ咳払い。
「とりあえず、服、着替えさせて」
その時、わたし以外のヒトがはじめてわたしがネグリジェだったことに気付いたのでした。
着替えを手伝ってもらいながらメイドさんに話を聞くわたし。
どうやら、わたしは魔族に転生したみたい。
少し尖った耳と角が外見的な特徴みたいよ。
それから、このおうちは魔族の7大公爵家というお家柄みたいね。
ランク的には魔王。
つまり、わたしは公女さまであり、魔王の娘ということね。確かに、一応、プリンセスだわ。
元々のわたしは100年くらい前に人間との戦いで頭にダメージを追って昏睡状態になってたみたい。
女神さまは植物状態って言ってたから、脳死みたいなものだったのかな?
どうやら魔族は他の種族からはすこぶる評判や心象が悪いみたい。
まー。わたしもゲームなんかの知識や設定だけで判断するなら、そうなるかな?
「如何でしょうか、姫さま?」
服を着替え終わるわたし。
変に動きにくくない感じ。ちょっぴり胸元が強調されたミニワンピ風の服に、その上からアウターを羽織る。
やっぱり、公爵家、質はすごくいいわね!
それでいてさりげなく高価なアクセサリーを身につける。
指輪、イヤーカフとイヤリング。ネックリングにチョーカー。ブレスレット。髪飾りにバレッタ。
元々のルクスリアさんの持ち物ね!センス良い!
うん!
わたしの見た目の魅力全快ね!
「うん!うん!すっごくいい!」
「ようございました」
メイドさんは慎ましく下がる。
「ねえ!お茶持ってきて」
「はい。畏まりました」
数分後にメイドさんはお茶のセットを用意する。
「あなたのも淹れなさい。あなたとお話したいの」
「そ、そんな、私にその様な資格は…」
「いーから淹れなさい!それともわたしの言うこと、聞けない?」
「いえ、そういうわけでは…」
「じゃあ、いいじゃない」
メイドさんは2人分のお茶を淹れる。
良い香りね!
「さっき、パパとママに話したけど、わたし、記憶がないの。だから、お茶がてらこの世界の事教えてもらいたくて」
「成る程、そういうことでございましたか。では、僭越ながら私が…」
このメイドさん、名前はルナ。
100年寝たきりのわたしのお世話をずっとしてくれてたんだって。
この世界。
現代ではよくあるファンタジーものの世界観そのもの。種族がいっぱいある世界ね。
ただ、大昔に興った戦争かなんかの影響の偏見でわたし
まー、悪いことしていた
でも、人間なんかも悪いことしてるじゃん?現代がそうだもんね。
「成る程~。世界の事何となく分かったわ!」
わたしは立ち上がり着衣を整える。
「ね、少し身体動かしたいんだけど?お城の中とかお庭とか案内してよ」
「畏まりました。では、お茶を片付けてきますので少々お待ちを」
こうして、わたしはルナにお城を案内してもらうことに!
いやー、楽しみだなぁ♪
と、思ったのも束の間。
中身は現代人のわたしから見たらとんでもない問題だらけなのが分かっちゃうのだけど、それはまた次のお話。
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