言語や数の概念まで掘り下げた異世界描写は必見

5章まで読ませていただきました。
基本的には学校まるごと転移という異世界転移ファンタジーの一種で
始まってすぐの段階では教職員版「漂流教室」か、という印象でしたが
現地の人たちと言語が通じないままに交流を試みたり
その現地語が膨大なルビ振りで逐一記述されるほどにしっかりと考案されているなど
ありがちな中世風にとどまらない、しっかりとした世界観構築がされているように感じました。
また厳密に言えば異世界ではなく地球のどこかである点が早い段階で提示されており
転移してきたこの世界の正体が、大きな謎として提示されていたように思います。
現時点では明確に悪意や敵意のある存在が登場しておらず
現地の人々との接触や、サバイバル自体が殺伐とした展開にならないのに
そこまで平和に進むかな?と少し違和感がなくもないですが
現地での政治的な思惑が働いているような描写もありますし
ギスギスした描写が無いのは登場人物が教職員だらけだから、という風に見れば
作品の独特のトーンとして納得出来るのではないでしょうか。
(もしくは、サバイバルや謎の解明につい期待してしまいますが
ある種のスローライフものという解釈も成り立つのかも……?)
学校の教職員が勢ぞろい、というわけで冒頭から大勢のキャラが登場しますが
キャラの書き分けも丁寧で読んでいて大きく迷う事もないと思います。
現段階ではまだ両陣営の交流が始まったばかりで、お話はまだまだこれからと言ったところかと思いますが
引き続き読ませていただきたいと思います。

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