16.まとめと終わりの時間



 あれこれと旦那様に相談した結果。

 研究内容と成果物はすべて国と協会に提出した。



 水の研究自体、これからも長く続けていくべきだが、研究費用に関しては一個人や一貴族だけでやっていくにはなかなかに負担が大きい。まして、忘れられた技術にならないためにも、今後の世界に続いていくであろう血筋や組織に預けるのが一番という結論に達した。



 手柄とか利益とかまるっと放棄するようなものなので、貴族としては間違っているのだろう。



「しかし、そんなことは今更ですわ!」



 貴族らしさをまるっと投げ捨てているアクエリアス公爵家。世間にすらそう認知されているのでほんとーーーーに今更である。



 若干気になる、マンホール一枚を作るのに通常の魔石の8~10倍近いコストが発生しているのが難点だが、今後の研究次第では下げる余地はあるだろう。のちの研究者たちよ、がんばるがいい。



 水の対する研究のすべてを提出し、それに合わせて衛生環境の悪化による弊害をいくつも列挙した紙も送付したのでいろいろと改善されると思いたい。

 国としてはやりたい、だけど国教が認めてないことだからやれない。中世においてもっとも文化や技術が発展しなかった理由であり、それをどうにかするために教会とも長いことバチバチやりあった。



「考えてみると、よく破門になりませんでしたね?奥様」



「ふっ、お気持ちを納めまくったのと旦那様の交渉能力の高さゆえよ!」



 全く褒められた話ではない。



 さて、最後の仕事をしないといけない。



「ねぇアール」



「なんですか?」



「今までありがとうね」



「はい?」



 そう言って私は目を閉じた。

 自らの記憶の中で二度目の、恐らくは次に目覚めることのない眠りに落ちる予感とともに。



 ガブリエラ・アクエリアス公爵夫人、63歳で永眠する。

 最後の最後まで水に関することを追求し続けた彼女は、予想だにしていなかった多くの民を救った水の第一人者として認められた。



 数々の偉業をもって陰で囁かれていた彼女の二つ名。



 ――水の賢者



 その二つ名は正式に認められて歴史に刻まれ、長く語り継がれた。



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 個人の一生。

 そう最初に書いて始めた作品なので、最後は眠る瞬間という結果に終わりました。



 ちょっと湿っぽい感じ?にならないように気を付けて、あっさりと書いてみたのですが気になった方はごめんなさい。



 中世。

 それ自体を一言でいうと簡単なのですが、実際に中世と呼ばれる期間は1000くらいあるめっちゃ長い期間です。どの時代を題材にするかでも作品の世界観は変わると思います。

 ただ、中世の良い暮らしをした人間で平均寿命は44歳前後と結構若く、63歳まで生きたガブリエラはかなりの長寿命です。しれっと専属侍女であるアールはもう少し生き続けたつもりです。



 さてさて、ここまで読んでくださった皆様。誠にありがとうございます。



 なろう小説などが根付いて短くない時間が経ち、多くの人がマンネリだなーというようになりました。



 そんな中ふとパンダは気づいたのです。



「水の魔法を極めた作品は多くても水自体について書いている人いなくね?」



 実際に探して、パンダが探した程度では見つからなかったことで書き始めたのがこの作品です。パンダに見つけられなかっただけで、実際にはあるよ!ってなったらごめんなさい。



 ただ思い付きで書き始めると、書くにあたって求められる知識量が半端ないことに筆が何度も折れそうになったり、当たり前にあって当然のそれに対する知識量の自分の低さに愕然としました。

 最後のほうはかなり濁した書き方が増え、深く突っ込んだ作品とは言えなくなったのが心残りです。



 とはいえ、終わらせることが大事だと思うのでなんとか駆け抜けました。



 次回作に関しては構想中が複数。

 それと既存の未完結作品に関しては近く、今後どうするかを発表する予定です。



 ここまで読んでくださった皆様にもう一度深い感謝を。



 大熊猫小パンダ。

 

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水物語と水の賢者 異世界の水は硬水だった!? 大熊猫小パンダ @bosenicht69

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