三 魔王と言う名の魔人
美里ちゃんも、大魔王に狙われているのか。にも関わらず、今もこうして、体を張って私を助けてくれるなんてすごいな。
本人からまさかの事実を知り、びっくりしたまりんだったが、何故か納得してしまい、二人の男の子と協力して結界を破り、エディさんから助け出してくれた美里ちゃんに感心したのだった。
「私の名前は赤園まりん。理人さん、勇斗くん、美里ちゃん、これからもよろしくね!そして……ありがとう。体を張ってまで、私を助けてくれて」
穏やかに微笑んだまりんは理人さん、勇斗くん、美里ちゃんの三人に感謝をすると、一歩前に進み出た。
綾さんや、いま背にしている三人の子供達に助けてもらっておいて、自分自身は逃げてばかりで何もしていない。私は、彼らよりも年上のお姉さんなんだから、頑張らないわけにはいかないわね。
「私にはね、霊力の他にもうひとつ、特殊能力があるの。使い方によって変化する、万能の特殊能力をね。私からあなたたちへ、助けてもらった恩返し。ここからは、私も加勢するわ」
決心したように、凜々しい笑みを浮かべてまりんはそう告げた。凜然と前方を睨めつけ、俄然、まりんは闘志の炎を燃やす。強力な死神のカシン、セバスチャン、そしてシロヤマの三人と戦った経験があるからか、はたまた謎の使命感に燃えているせいか、悪魔との初陣なのに自信に漲っていた。
「……まりんさん、ありがとう。けれど、その気持ちだけで充分だ」
悪魔との初陣に張り切るまりんの姿に、水をさすようで申し訳ない、と言いたげに微笑みながら口を開いた理人さん、
「ここで悪魔との戦闘になれば、大勢の一般人の目に触れる。そればかりか、多くの住宅が倒壊、犠牲者が出て、この町が壊滅状態になりかねない。出来れば、無関係の一般人を巻き込まず、内密に事を運びたいんだ。それに……私達にも、まりんさんに恩があるしね」
そう、当たり障りのない言葉で以て、しごくまっとうな意見を述べた。
「それも……そうね」
まるで、物静かな大人のような振る舞いをする理人さんを不思議に思いながらも賛同したまりんは、悪魔との戦闘を諦めたのだった。
事を大きくしないため、いかに一般人の目につかずに戦闘を避けて悪魔から逃げるか。それがいまのまりん、理人さん、勇斗くん、美里ちゃんにとって課題となった。
なにか良い方法はないか。まるで盾のように佇む理人さんを背に、勇斗くん、美里ちゃんの真ん中で佇み、まりんは頭をフル回転させる。
「戦闘を避けて、悪魔から逃げる策を考えるのもいいが、お前ら大事なことを忘れていないか?」
さりげなく、後ろからまりんの肩を抱きながら、気取った笑みを浮かべて問いかけた青年に、まりんは不審に感じつつも返答をする。
「だ、大事なこと……?」
「お前らが今、対峙している魔人……なんであいつらは、お前達の居場所を特定出来たんだと思う?」
「それは……」
徐に問いかけられ、まりんは言葉に詰まった。青年の問いの答えを、まりんは持ち合わせていなかったからだ。何も答えられないでいるまりんに代り、問いかけた青年本人が返答をする。
「それは……お前ら四人の中の誰かが持っている、あるものが関係しているからだ。俺の予想が当たっていれば、そいつにかけられている筈ぜ?この世の人間達も利用する、GPSに匹敵する呪いがな」
「じ、GPSに匹敵する呪い……?」
正体不明の相手からの、ありえない返事を受けて、ぎょっとしたまりんと美里ちゃんがどん引いた。
「一体、誰がそんなことを……」
そこまで言いかけて、はっとしたまりん、着ている真っ赤なコートのポケットからその内側に着ている制服まで、足の爪先から頭のてっぺんまで隈なく探してみたが、青年の言う呪いにかかったものは見当たらなかった。
体からは何も見つからなかったってことは……まさか、体内に?!
我ながらにとんでもない発想を思いつくものだが、これが本当だったらどうしようと、不安に駆られ、まりんの顔が青ざめる。
いや待てよ……確かあの時、エディさんが張った結界に投げつけた物があった筈だけど。
ふと、そのことを思い出したまりん、冷静に記憶を辿ってみる。コートのポケットの中に入っていた狼のチャーム付の、赤ずきんちゃんのアクリルキーホルダー……
まりんにとってそれは、まったく身に覚えがないものだった。それがいつの間にかコートのポケットの中に入っていた。おそらく、まりんを拉致した大魔王が万が一に備え、まりんが気を失っている間に、居場所を特定出来るように呪いをかけたアクリルキーホルダーを、コートのポケットの中に忍ばせたのだろう。
「GPSとは……本来なら、目的地を調べたい時など必要に応じて適切な使い方をするんだけども、中にはこうやって間違った使い方をする
気がつけば、嫌悪感丸出しの表情に薄ら笑いを浮かべて、冷ややかな口調で以て、まりんの心の声が洩れていた。
「あのアクリルキーホルダーに呪いをかけるなんて……どさくさに紛れて、投げ捨てて来て正解だったわね」
「あのさ……そのことなんだけど」
心の底から大魔王を賤視するまりんに怯んだ勇斗くんが、勇気を振り絞って、恐る恐る白状する。
「まりんさんが言っている『アクリルキーホルダー』って、もしかして……これのこと?」
徐に、制服のパンツのポケットから取り出したアクリルキーホルダーが、バツの悪い表情をする勇斗くんの右手で以てつまみ上げられていた。
「そうそう、かわいい狼のチャームなんかも付いて、ふわっふわのぬいぐるみのような、童話の赤ずきんちゃんの絵柄がまたかわいいよね~……ってなんで勇斗くんがそれを持ってるの?!」
見たくもないアクリルキーホルダーの再登場で、思わず乗りつっこみをしてしまったまりんに、勇斗くんが正直に白状する。
「いや……道に落ちていたから、後で交番に届けようと思って拾ったんだけど……ごめん、俺が拾ったばかりに、二人も魔人を呼び寄せちゃって」
ほんとだよ!あんたがそれを拾いさえしなければ……なんて、感情的に怒れない。勇斗くん、なんて良い子なの……?私だったら呪われていようがいまいが、よほどのことがない限り、道に落ちているものは拾わずにそのままスルーするのに。勇斗くん、君は本当になんて良い子なの?
怒るどころか、涙ぐんで感動。本当は怒るべきなのだろうが、アクリルキーホルダーを拾った理由がなんかかわいくて、勇斗くんの心からの謝罪に、怒る気が失せてしまった。
「拾っちゃったものはしょうがないわ。まぁどのみち、そんなものがなくても彼らは私達の行く手を遮っていたでしょうしね」
すっかり怒りが鎮まり、穏やかな表情で以て、勇斗くんの方に顔を向けて微笑んだまりんはすぐさま、
「いい加減、離れて欲しいんだけど。お兄さん何者?ナンパなら、他でやってよね」
そう、警戒心を抱きつつも、眉をひそめて冷静に対応した。灰色のコートを着て、まりんの肩を抱いたまま視線を向けた青年が、気取った笑みを浮かべて静かに告げる。
「俺は、シェルア。魔王と言う名の魔人だよ」
「な、なんですって……?!」
予想外の返事を耳にし、目を丸くしたまりんが思わず、驚きの声を上げた。
シェルアと名乗った青年に驚いたのはまりんだけではない。
魔王だと……?!
大魔王さまではなく、まさかの魔王さま降臨。想定外の事態に、目を丸くした理人さん、勇斗くん、美里ちゃんの三人も驚愕したのだった。
驚きと異様さが入混じる、言葉では言い表せないほどの空気が辺りを満たす。堕天使、死神さま、冥府役人さんときて、今度は魔王さまと遭遇。人間界となるこの世界に降臨した理由は今のところ不明だが、相手がただの人間でないことは明白だ。
より一層、気を引き締めないとやられる。気取った笑みを浮かべる、油断ならない魔王に。
気を引き締めた表情をしたまりん、理人さん、勇斗くん、美里ちゃんの四人が意を決する。最大級の警戒心を抱いた四人に対し、冷静沈着な雰囲気を漂わすシェルアが徐に口を開く。
「たまたま、ここを通りがかったらお前の姿が目に入ったんでな。目的を達成するために、ここに立ち寄ったんだ。大魔王の幹部二人と睨み合っているとは思わなかったが……」
「目的って……?」
「使い方によって変化する、万能の特殊能力を持った赤ずきんの
使い方によって変化する、万能の特殊能力……それすなわち、堕天の力のことを意味する。
シェルアは知っているに違いない。まりんこそが、堕天の力を持つ赤ずきんちゃんであることを。でなければ、まりんをスカウトしに来ないだろう。ならば、シェルアに対するまりんの答えはもう決まっている。
「ごめんなさい。私は、あなたと仲間になる気はないわ。今はゴーストだけど、未練を晴らしたら生身の人間に戻るつもりよ。そのために私は、今のままで、普段通りに生きることにしたの」
ゴースト化してもなお、そんな風に答えられるのはきっと、生身の人間だった頃と相も変わらぬ生活を送れているからだろう。
中学校から高校へ進学して、勉学に励みながら学校近くの花屋でアルバイト。小さな頃から抱く夢に向かって一歩ずつ進んで、時には落ち込むこともあるけれど、苦難を乗り越えた先に見えてくる「答え」を理解して成長する。
いいことも悪いことも全部ひっくるめて、人としての人生を、ゴーストの形で歩めているのだから、魔王さまからのスカウトがあったところで怯まない。それくらい、まりんには気持ちに余裕があるのだ。そんなまりんの気持ちを見透かしたのだろうか。シェルアが突然、大笑いした。
「気に入ったぜ!赤園まりん、俺は諦めが悪いんでな……お前が
そう、あくどい笑みを浮かべて断言したシェルアに怯んだまりんが、どん引いた顔でうげぇ……と呻いた。と、その時。着信を伝えるスマホのバイブレーションが作動。マナーモードにしているスマホを、着ているコートのポケットの中から取りだしたシェルアが電話に出る。
「今は取り込み中だ。また後でかけ直す」
シェルアはそう、不機嫌そうに告げると通話を終了……とまでは行きそうになかった。スマホで以て、通話をするシェルアの話に聞く耳を持たない相手が何事もなかったように話を切り出したのだ。
「取り込み中なのは百も承知だ。なに、そんなに時間は取らせんよ。手短に要件を伝える。赤園まりんを仲間にするのはいいが、魔人にするのはやめておけ。今の彼女には、どんなに強い闇の魔力を以てしても敵わぬ無敵の力に護られているのでな。
どんな因果があるのかは、流石の私にも分からぬ。が……どうやら私にとっても、お前にとっても想定外な人物が彼女に加護を与えたらしい。よって、無敵の加護を与えた何者かが、赤園まりんの近くにいる筈だ。彼女を仲間にしたければ、まずは今も正体を隠している相手を炙り出すことだな。話は以上だ」
低音ボイスなくせして偉そうな男の美声。天神アダムは、地位など関係なく相手と会話をする時はいつもこんな感じだ。
「……電話を切る前にひとつ、訊いてもいいか?」
仏頂面でアダムの話を聞いていたシェルアがそう、冷静沈着に尋ねる。
「私が答えられる範囲なら」
気取った口調のアダムから返答を得たので、顔色ひとつ、口調も変えずにシェルアは疑問を口にした。
「あんたいま、どこでなにをしているんだ?」
「中世の英国貴族なら羨むほど、豪華絢爛な大魔王の屋敷にて、大魔王本人を赤園まりんから遠ざけるための足止めをしている。そう……今まさに、大魔王と茶会を開いているところだ。お前と話をするため、一時的に席を離れ、廊下に出ているがね。他に、質問は?」
「いや、それだけ聞ければ充分だ」
アダムから重要ヒントを得たシェルアは返事をすると、
「先にも言った通り、今は取り込み中につき、これで失礼する」
アダムにそう告げて電話を切った。
どんなに強い闇の魔力を以てしても敵わない、無敵の加護の力……か。どうりで闇の魔力が効かないワケだぜ。
アダムの話を聞いて妙に納得した。三人の子供達と一緒にいる赤園まりんの肩を抱いた時からシェルアはずっと、自身の強力な闇の魔力をまりんに当てていたのだ。
赤園まりんがゴーストであることを利用して、闇の魔力で以てその清い魂を穢し、魔人に転生させる。それがシェルアの狙いだったが、何者かが赤園まりんに与えた無敵の加護により阻止された。
その影響で、闇の魔力が無力化してしまうとは。こんなにバカバカしいと感じたことはない。
シェルアはフッと、降参の笑みを浮かべたのだった。
「ねぇ、あなた……いつまで、私の肩を抱いているつもり?」
「そんなに嫌なら、離れてやるよ。お前が俺の誘いに
横目で睨めつけつつも不愉快そうにまりんは尋ねると、顔を近づけて意地悪なことを言ったシェルアが気取った笑みを浮かべた。シェルアに意地悪され、はぁ……と溜息を吐いたまりんがげんなりしたのは、言うまでもない。
「どうする?理人……」と、勇斗。
「あーやって、魔王が彼女にぴったり張り付いているとなると、手も足も出せないな」と、理人。
「でも、このままじゃ……」と、美里。
理人を真ん中に、勇斗、美里の三人が、赤ずきんちゃんを捕らえた魔王さまから少し離れた場所に集まり、眉間に皺を寄せながらひそひそ声で話し合う。
「問題は、どうやって、まりんさんから魔王を遠ざけるかだけど……」
「おい、お前ら」
三人のやりとりを、その後ろからしばし見ていたシェルアが真顔で注意を促す。
「俺にとっ捕まった赤園まりんの救出策を講じるのはいいけど……そういうのは、時と場合を選んでやるもんだ。でないと……一瞬の隙も見逃さない敵の
シェルアがそう言い終えるか終えないうちに、前方から本藤とともに突進してきた東雲が右手に携えた槍を振るい、撃った赤い光線二発が理人、勇斗、美里がいる方へと命中した。
東雲が撃った赤い光線二発のうち一発は、魔王が瞬時に張った結界に当たり、魔王自身やまりんに当たることなく事なきを得た。
「美里ちゃん!理人さん!勇斗くん!」
結界の外は、赤い光線が命中したことにより、もうもうと上がる土埃で視界不良。そんな最中、顔面蒼白になったまりんが、結界の中から三人の名前を叫ぶ。すると……
「私達なら、大丈夫よ!」
まりんの叫び声に
ウェーブした金髪を腰くらいまで垂らした、凜然たる美女戦士が、黄金の鎧をつけた銀白色のドレスを身に纏い、真っ赤なルビーをあしらったプラチナ製の剣を携え、美里ちゃん、理人さん、勇斗くんを背に、佇んでいる。
「守護を司る精霊、アイ・スフィル……話には聞いていたが、まさか本当に、精霊を操る魔法使いが存在していようとはな」
突如として出現した、守護を司る精霊の、凜々しくも神々しい後ろ姿を見詰めながら、シェルアが感心の声を洩らす。
「すごい……精霊なんて、初めて見た」
精霊王と契約する魔法使い、久世理人の実力を目の当たりにしたまりんは感服した。
「俺も、精霊なんて初めて見たよ。長年、死神やってるけど……後ろ姿だけでとびっきりの美女ってはっきり分かる精霊なんて、そんなにいないよな」
余裕があるような、妙に間延びした口調。そしてなんとなくだが、チャラさが漂っている。この、聞き覚えのある青年の声に、はっとしたまりんがすかさず反応。
「シロヤマっ……?!」
「やあ、元気そうでなによりだよ」
シェルアに肩を抱かれたまま、顔だけを動かし、背後から姿を見せたシロヤマを見詰めるうちに、まりんはあることに気付く。
「あなた……全身、傷だらけじゃない」
「うん、まぁ……色々あってね。そこにいる魔王さまに用があって来たんだ」
気さくな笑みを浮かべて、言葉を濁しつつもまりんにそう告げたシロヤマ。なんだかワケありのようだ。そんなシロヤマに向かって、シェルアが冷ややかに口を挟む。
「俺には、お前に用はねーけどな」
素っ気ないシェルアの態度にフッと、気取った笑みを浮かべたシロヤマがやおら返事をする。
「つれないねぇ……こっちは死に物狂いで追いかけて来たって言うのに……」
「町外れの廃墟ビルの屋上で決着はもう、ついただろーが。折角、見逃してやったのに……」
「俺に対する気遣いは無用だ。あんたには、因縁もあるしな……ここいらで決着つけさせてもらうぜ!」
「ち、ちょっと待って!こんなところで戦闘なんてしたら……」
家々が建ち並ぶ、平凡な町の中で戦闘なんてもってのほかだ。いよいよ焦ったまりんが、慌てて待ったをかけようとした時だった。
「いいんじゃないか?ここら一帯は、天神アダムが張り巡らす結界の中だ。結界の外に出さえしなければ、我々の姿を一般人に目撃されることもないし、家々が建ち並ぶこの町も壊滅しない。ここはいわば、バーチャル空間だからな。よって、この空間の中で戦闘が勃発しても何ら影響はない」
良く通る澄んだ青年の声がした方向に、まりんが顔を向けると……耳に掛かるくらいの焦げ茶色の髪に切れ長の、栗色の目をした容姿端麗の青年が絢爛な着物を身に纏い、神々しい雰囲気を漂わせてそこに佇んでいた。
「シェルアよ……彼は、死神になりたくてなったのではない。自身が、その原因の一端に関わっていることを忘れるな」
厳粛にそう、美青年がシェルアに釘を刺すと徐にまりんの手を取り、語気を強めてこう断言した。
「彼女の身柄は、私が預かる。お前に、赤園まりんはやらん。どうしても仲間にしたければ、精霊王の私を斃してからにするんだな」と。
「まりんちゃん!」
自ら精霊王と名乗った美青年にぽっと頬を赤らめたまりんに向かって、シロヤマが決心をしたように告げる。
「後で、まりんちゃんに伝えたいことがあるんだ。だから……先に喫茶店で待ってて。俺も用事が済んだら、すぐに向かうから」
わざと明るく振る舞い、優しい微笑みで以てそう告げたシロヤマに、一抹の不安を抱いたまりんは、
「うん、分かった!先に……喫茶店で、待ってるから。だから……無茶はしないで。命を無駄にしないって、約束して」
努めて明るく振る舞おうとしたが、結局顔を曇らせてしまい、心配そうにそう告げて、シロヤマに約束させた。
「うん、約束する。ありがとう、俺を気遣ってくれて」
優しく応えたシロヤマは、満面の笑顔で以てまりんと約束をする。
「行くぞ」
そう、静かに促した精霊王とともにまりんは姿を消した。
「ねぇ、今の……見た?」と美里。
「ああ……正真正銘の精霊王だったな」と理人。
「やっぱり、あの人が言っていたことは、本当だったんだな。赤園まりんさんが、俺達を助けてくれたこと……」と勇斗。
アイ・スフィルが張る結界の中で身を護りながら顔だけを後方に向けて、この場に降臨した精霊王と魔王シェルア、そしてシロヤマと言う名の死神とまりんさんのやりとりを見ていた三人は思わず、息を呑んだ。
「私達も、こうしてはいられない。早いとこ東雲と本藤を蹴散らして、喫茶店に向かおう!」
気持ちを落ち着かせて、自身に言い聞かすように理人さんがそう、綾瀬くん、美里の二人に告げた。俄然、気合いが入った美里、理人さん、綾瀬くんの三人。守護を司る精霊、アイ・スフィルの力を借り、攻め入る東雲、本藤に立ち向かうのだった。
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