私を一人にしないで……

 ゴゴゴゴゴゴ!!


 俺 三枝康一さえぐさこういちと生徒会長である今宮美鈴いまみやみすずさんのいる反省房に、

 強烈な揺れが襲った……。


「何だ、地震か!?」


 断続的な横揺れは地震ならかなり大きな震度だ、談話室に並べられた机や椅子が、

 ガタガタとぶつかり合い激しい音を立てる。


「きゃっ!?」


 目の前の美鈴さんが悲鳴を上げたことに俺は驚いてしまった、

 現役女子高生として初のおっぱいソムリエSランク合格者、格の違いをまざまざと

 見せつけられていた俺は、あと一歩で陥落寸前だった……。


 俺にとって雲の上の存在である生徒会長が、ソファーの上で頭を抱えながら、

 身を固くしてブルブル震えていた。


「……美鈴さん、もしかして地震が怖いの?」


「せ、生徒会長の私が地震を怖がるなんてありえません!! 昔からことわざで怖かったり苦手な物を、地震、雷、火事、親父と呼びますが、さしずめ私の場合は、男、家事、猫ちゃん、お袋ですわ……」


 ……美鈴さん絶対に動揺してますよね、完全に目が泳いじゃってるし。 


「ちなみに男が苦手なのは、ここが女子校なので分かるんですけど、それ以外って何ですか?」


 美鈴さんのオリジナルことわざなのか……。


「家事全般は子供の頃から家に執事やお手伝いさんがいたから、自分でやったことがなくて苦手意識が強くて……。猫ちゃんは可愛いからホントは大好きなんだけど、私、小さい頃から猫アレルギーがあって触ることが出来ないの。お袋さんは私のお母さんの意味だけど、昔から厳しい教育方針で家事が苦手な件と併せて、このままでは良いお嫁さんになれないと言われるのが、かなりプレッシャーなの……」


 不安げな表情を浮かべながら、気持ちを吐露してくれる、彼女の知られざる一面が垣間見えて、俺は何だか嬉しくなった。


「何で敵対しているあなたに、私の悩みを言わなきゃいけないの、さあ勝負の続きを……。 ええっ!? きゃああっ!!」


 また大きな横揺れが始まった!? 更に大きくなるぞ、この建物は大丈夫なのか!!

 俺がソファーから降りて、入り口に向かおうとした瞬間、後ろから不意にセーラーブレザーの裾を掴まれてしまった……。


 驚いて振り返ると、俺の上着の裾を怯えた表情の彼女が握りしめていた。

 今にもこぼれ落ちそうな涙を浮かばせなから。


「み、美鈴さん!?」


「あなたの正体はまだ分かりません、敵なのか、味方なのか、そんなあなたにお願いをする私は愚かかもしれない……。笑ってくれても構わないわ、ふうっ!!」


 美鈴さんが大きく溜息をついた、自分を落ち着かせる為だろう。


「生徒会長権限であなたに命令します、この揺れが収まるまで、わ、私から離れないでください……。 約束してくれますか?」


 潤んだ瞳でじっと見つめられる、もう冷徹な生徒会長はどこにもいない。

 ここにいるのは怯えた瞳の少女だけだった。


「……美鈴さん約束するよ、あなたから離れたりしない」


 美鈴さんの瞳に明るい光彩が戻った、安堵したのか柔和な微笑みを浮かべる。


「おっぱいソムリエとして索乳さくにゅうした私だから言えることがあります。おっぱいには敵も味方もありません、私の父がいつも言っていました。

【想像してごらん、戦争や宗教も、そして国境もない世界を、想像してごらん、おっぱいで埋め尽くされた世界を、君は笑うかもしれない、僕を夢精家だって……。争いも飢えもないんだ、おっぱいのことだけを考えればいい。たった一つのシンプルな言葉、と口にするだけで、君は幸せな気持ちに包まれるだろう】と……」


 その言葉は俺の亡くなった親父と同じ思想だ!!

 何故、美鈴さんのお父さんが同じことを言っていたんだ!?


「美鈴さん、その言葉はおっぱい冒険家だった俺の亡き父も言っていました」


 俺の言葉を聞いて彼女の黒目がちな瞳がさらに大きく見開かれ、意外な名前を口にした。


「もしかしてお父さんの名前は三枝誠治郎さえぐさせいじろうさん!?」


 親父の名前を何で美鈴さんが知っているんだ……。


 俺の父親、三枝誠治郎は世界的なおっぱい冒険家で、同時にストロングスタイルな巨乳ハンターでもある。協会公認トレカも発売されていて、親父がレジェンドおぱソムの一人としてSSRカードに登場したことは俺の一番の自慢だ。


「確かに俺の父親だ、でも美鈴さんがどうしてその名前を知っているんだ?」


「康恵ちゃんじゃなく、三枝くんと呼んで良いかしら? あなたのお父さんにはお世話になったわ、父から聞いたことだけど、私が赤ちゃんの頃、おしめも替えてくれたそうね……」


 美鈴さんが赤ん坊のころ、親父と接点があっただと!?


「……三枝くん、私の父親の名前は乳大事槍恒ちちだいじやりつねなの」


 ええっ!? おっぱい界の生ける伝説、前人未踏の千人○リの偉業を持つ、

 【間違いだらけのおっぱい選び】の著者、乳大事槍恒先生が今宮美鈴さんの父親だってぇ!! 乳大事先生は俺の父親の師匠でもあるんだ。

 

 でも嘘だろ!? 名字も違うし、一体全体どういうことなのぉ……!!



 次回に続く。




 ☆☆☆お礼・お願い☆☆☆


 最新話まで読んで頂き、ありがとうございました。


 面白いと思っていただけましたら、


 レビューの星★★★でご評価頂けたら嬉しいです。


 つまらなければ星★1つで構いません。


 今後のやる気や参考にしたいので、何卒お願いしますm(__)m



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