あなたでわたしをいっぱいにして。そのに

 ……康恵ちゃん、って美鈴さんは名前を呼んだな!? 俺は女装が完全にバレたと思っていたがどうやら違うらしい。


 美鈴さんは気丈に振る舞っている様子に思える、触診のためか医療用の薄いゴム手袋を両手にめ始めた。


 ……もう少し静観してみるとしよう。


 彼女の目に映った俺の姿はさぞかし滑稽だっただろう。

 にゃむ子さんや映研の佐藤の協力で完璧に仕上げられた上半身のおっぱいに比べ、

 もっこりと禍々まがまがしい膨らみが白い布を突き破らんばかりの部分。


 ド変態コンテストがあったら間違いなくぶっちぎりの優勝だろう……。


 やっぱり前言は撤回する。これで俺の正体がバレないはずがない。

 正美、亀の湯のみんな、俺は残念だかこれまでだ、本当に申し訳ない、

 俺は観念して天井の虚空を仰ぎ見る


 むんず!?


「早く康恵ちゃんの身体から出て行きなさい、鈍色にびいろの悪魔め!!」


「……ぐおっ!!」


 俺のコッドピースを乱暴に掴んで、グイグイと引き抜こうとする美鈴さん。

 俺の身体にもの凄い激痛が走る、いやああああっ、やめてくれっ、美鈴さんっ!!

 野菜の収穫じゃないんだから、根っこから抜けるわけないだろ!?

 か、カブや大根じゃないんだよぉ。


「んんっ!? 何で抜けないのよぉ、このば、ばい、い、嫌っ!! 破廉恥すぎてわたくしの口からこれ以上、言えないっ……」


 み、美鈴さん、ぽんこつカワイイにも限度があるよぉ……。


 彼女はコッドピースを別のと勘違いしているんだ。

 俺の女装には気が付いていない、女の子の康恵ちゃんが別のモノを身体に装着しているとしか疑っていないんだ。


「康恵ちゃん、女の子のデリケートな部分がきっとあなたはキツキツだから抜けないのね!? お願い!! の圧を緩くして……」


 美鈴さんの口からあられもないパワーワードが飛び出した!!

 ○いぶは破廉恥で言えなくて、こっちは言えるのぉ!!

 俺は激痛も一瞬忘れるほど驚いてしまった。


「み、美鈴さん、ちょ、ちょっとストップ!? 前ばり君!! じゃなくて本気マジに、手を止めてぇ!!」


 息も絶え絶えに成りながら俺は涙目で命乞いをした。


「康恵ちゃん、恥ずかしがることはないのよ、ほら私はあまり経験がないけど、文学作品でもあるよね、女子校でお互いが相思相愛になって求め合ううちに、そ、その道具を使ってネコとタチになって、泣かないでぇ~♬ って何ヒロシすることは良く川〇文学にもあるじゃない!?」


 美鈴さん、俺はそんな〇端文学知らないぞ、いったいどんな百合小説なんだ!?


「性欲という鈍色の悪魔に取り憑かれた康恵ちゃんを救い出したいの、康恵ちゃんが望むなら、そんなおもちゃじゃなくて、そ、その……」


 コッドピースを引き抜こうとする美鈴さんの腕の動きが止まった……。


「神様は見ていらっしゃるわ、苦しんでいる人を見捨てて、その脇を通り抜けるのかと……。私はそんな卑怯な人間にはなりたくない」


「……美鈴さん。あなたは!?」


 俺は誤解していたのかもしれない、彼女がこの学園を牛耳る諸悪の根源だと。

 本当の美鈴さんは他の生徒のことを何よりも大切に思っているからこそ、巨乳信仰に染まって行き過ぎたおこないをしてしまうんだ……。


「康恵ちゃんが快楽という悪魔に取り憑かれているなら、私は自分の身を持ってその闇からすくい上げたいの。神様はおっしゃっているわ、右の頬を打たれたら左の頬を差し出しなさいって……。わ、わたしの身体を捧げても構わない!!」


 えっ!? 美鈴さんは何を言っているんだ……。

 康恵ちゃんの身に起こっていることと同じ行いをする!?

 美鈴さんはコッドピースを○いぶと勘違いしている、そして同じ行為をすると。

 ま、まさか!? そこに自分の……。


「……うっ!!」


 いきなり美鈴さんが俺の上半身をソファーに押し倒した。


 肩口を彼女の全体重で押さえ込まれる。

 駄目だ!! 慌てて彼女の手を振り払おうとするが身体の自由が効かない!? 

 しまった、今ごろになって生徒会役員に暴行された痛みが出て来た、自分の意思で腕が動かせない……。


 身動き出来ない俺の身体に彼女が完全に馬乗りになる、

 俺の上にしっとりとした柔肌がのし掛かってきた。


 無言で俺の顔を見下ろす美鈴さん、きゅっと真一文字に結んだ桜色の唇に彼女の強い意志が感じられる。


「やめてください美鈴さん、こんなこと私は望んでいませんっ!!」


「大丈夫、康恵ちゃんとは女の子同士だから私は平気よ……。こんなことするのは私初めてだけど、あなたを私で満たして欲しいの」


 いけないよ美鈴さん! こんな形で可憐な花を散らしちゃ駄目だ。


「康恵ちゃん、ちょっと動かないでね……」


 ぎしっ。


 ソファーのクッションが身体の動きで激しく音を立てて揺れた。

 を包む布地、彼女はその細い指先で、

 熱を帯びた服の一部分を摘まんだ。

 美鈴さんの甘い香りが俺の鼻腔を切ないほど刺激してきた。


「……ああっ、神様、美鈴をお許しください!!」




 次回に続く。



 ─────────────────────── 


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