あなたでわたしをいっぱいにして。

「……ここが反省房の入り口です」


 生徒会長のぽんこつカワイイ姿態をもう少し見ていたかったが、隠れた彼女の一面を見れただけでも良しとするか……。


 反省房は終戦後に建造されたと生徒会長の今宮美鈴いまみやみすゞさんから聞いて、かなりの年代物を想像していた、。頑丈そうな扉は古いがロック機構は指紋認証で現代的にリファインされているんだな、美馬桃花みまももかちゃんの話で俺は勝手に牢獄のようなものを想像していた。


「結構最新鋭なんですね、反省房って……」


「……罰を与えると言っても人権は保障されているのよ。罪を憎んで人を憎まずね、反省部屋は冷暖房完備で下手なビジネスホテルよりも快適かもしれないわね」


 そうなのか、随分イメージと違うな、しかしここに入れられた生徒は反省房から出てくると心神喪失状態になるのは何故だ!? 疑問が残るな……。


「セキュリティーコードを入力後、指紋認証するの」


 生徒会長が白魚のような細い指先でタッチパネルを操作する。


 分厚い扉が音も無く開閉し、俺は扉の断面の厚さに目を奪われた。

 核シェルター顔負けの多重構造になっている。


「ここは反省房としての役割だけではなく、災害や有事の時には緊急避難場所として使えるの、消防法や表向きの届け出もそちらで国の認証は取っているのよ……」


 さすがに抜かりはないな、生徒の懲罰用としての存在が知られたら大問題になりかねないからな。


 扉の奥は空調が効いているのかひんやりとした冷気が流れてくる。


「生徒談話室に着いたわ、三枝さん、ここであなたを検査させて貰います」


 普通の教室ぐらいのスペースに応接セットが置かれている。

 衝立の多さに違和感を感じる、ここも表向きは談話室だが、

 実際には懲罰用の尋問スペースなんだと俺は理解した。


「生徒会長、一つ質問してもいいですか?」


「いいわよ、あ、その前に言っておきたいことがあるの……。私のことは生徒会長じゃなく、名前で呼んで欲しいの」


 えっ!? 生徒会長の名前って名字の今宮いまみやさん……。

 名前の美鈴みすゞ呼びはさすがに無いだろう、いったいどっちで呼べば正解なんだ。


「え、えっと今宮さん……」


 何だか柄にもなく照れてしまう、俺はおっぱい星人でもあるが幼い頃、母親を亡くした経験で年上の女性に優しくされることにあまり慣れていないんだ……。


「私にとってあなたは可愛い後輩よ、親しみを込めて康恵さん、いえ康恵ちゃんと呼ばせて貰うわ。だからあなたにも下の名前で呼んで欲しいのよ」


 ヤバい、俺の心を鷲掴みにされてしまいそうだ。

 さっきのぽんこつカワイイ部分とお姉さんみたいな包容力、

 その高低差が激しい萌えに俺は身体検査前にノックアウト寸前かも……。


「……み、美鈴さん」


「ふふっ、良く出来ました!!」


 男を骨抜きにする笑顔とは今の美鈴さんのことを差すんだろう。

 俺はもっと美鈴さんの全てを知りたい欲求に駆られてしまった。


「何故、美鈴さんは私と二人っきりで身体検査しようと思ったんですか?」


 肝心の質問を投げかけてみた、俺が悪魔に蝕まれているというのも気がかりだ。


「あなたと始めて会った日、通学路での騒ぎを私は最初から目撃していたの」


 えっ!? あの時は調子に乗った俺がぴょんぴょん飛び跳ねてスカートの下、最凶股袋コッドピース様をおギンギンにさらけ出してしまった。


 正美が身を挺して自分のスカートで覆い隠してくれたから気付かれなかったが。


「他の生徒はあざむけても、私の目は誤魔化せないわ!! 私はこの学校の生徒会長だけでなく国家認定の特別技能を習得しているから、そう、百メートル先のターゲットでも目視出来るの……」


 あれっ、どこかで俺も言ったようなセリフだ……。 


 ええっ!? まさかおっぱいソムリエ最高ランクを飛び級で取得した女子高生って!! 俺はにわかに信じられなかったが一つだけ確実に調べる方法がある。


 ……それは毒をもって毒を制すだ。


「康恵ちゃん、あなたを苦しめる鈍色の悪魔から救い出したいの、スカートの下に潜む悪魔を白日の下にさらけ出しなさい!!」


 俺はその場で固まってしまった、美鈴さんがおっぱいソムリエ一級なら、

 確実にコッドピースの存在を彼女に見られてしまったんだ。

 俺の潜入調査はここで完全に終了のお知らせだ。チーン!!


「早くスカートを脱ぎなさい、私が隅から隅までこの目で確認してあげる……」


 美鈴さんがその細い指先を口元にあてがう、形の良い口唇が淫らにうごめいた。


 俺は美しい白蛇に睨まれた蛙だった、彼女の妖艶な色気にコッドピースの中身も

 ビクンビクンと身震いした。


 ふぁさっ!!


 俺の足元に制服のスカートが広がった、まあるく形取られたプリーツの輪。

 頭のてっぺんからつま先まで激しい背徳感が駆け上っていくのが感じられた。


 コッドピースが熱い!! 俺の親友が反応しているだけではない。

 花のように清楚で一点の汚れのない今宮美鈴さんの眼前に

 俺は最高にけがれた物をおギンギンにさらけ出しているんだ。

 鈍色にびいろにそそり立つ凶悪な悪魔、名刀村雨丸の末裔が今宵も処女の生き血を吸わせろと叫んでいる……。


「み、見れば見るほどグロテスクね……!? 康恵ちゃん、待っていなさい

 生徒会長の名にかけてあなたに巣食っている悪魔払いをするから!!」


 次回に続く。


 

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