おっぱいの先っぽををいじり倒したレンタル料金は、銭湯の必要経費で落とせますか? そのに

「……これで足りるかしら?」


 突然、誰かの手が脇から伸びてきて数枚の紙幣がレジに並べられた。


「……あなたは!?」

 

 見知らぬ女性がレジ待ちの列に割って入って来た。

 チラリと俺の買い物かごの中身を一瞥いちべつし目元で俺に微笑みかけてくれた。

 決して軽蔑の笑いではなく親愛のこもった笑顔に俺は感じ取った。


「そのおっぱいに対する貴方の情熱にエールを送りたいだけ、単なるきまぐれだから気にしないで……」


 目深に被った帽子とマスクで目元しか見えないがそれだけでもキレイな女性と

 分かる程だ、俺はあまりの動揺でその人の顔しか見えていなかった。

 混雑したレジから横に外れ、足早に立ち去ろうとした女性に声を掛ける。


「あっ、ありがとうございます!! 代金はお返ししますので良かったら連絡先を教えてください」


「そんなの要らないわ、困った人がいたら君も同じように助けてあげなさい、それだけで充分だから……」


 そう言い残して女性はその場を後にした。

 まるで夢でも見ているようだった、女性の涼やかな目元が強く印象に残ったんだ。



 *******



「……あのときの女性が生徒会長さんだったのか」


 全て思い出した、俺を助けてくれたキレイな目元の女性、

 聖胸女子生徒会長、今宮美鈴その人と同一人物だったなんて!!


「康恵ちゃん、大丈夫、気分悪いんじゃない、りっつ子さんに車止めて貰おうか?」


「どうしたのぉ、後ろの二人とも、深刻な顔しちゃって……」


 正美とにゃむ子さんが交互に心配して俺の様子を伺ってくれる。


「よし、もう少しで学校だ、何とかギリギリセーフだな、このまま、正門前に横点けするぞ、二人とも規律検査、気を付けてな、異変が起きたら携帯に連絡してくれ、私とにゃむ子お姉は校内で待機してるから」


「まさみん、康恵ちゃん、気を付けておっぱいを出すんだよ!!」


 にゃむ子さんが俺たちの制服の最終チェックをしてくれる、

 俺の髪の毛も手早く整えてくれた。

 ウィッグも舞台衣装で使うような高級品で固定方法も専用の固定テープを使う、

 激しい動きにも対応して万が一のずれ、脱落防止になる。


 悪友の佐藤がこしらえてくれた偽のおっぱいもバッチリだ、試しに制服の上から揉んでみた。


 ふにゅ、むにゅ、むにゅ♡


 よし!! 完璧な良いおっぱいだ、サイズ的にはCカップの八十くらいか、

 おっぱい星人の俺には物足りないが、にゃむ子先生のレクチャーだと、

 洋服やブラも一番標準サイズなので、ランジェリーショップで、

 セール品も選り取りみどりで良いことだらけだよ!! って言ってたな……。

 Dカップの正美にも羨ましがられたし、ただ谷間を作るのがまだ苦手なのがたまにキズか。


「じゃあ、にゃむ子さん、りっつ子さん、行ってくるね……」


「検討を祈る、文字通り胸を張ってな!!」


「はいっ!!」


 そうだ、おっぱい検査に赴く前に聞いておきたいことがあったんだ。


「りっつ子さん、って何ですか!?」


 俺は生徒会長の今宮美鈴さんが言っていた単語か気になっていた、

 私がミューズの代表だって……。


「ミューズか……。 説明していなかったが聖胸女子高等学校、生徒会メンバーの通称だ、生徒会長、今宮美鈴を頂点にそれに仕える聖なる美乳の精鋭だちだ、君たちもいずれ対峙せざるを得ないぞ、彼女達を越えていかなければ、目標には接近不可能だ」


 聖なる美胸、おっぱい信仰の中枢が生徒会メンバーだというのか!?

 今宮美鈴、そしてミューズ、恐るべき最胸さいきょうの敵だ……。


「りっつ子さん、ミューズメンバーの詳細な情報は分かるんですか?」


「生徒会は数年前より自己監査システムを導入し、シスターや教職員もその全容を掴めていない、現在調査中の未解明な部分も多いことは容赦してほしい、情報は即時更新しているが、まだまだ謎の部分も多いんだ……」


 生徒会は治外法権ということか……。


 正門の前で車から降りる、ここからが本番だ。


「おはよう!! 正美ちゃん、そして康恵ちゃんも!!」


 この元気な声の女の子は……!?


 俺は自分のCカップおっぱいに刺さるような熱い視線を感じていた。



 次回に続く。

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