異世界転生したら無双しまくりな件

まの

第1話

 私はハル。ただのしがない高校生だ。友達はいるし、彼氏だっていた事はある。(1ヶ月くらいで別れたが)充実はしているはずなのに。

 実はこの生活に満足していない。なぜなら、あまりにも普通すぎるのだ。

 普通な顔、普通な身長、体重、普通な成績、普通な運動神経。

 何もかもが目立たない。強いて言うなら絵を描くとこくらいが好きなだけ。クラスのマドンナみたいにすごく可愛い訳でもないし、学年1位の男の子みたいに賢くもない。

 そんなクソみたいな人生を生きている。アニメで例えるならモブキャラってやつ。

 


「はあ……」

 溜息をつきながらとぼとぼと駅から家まで歩く。こちらの方向は同じ学校の人が少ないのか行き、帰りはぼっちだ。

(一緒に帰る友達欲しいなぁ。少し寂しいし。)

 そんなことを思いながらぼーっと歩いていると曲がり角からトラックが飛び出してきた。この道は人が滅多に通らないから油断していたのだろう。私を見て急ブレーキをかけるが間に合う訳もなく、ドンッと鈍い音と共に私の視界は暗く染った。



「んぅ……」

 目をゆっくりと開けると、豪華な天井。そうだ、私はトラックにひかれたんだ。助かったんだ。

 そう思ったのも束の間。ここは元いた世界では無いことに気付かされることになるのだ。

「おはようございます。お嬢様。」

 お嬢様……?誰のこと?そう思い私は起き上がり、横を見る。横には可愛いメイドさんがいた。

「えっ!えぇ!?!?」

「お嬢様、どうされたのですか!?何が悪い夢でも……」

 ここは元いた世界では無いのか!?オロオロしていると

「ああ、可哀想に……そんなに悪い夢を見ていらしたのですね。アンは心配です。」

 アンって言うのか、この子。というかそんなに心配させてしまっているなんて少し悪い気もしてきたので誤魔化しておくことにした。

「あ、アン?私は大丈夫だよ。それより着替えてご飯食べなきゃ……」

「はっ!そうでした!お着替えの準備お手伝いしますね。」

「だ、大丈夫だよっ、1人で着替えられるし!!」

 他の人に体を見せるなんて恥ずかしいしね。

「しかし、それは私の義務で……」

「ほんとに大丈夫だから!!!」

 そう言って無理やり部屋から出てもらった。マジでどうなってんの、ついに頭おかしくなっちゃったのかな。そう言って鏡の前に立つ。

「えっ」

 鏡の前にいたのは紛れもなく、私が描いた代理の女の子だった。ラピスラズリのような肩より上の青い髪にオレンジと紫のオッドアイ。そして右目にある涙ボクロ。紛れもなく私の代理だった。

 恥ずかしい話ではあるが現実が普通だったため、この子の設定はかなりハイスペックである。美人で博識で色んな人から好かれている貴族令嬢でありながら魔法までもが使えるという厨二病設定。

 私の代理ってこんなに美人なんだとうっとりしていると

「やはり、私がお手伝いしましょうか?」

 そう、扉の外からアンが声をかける。

「大丈夫だよ、すぐに終わる」

 そういい楽な格好に着替えて扉を出た。ドレスを着るのはめんどくさかったしね。




 食堂までアンと話しながら向かう。食堂の扉を開くと既に父親と母親と思われる人が座っていた。

「おはよう、ハル。今日はドレスじゃないのね。」

 あ、私この世界でもハルって呼ばれているんだ。

「まあ、今日は魔法強化の時間を取っているしいいんじゃないか?ドレスが汚れてしまうよ。」

 そう父親が言う。この2人はとっても優しい。それは朝食を通して感じた。


 魔法強化とやらの時間になった。教師が既に待機しており、その人はものすごくイケメンだった。パッチリとしために、高い鼻。そして薄い唇。まさに中心人物の顔をしている。

「おはようございます。ハル様。今日も訓練、頑張りましょうね。」

「は、はい」

「おや、どうしたのですか?そんなに緊張して。」

 イケメンが目の前にいたら緊張しないわけが無い。

「なっ、なんでもないです。始めましょう」

 そうそっぽを向いて言葉を発する。こんなイケメンに教えて貰ってんのか。イケメンどころか普段男子とあまり話さないせいで、男子への耐性がない。

 私はふと思った。

(魔法ってどうやって出すの?)

 当たり前だが元いた世界になんか魔法という非科学的ものは存在しない。

「では、あの的を貫いてみてください」

 そう言ってイケメン教師は指を指す。指の先には木の的があった。木くらいなら簡単かなって思った。

 私が考えてたハルは氷魔法が得意だ。だから 氷を鋭く生成して的に当てることを目標にしよう。

 私がそう考えた瞬間、氷が生成されすぐに的に当たった。何もしてないのに。

「お見事です♪前回よりも威力、命中力どちらも増してますね」

 体が覚えていると言うやつなのかすぐに魔法が使えた。人生で1度は使ってみたかったから少し嬉しかった。



「では、次は魔法を使ったた近接戦闘をしましょう」

 近接戦闘ねぇ。やったことないけど大丈夫かな。

「このゴーレムを相手にしてもらいますよ。」

 そう言って先生からゴームが生成される。その数なんと5体。しかもかなり大きい。

「あのー、先生?一体ずつ戦うんですよね?」

「え?いっぺんに戦うんだよ。あといつもみたいにハウ先生って呼んで欲しいな。呼び方違うと調子狂うんだよね…」

(あ、この人A型っぽいわ、というかいっぺんにってキツくないか!?私運動出来ないのに……!) 

 そう思う暇もなく先生の合図がかかる。

「では始めよう。よーい、始め!!!」


 その合図と共にゴーレムが動き出した。



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