第22話

 そうして近場の畑も回って20匹を狩り終えた俺達は街へ戻り、納品、銀貨4枚と銅貨8枚を貰いギルドを出た。


「結構疲れたな」


「ほんとだよぉ。それで?今日は何するの?ミュゥお腹減ったー」


「落ち着け食いしん坊」


「食いしん坊じゃないしっ」


「今日はこれから肉屋に行く。いてっ、いててっ」


「肉屋?何で?」


「まぁ俺に任せとけ。いてっ」


 ベシベシと尻尾でケツを叩かれながら、俺は肉屋へと向かった。


 ――「あのー屑肉あります?」


 ガタイの良い肉屋のおっさんが振り向く。


「屑肉だぁ?まぁあるけどよ、何だ欲しいのか?」


「はい!」


「ちょっと待ってろ」


 肉屋のおっさんが、ドチャっ、と切り落としをトレーに乗せる。


「今あるのはこんくらいだな」


「それ全部貰えますか?」


「大銅貨3枚でいいぞ。こっちも処分する手間が省けるしな」


「あざす!それでちょっと聞きたいんですけど、」


「何だ?」


「肉の中で1番品質の低い肉って、どのモンスターから取れる肉ですか?」


「そりゃぁ、ミノタウロスだろうな」


「ミノタウロス?」


「ああ。あいつらそこら中に湧いて畑荒らすくせに、肉は硬くて不味いし脂は臭ぇし食えたもんじゃねぇ。

 のくせビミョーに強いから農夫じゃ駆除できねぇし、市場に回しても売れねぇからギルドも報酬金を低くせざるを得ねぇ。だから冒険者も狩りたがらねぇんだよ。

 ほらよ」


「あ、ありがとうございました」


「まいど」


 ……なるほどな〜と俺は歩きながら1人納得する。これは良い事を聞いた。


「次は八百屋と、雑貨屋と、パン屋だな」


「ミュゥ野菜嫌ぃ」


「まぁ任せとけ」


「む〜」


 八百屋へ行き、ファマネギとトメトいっぱい、ピルクス、を購入。

 雑貨屋で塩、胡椒、酢、砂糖、マスタード、チーズを少しだけ購入。

 最後にパン屋へ行き、残りの金分のライ麦パンを購入。


 両手大荷物を持ちながら、俺はそうだ、と振り向く。


「ミュゥ、悪いけど教会からフライパンと鍋持ってきてくれ」


「それ教会でやればよくなぃ?」


「秘密のレシピだからな。誰にも見せたくない」


「ぉお〜、分かった!」


 目をキラキラさせ走ってゆく彼女に背を向け、俺は再び門を潜り外に出た。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る