第36話戦いの始まり

「それでは早速ですが、今大会の優勝商品である、ルナちゃんフィギュアをご覧下さい!」


 元気のいいポニーテールのお姉さんが声たかだかに言うと、箱の中に入れられた美少女フィギュアを持った男性が出てきた。あれが商品のフィギュアか。なんか、ネットショップとかで似たようなものが買えそうな気がするけど、そこらへんのことを突っ込むのは野暮なのかな。


 まあじゃんけん大会の優勝商品ってことは非売品だろうし、限定品に惹かれるのは俺もよくわかる。ゲームでも初回限定版とかつい買っちゃうし、限定という言葉が付くだけで、ものすごく商品が魅力的に見えてしまうのだ。なんなんだろうな、あれ。


 と、そんなどうでもいいことを考えていると、お姉さんは早速ルール説明を始めた。


「さて、では早速ですが、じゃんけん大会のルール説明に移りたいと思います! まずこのじゃんけん大会は、AブロックとBブロックの二つに別れてもらい、そこからトーナメント形式で勝ち上がっていただく形となっております! そして、そこで勝ち上がった両者二名が参加者全員の前でじゃんけんをしていただき、買った方の手にルナフィギュアが贈呈されます!」


 お姉さんの説明を受けた篠原は、早速俺たちに指示を出し始める。


「なるほど。なら、身内同士で当たらないためにも二手に別れましょう。どうやら係員が真ん中で適当にブロック分けをするようだから、あなたたちはあっち側の、Bブロックの方へ行きなさい」


 篠原に指示を出された俺たちは、特に断る理由もないので篠原から少し離れた場所へ移動する。トーナメント形式か……。この人数だし、かなりの数連勝しないとお目当のものは手に入らなさそうだな。でも、三人もいるのだし、一人ぐらい勝ち上がれるのではないか?


 特に篠原なら、何食わぬ顔でオタクどもを蹴散らしてもおかしくない。彼女にはそう期待させる何かがあるのだ。って、なんで俺はこんなに篠原のことを評価してんだ?


 それで結局俺は学校の女子から嫌われたじゃねぇか! まあとにかく、三人もいれば誰かしら勝ちあがれるかもしれない。俺たちは決意を胸に込め、戦場へと赴いた。

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