第32話:最終話:ペパーミント・ブルーに恋して。

人を振り回した挙句、姫は暴力的、猟奇的、暴言的、ゴスロリ女に戻った。

完全、リセットされたのだ。


まあある意味、俺の理想に戻ったってことか。

普通ならそんな女、ウザいって思うよな・・・でも俺はそういう姫だから

こそ癒されるんだ。

俺も変わってるから・・・。


朝、二階からパンツ一丁で、おっぱいプリプリさせながら降りてくる。

それを見てなんとなく安心する俺。


キッチンテーブルにつくとき、俺の横を通って行きながら俺の頭をドツいて行く。


で言うんだ・・・チューしてって。

で、チューしてやると「おっぱい舐める〜」って言う。

それがないと毎日がはじまらない。


「お〜、いつもと変わらない日常がここに戻って来てるじゃんかよ」


と、そう言えば・・・最近、朝大学へは姫と一緒に登校してるけど、

姫とちゃんとデートとかしてなかったな。

姫が変貌ばかりするからだよ・・・。


姫を連れてどこかへ行くか・・・遠くへでも。


季節も6月だし・・・。

どうせ行くなら解放的な場所がいいな・・・。


そう思って 善は急げ、思い立ったが吉日・・・俺は姫を連れて沖縄へ行った。

高級リゾートホテルには泊まれないけど、海が見えたらいいと思って

海沿いの民宿を予約した。


俺たちを乗せた飛行機が那覇空港に到着して、タクシーに乗って15分くらいか・・・さとうきび畑を抜けると、そこに大きくはないけど感じの良さそうな民宿があった。


「姫・・・あそこに泊まるからな・・・」


「うん・・・いっぱいエッチしようね」


「それしか頭にないのかよ・・・ほら見ろよ綺麗だろ、海・・・」

「美を愛でろよ・・・」


民宿に到着するやいなや姫は、水着も来ないで裸で宿の前に見える

海にかけていった。

浮き袋をかかえて・・・。


(恥ずかしいって感覚、皆無だな・・・)


到着したばっかで、俺は、もうちょっとゆっくりしたかったんだけど

しかたなので姫の水着を持って俺も、彼女のあとを追った。


姫は、泳げない・・・カナズチなんだ。

でもカナズチは木の部分がついてるからまだいいけど、姫はどっちかって言うと

文鎮だな。

波打ち際でパチャパチャはしゃぐだけ。


南の海は別格・・・白い砂浜、透き通った海、青い空。

解放的だ〜って思った。


姫を連れてきてよかった。


こんな素敵な場所、絶対彼女と来なきゃだよな。

でも、なんとなくだけど、この景色を見てると高揚した気分になるな・・・。

俺みたいな男でも、ロマッッチックな気分にさせてしまう。


姫にプロボーズしてしまいそうになる。

でも、それは一応、俺の親父に先に報告した後にしよう。

他人とはいえ、姫とは表面上は兄妹。

まあ、ダメだって言われても、説得する自信はあるけどね。


つうか・・・とっくの昔に姫とエッチしちゃってるんだけど・・・。

だから意味のない兄妹関係。


今夜も姫は俺に迫ってくるんだろうな、俺はこの日を狙って沖縄に

来たわけじゃなかったのに、たまたま気がついたら今夜が満月だったんだ。

まあ、それはその時のこと・・・。


「姫・・・めっちゃ綺麗な海だな・・・」

「ペパーミント・ブルーって言うんだよ」


「そうだね、私、この海に恋してる・・・」


「飲めそうだよな」


「ツッキー・・・試しに飲んでみ?」

「飲まなくても塩っぱいって分かるだろ、確かめなくても」


「目の中に入れても痛くない彼女が、飲めって言ってるんだから」

「飲んで〜・・・飲め〜〜〜〜〜の〜め〜」


「飲まねえよ・・・そんなに馬鹿じゃねえし」


「飲まないとエッチさせてやんない・・・」


「ガキみたいなこと言わないの」

「いいよ別に・・・させてくれなくても、ちょうどいいわ、いい休養になるから」


「え〜・・・しないつもり?」


「今、させないって言ったじゃないかよ」


「今夜、満月の夜だよ」

「逃げられないからね、ツッキー、逃げたら殺すから・・・」


「あいかわらず猟奇的だな・・・・」


「それにしても、海・・・綺麗だね、ツッキー」


「だから・・・綺麗な海だなって、さっき言っただろ?」

「極端なんだよ、気持ちの切り替わりが・・・」


「こんな綺麗な砂の上でエッチしたいって思わない?ツッキー」


「こんなところで裸で抱き合ってたら、誰かに見られるだろ」

「写メとか動画撮られてネットに流されるわ・・・」

「しかも、実際、砂だらけになるし・・・」


「綺麗な海でござるな〜」


「・・・・」

「おわっ・・・もう・・・びっくりした」

「なにやってんだよ?、ブッダー」


「なんでおまえがここにいるんだよ・・・こんなところまで、ついてきたのか?」

「姫の髪飾りにGPSを仕込んでおいたでござるよ・・・」


「GPSだって?・・・いつの間に・・・」


「GPSとは「Global Positioning System」の略で、日本語では「全地球測位システム」とも訳されるのでござる・・・ 」


「いちいち説明してもらわなくてもそのくらい知ってるよ」

「姫にGPSくっつけるなんてルール違反だぞ・・・ったく」


「それがしも、おふたり同様、解放的になりたいと思ったでござるよ」

「あ〜っはっは〜」


「何があはっは〜だよ」


「そんなに姫が心配か?」

「そういうわけではござらんが・・・見張ってないと、また危険な目にあっても

いけないでござるからな・・・」


「俺がついてるから大丈夫だよ」


「なら、なおさらでござろう・・・余計、心配でござるよ」


「ふん、せっかく俺たちロマンチックやってんだから邪魔しないでくれる?」


「大丈夫でござるよ、夜になったら消えるでござるから・・・」

「南無阿弥陀仏・・・南無大師遍照金剛・・・おんなぼきゃ〜

べ〜ろしゃのう〜まかぼだら、まにはんどまじんばら、はらばりたや〜」


「どうでもいいから、早く消えろよ」


ブッダーが言った通り、ブッダーはどこかへ行ったみたいで

その夜は俺たちの前に現れなかった・・・あれでも気を使ってくれるんだ。


今夜はいつにも増して綺麗な満月が空に輝いていた。

俺と姫は同じ部屋だから、姫が夜這いにくることはない・・・でも・・・


「ツッキー・・・エッチしよ」


それは変わらない。


「そう言や、最初の満月の夜も、そこから始まった」


「え?、エッチさせてくれるんだ?・・・」


「当たり前でしょ」

「ツッキーのこと愛してるんだもん・・・私たち一生仲良しでいようね」

「そうだな・・・ずっと一緒だな、俺たち」


「でも、ツッキー・・・浮気したら・・・」


「殺すんだよな、俺を・・・俺を愛してるくせに・・・」


「試しに、死んでみるツッキー」


「俺は死なない・・・なんでかっつうと俺は浮気なんかしないし」

「今もこれからも俺には姫だけしかいないんだから・・・」


「ツッキー・・・大好き・・・だから半殺しで許してあげる」


おしまい。

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かぐや姫は満月の夜エロくなる。 猫野 尻尾 @amanotenshi

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