第22話:君は俺のかぐや姫。

今夜、姫が俺の部屋に忍び寄ってくることはもうないんだ。

でも俺的には、


「ツッキー・・・エッチしよ」


って姫に俺の部屋に入ってきてほしかった。


風呂から出た姫は当然俺の後ろから、へこへこついてきてるもんだと思ってた。

だから姫が後ろにいるもんだと思ってたのに・・・いないし・・・。


(あれ、どこへ行ったんだ?)


自分の部屋か?


「まあ、いいか、こんな時間からどこにもいけないしな・・・」

「あれだけ楽しみにしてたんだから100%、俺に部屋に来るから・・・」


しばらく待ってると・・・


「お・・・来た来た」


姫の足音と一緒に甘〜匂いが漂ってきた。

今夜は俺も、ためらわない・・・姫の願いをかなえてやらねば・・・

姫は俺の部屋のドアを開けて中に入ってきた。


「ツッキー・・・お待たせ〜・・・エッチしよ・・・エッチ」


入ってきた姫を見て、俺は一瞬、固まった。


なんと・・・そこにいた姫は・・・

「クレセントムーン・シンフォー」の「アナ・デ・トライザクト」

のコスプレをしてるじゃないかよ。


もう撃沈だよ。


「ツッキーこのキャラ好きなんだよね・・・」


俺は思った・・・こんなシュチュエーションで姫とエッチするのかよって。

そう思うだけでセロトニンとドーパミンとオキシトシンの幸せホルモンが

出まくっていた。


俺のスケベ心をくすぐる演出。


「ああ・・・姫、最高だよ・・・俺のことよく分かってるな」


「たっぷり可愛がってね」


「うん・・美味しくいただきます」

「姫、朝も言ったけど、改めて誕生日おめでとう・・・」


「ありがとうツッキー」

「もうなんの制約も障害もないよ」


「私を抱いてくれるよね」


たしかに俺にも、もう迷いはない。

よくやく姫の願いを叶えてやることができる。


(・・・・って・・・やっちゃっていいんだよな・・・18才になったんだ

もんな・・・今更だけど)

(風呂まで一緒に入っといて、今日はやめようなんて言ったら絶対

殺されるよな・・・)


でも、これがいざ現実となると、正直ビビってしまいそうだ。


姫はアナ・デ・トライザクトのまま俺に迫ってきた。

俺は姫のアナを、もうしばらく眺めていたかったし、できれば衣装は

俺が脱がしたかった。


でも姫は早くエッチがしたくてそれどころじゃなかっただろう。

すぐに自分で衣装も下着も脱ぎ捨てようとした。


「あ、待て待て、パンツだけは脱がずに残しといて・・・」

「せめて、パンツは俺に脱がさせてほしいんだな、そこは・・・」

「そんなのなんの意味があるの?って思うかもしれないけど、俺にとっては

好きな女のパンツを脱がすってのが、そこは大事なシュチュエーションなんだ」


「なに、ごちゃごちゃ言ってんのツッキー」


「あ、つい熱くなった・・・」


「男の人ってスケベだね・・・」

「ツッキーが女性のパンツ好きだって知らなかった」

「今度、洗ってないパンツ売ってあげるから・・・」


「え〜〜〜金、取るんかい・・・」

「つうかさ・・・パンツどうこうじゃなくて、脱がすのがいいなって

思ってるだけだから・・・」


「こだわりは大事だよね・・・って、そんなこと、どうでもよくて

このやりとりが時間の無駄・・・」


「いいから・・・早くチューして・・・」


「さっき、風呂場で嫌ってほどしただろう?」


「こういうのって、チューから始まるんでしょ」


「そこは外せないよね」


「ん〜ま、たしかにな」


それは、さっきまでのキスとはなんとなく違ってるように思えた。

たぶん姫は全面的に自分を解放してるんだろう。

それで、キスの具合がまったく違ってくるなんて、なんて女。


部屋中に甘い香りが漂っていたし、姫の体は美しいくらい高揚していた。


「抱いて・・・もうツッキーの好きにしていいから」


セクシーな唇・・・柔らくて豊満なおっぱい・・・まだ完全に生え揃って

ない下の毛。

姫は俺に愛撫されてクンニされて、軽〜くイってしまった。


(え〜初エッチで感じてるよ、まじで?・・・どんな体してんだ)


切なく喘ぐ吐息・・・絡み合って、ふたりはひとつに重なる。

姫は、俺に抱かれて快楽の絶頂に登りつめて、彼女の絶頂は、どどまることを

知らず、意識が混濁したままピークへと落ちていった。


姫って、エッチは、はじめてなはずだろ?

女ってはじめっから、こんなに感じるものなのか?

はじめてのエッチって、ただマグロ状態で、知らない間に男だけ

気持ちよくイっちゃって、エッチってこんなもの?で終わるのが一般的だろ?


姫はきっと異星人の治療によって蘇ってから特別な体になったんだろう。


とにかく俺たちは姫の誕生日の日、めでたく結ばれた。

姫は喜びに泣いた。

涙が頬を伝って流れた。

俺は思わずその流れる涙を舐めた。


「あはは・・・くすぐったいよツッキー」


涙はとうぜん、しょっぱいと思っていたら、涙まで甘いって・・・。

やっぱり姫は普通じゃない。


「ツッキー、私、嬉しい」


「ああ・・・おまえの願いを叶えてやることができて俺も嬉しいよ」

「何があっても俺は姫を離さないからな」


「うん、ずっと私のそばにいて・・・」


そして、初エッチを境にして姫のホルモンバランスが正常に戻ったのか、

もう満月の夜とか、関係なくなった。


次の朝、姫は清々しい顔で目覚めた。

何も見にまとわない、生まれたままのかぐや姫。


昔話のかぐや姫は、月へ帰って行ったけど、君はずっと俺と一緒だ。


もうなんの制約もなくなった俺と姫のラブラブな日々が新たに始まるんだ。


(・・・でもまじで・・・本当にやっちゃってよかったんだよな・・・)


俺は乙女チックな姫も好きだけど、やっぱりドSで暴力的でクチが悪い

ゴスロリの彼女がいい・・・それが姫の個性、それが姫自身。

涙を見せない、いつでも強気の姫がいい。

だからこそ、たまに「チューして」って甘えられると、そのギャップで

俺の胸がキュンって震える。


何があろうと君は俺のかぐや姫。

大切にしなきゃいけない人はいつでも俺のそばにいる。


そして満月の夜も、そうじゃない夜も姫はエロくなる。


つづく。

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