第2話 何を好むかというのは、理屈ではない@音楽

 第1話について、えなおん様より『ブレスワーク、本当に大事なものだと思いますが、サ行やブレスが耳障りと感じる人も中には居るらしくて、カットしてあるものは確かに多いですよね』との応援コメントをいただいた。


 なるほどと想った。これはブレスの話であるが、ジャンルを問わず、音楽自体を耳障りだと感じて、好まない人もいると聞いていたからである。と同時に、音楽における作り手側の難しさに想い至った。


 というのは、ポップミュージックの歴史においては、必ずしも耳障りの良い音楽が好まれて来た訳では無いからである。特に出て来た時に若者の音楽とされたロックやヒップホップは然りである。


 歪んだエレキ・ギターの音に象徴されるロックは、それまでのヒット曲に比べれば、明らかに耳障りが悪く、うるさい音楽であった。ただ、私も含めある人たちにとっては、その耳障りの悪い音が心地よく感じられるのである。ただ、明らかだが、ここには理屈は無い。純粋に好みの問題と言って良い。


 ヒップホップについては、正直、私の好みでは無いのだが。衝撃であったのは、あれっ、ブラック・ミュージックの最も良いところと、私自身が想っていたソウルフルな歌声がほとんど無いぞと。後年になって、ソウルやファンクと融合したようなヒップホップも出て来るのだが、それを音楽的になったとついつい想ってしまうところが、いかに私がヒップホップが好みでないかの良い証でもあるのだが。


 ただ極めておおざっぱな切り口でいえば、ロックもヒップホップも上記の如く若者の音楽、その鬱屈した不満や有り余ったエネルギーが生み出す音楽とされる。厳密に言うと、ヒップホップはジャーナリズム的な視点も有するのだが、ここら辺を言い出すと、切りが無い。


 要は頭で理解する限り、近いところにあると言って良い。ただ、それを好むか否かというのは、それとは全く別に、純粋に好みの問題ということである。聞く側はこれで全く問題無いが。さあ、貴方が作り手に立つなら、どうなるという訳である。なかなか難しい問題だと分かる。

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