第5話 クラブ 遊ぼ

カノンとパンフレットを見ながら、クラブ「遊ぼ」を探す。待ち合わせ場所から10分の距離とはいうものの同じような店が立ち並び、よう様な服装をした若者とすれ違うたびに二人して興奮を隠せない。「ねぇ、今の男の人スカートはいてたよね」

「今の人、ミニスカートというには短すぎない?」

「きわどいよねー」美的感覚が刺激される。ちぐはぐな人や、そのアンバランスさがよかったり。終始、人間観察をしながらやっと目の前に(遊ぼ)の看板を見つける。数段の階段を登ると、黒い板チョコのような扉がある。

私たちの少し前にも金髪の男たちが入っていく。そのたびにカノンと私は、興奮を隠せない。

扉を開けると、薄暗い店内とつんざくような大音量の洋楽が流れていて無数のスポットライトが、クルクル回ってその色とりどりの明かりが部屋を駆け巡っていく。目が慣れていくと、テーブルが壁にそってあり部屋の中心の所ではたくさんの男女が踊っている。


「まず、席を確保しなくちゃあね」と、八雲からレクチャーを受けたカノンが、ぼっーと圧倒されて突っ立っている私を誘導してくれる。席を確保したら、飲み物と食べ物ね。割引券もらってきたからと、鞄から取り出しヒラヒラさせる。「ごめんね。全部任せて」申し訳そうに言うとと「いいってことよ」と、いつもの笑顔で踊っている踊っている人達をよけながら離れたカウンターまで行く。

それを、少し目で追いながら周りを改めて見回す。


すると、ふいに視界を遮って声をかけてくる。「今、来たところ?ここは、初めて?」その声に反応すると、目の前に若い男二人が立っていた。うち一人は、地味な普通の若者という感じ。もう一人は金髪で色白で着ているものも白一色一見すると、綺麗な女の人だ。

(こ、これってナンパ?ど、どうしよう。早く、カノン来てくれないかな)

ぎこちなさが、伝わったのかとても優しく自己紹介をはじめる。俺達、W大学の学生

俺が、城之内 空。こいつが、安良 レン太。

せっかく大学生になったんだから遊びの幅を広げてんの。と地味だと思った彼がずっと喋り続けている。

途中人混みをよけながら慎重に体のバランスをとりながら、飲み物と食べ物を持ってきてくれたカノンも交えて4人で少しずつ盛り上がある。途中で、踊ろうよと、カノンと空さんが立ち上がる。無口な、レン太と二人きりだ。きまづい空気。何か、しゃべらなきゃあ。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る