第39話 ランク6の異世界



 次の目的地、ランク6の魔力渦へと移動した。


 ここのダンジョンは、湿度が高くジメジメしているそうで人気がないようだ。


 水生生物系の魔獣も居て、得意魔法が水系統の俺とは相性が悪い。


 もともと魔法攻撃に頼るつもりはないから問題ないだろう。



 ダンジョンに入って5分。


 不人気ダンジョンだけあって、早々にエンカウントした。


 ゴブリンが3体。


 小鬼こおにの別称があるように、背が低いから攻撃をガードしにくい。


 あの異世界で飽きるほど戦ったから、対策は万全だがな!


 はて? ここのゴブリンは知能が低いんだろうか?


 3体が同時にジャンプ攻撃を仕掛けてきたから、剣を横に薙ぎ払ったら全滅した。


 あの世界のゴブリンが3体居たら、上・中・下と三箇所を狙ってきたんだがな……。


 地下1階では、ゴブリンと小型のヘビ系魔獣にしか出会わなかった。



 地下2階へ下りると、湿度が高くなって不快指数が一気に上昇した。


 事前情報では、ここからが本番で難易度が上昇する。




     ◆




 リザードマンは大型の剣を振り回し、力任せに突進してくる厄介な魔獣だった。


 盾で受け流してバランスを崩したところに、剣をブチ込めばそれほど苦労はしない。



 問題はカニ型魔獣だった。


 外殻がとにかく固い。


 剣で切りつけてもたいしたダメージを与えられないから困る。


 しかも大きなハサミでかりにくるから、要注意だ。


 対策は、ハサミを盾で抑えつけて攻撃を封じつつ、胴体と手足の付け根に剣を差し込んでバラす。


 甲殻類はコレに限るだろう。



 飛びクラゲも厄介だった。


 湿地に潜んでいて、獲物が近寄るとフワッと飛び上がって痺れ攻撃を仕掛けてくる魔獣。


 近寄って痺れさせられると困るから、少し距離をとりクロスボウで狙ったら倒せた。


 次からは、剣を湿地に入れて草刈りのように振り回していたら、ウラゲは魔石になっていた。


 槍を使うともっと楽かもしれないな。


 こういった攻略情報は、なかなか見つからないんだよなー。



 情報を元に対応するのと、その場で対応策を考えて対処するのでは、まったく違う結果になる。


 どんな時でも、とにかく次の手を考えながら先手を打って行かないと、詰む危険性が高くなる。


 思考を続けることこそが重要だと思う。



 2時間程度で探索を切り上げ、魔石売却額は5万円。


 地下1階の魔獣は弱かったから、換金額が安かったんだろうな。


 稼ぐことを目的とするなら、一昨日のランク5ダンジョンの方が楽だった。


 しかし、目的はランクアップだから、ここで粘るしかないかぁ……。


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