第38話 ランク5魔力渦へ



 昼間は家で異世界情報を集めて整理したり、本の翻訳をしたりして過ごす。


 夜になると雄二たちの話しを聞きながら、シーカーについて勉強していた。


 本音を言えば、魔力研究所の有料情報を得たいのだが……。


 まだ金銭的にそこまで余裕がないから、コツコツ情報収集をしている。


 どうやら、ランク5から難易度が跳ね上がるようなんだよな。


 ランク5を攻略できて、ようやく中級の仲間入りができるそうだ。


 魔力渦を巡っていて感じたのは……。


 ランク3まではシーカーの数も少なく、勝手気ままにダンジョン攻略ができた。


 ランク4になると急に人が増え、気を遣う場面が多々あった。


 ランク4で経験を積みたいシーカーが多いんだろうなと、後から納得した。


 誰だって死にたくないから、無茶をしてランク5に行くことはないだろう。



 ある程度の情報は集まったから、ランク5以降に挑戦してみる。


 シーカーが少ない(人気のない)魔力渦を選んで巡回ルートを考え、電車に乗り込む。



 どの魔力渦でも、初挑戦の場合は講習会を受ける義務があり、出現魔獣の特徴や注意点などを教えてもらえる。


 シーカーの死亡率を下げるための措置だろう。


 ありがたいことだ。


 到着した魔力渦が不人気な理由は、異世界側の魔力渦からダンジョンが遠いからだと思う。


 1時間程度歩くのは、散歩と思えば苦にはならないと思うんだがな。


 ダンジョンの中は幅が狭く、やたらと天井が高い。


 飛行型の魔獣は面倒だから、これも不人気の理由かもしれない。


――――ピチャッ。


 水滴が垂れているな。


 あれが、天井に張り付いているスライムか?


 講習会で聞いたとおり、天井が高いから剣では届かない。


 対策として、飛び道具を購入してみた。


 クロスボウだ。


 コンポジットボウより扱いが楽だろうとの考え。


 飛び道具を使うのははじめての経験だ。


 剣を鞘に収め、クロスボウを撃つ。


 どうやら、一撃で倒すことができたようだ。


 あんなのが集団で居ると困るが、数匹ならクロスボウで対応できそうだな。


 しかし、矢は消耗品だから出費が痛いか?


 これも不人気の理由かもしれない。



 コウモリ型や巨人型と戦いつつ、2時間くらい探索して戻ることにする。


 今日の収入は5万円。


 クロスボウを買ったから赤字だったが、ランク6に昇格できたから満足のいく結果になった。


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