第21話 出発準備



 いよいよ、この日がやってきた!


 国連日本支部の敷地から外へ出るのだ。


『俺が倒れていた場所の魔力渦調査に同行してほしい』


 についての詳しい話しを聞く。


 いきなりその魔力渦へ入るのは危険だから、魔力渦が異世界とどう繋がっているのか?


 それを体験させる目的で、試しに国内で一番ランクの低い魔力渦へ行くらしい。


 午後からは、護衛として同行する部隊との連携訓練を行うそうで、今はその説明を聞いている。



「ここまでで、何か質問はありますか?」


「俺は武器を持てるのか?」


「はい。昼食後に貸し出し可能な武装を見てもらいます」


「了解した。それなら問題ない」


「こちらが明日の資料になります」


 岩沼さんから手渡された資料に目を通す。


「岩沼さんも同行するのか?」


「はい。危険はほぼないですから、記録係として同行します」


 どう見ても非力な彼女だが、大丈夫なのか?


「明日の護衛は精鋭揃いです」


 国内最低ランクの異世界だし、いざとなれば守ってやれば問題ないかな?


「午前中に資料を読んで、覚えておいてください」


 彼女はそう言い残して部屋を出て行った。



 昼食後、集合場所へ向かうと岩沼さんが待っていた。


「先に防具を決めます。こちらへ」


 言われるがままに着いて行くと、あらゆる武具が収納されている倉庫に辿り着いた。


「こちらに、足守さんのサイズに合うものを用意しました。お好きなものを選んでください」


 オイオイ。


 どれも、ゴリゴリのフルアーマーじゃないか。


 こんなものを着たらロクに動くことが出来なくなる。


「すまないが、軽装備はないのか?」


「足守さんは護衛対象です。足守さんが戦うことはありえません」


「そうなのか?」


「そうです」


 ここは諦めるしかなさそうだ……。


 数種類のアーマーが並べられているが、中でも目立たない灰色を選ぶ。


 岩沼さんに手伝ってもらってアーマーを着てみたが、想像以上に軽くて驚いた。


 これも魔力研究所の発明のひとつだ。


 こんなに軽いものなら、可動範囲を広くしたフルアーマーを使うのはアリかもしれない。


 フルフェイスのメットまで被せられ、視界は狭いし動き辛くて窮屈感が半端ない。


 その後のやり取りで片手剣も貸してもらえたが、これはお飾り感がすごい……。



 カタカタと音を鳴らせて岩沼さんの後を追っていると、屋外演習場に出た。


「お前ら。プリンシバルのご到着だぞ」


 明日の護衛部隊の隊長らしき人が、大声で叫んだ。


 プリンシバルとか、恥ずかしいからヤメテクレ!


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