第19話 お金を稼ぐ方法
次は退院後の進路で、どんな職に就きたいか? の話題だ。
現在スカウトが来ている組織は、国連、日本政府、自衛隊で、それぞれの資料を渡された。
岩沼さんは国連の職員だから当然のように、「国連で働くのがオススメです」と言う。
この一連の話しの中で、また重要な新事実が明かされた。
異世界帰りの人間は、無意識に自動翻訳能力を使っているのだという。
俺が先生と話しをしている時、わざと外国語で話しかけて反応を観察されていたらしい。
自分では日本語を話しているつもりでいたのに、先生がドイツ語で話しかけると、俺はドイツ語で返事をしていたそうだ。
全部日本語に聞こえていると伝えたら、俺と人吉先生の会話動画を見せられた。
うん。日本語に聞こえるが?
「もう一度再生しますから、足守さんの口の動きを、よく見てください」
そう言われてもピンとこない。
「今度は動画を再生しながら、足守さんの返答を私が
動画の口の動きと比較してください」
岩沼さんは情報端末を顔の横に当てて、動画を再生しながら喋った。
すると、動画の中の俺の口の動きと岩沼さんの口の動きが、まったく異なることに気がついて、ポカーンとする他なかった。
俺にはどちらも日本語として聞こえるのに、動画の中の俺は日本語を話していないようだった。
これは、異世界から強制召喚された人だけが持っている、特殊な翻訳能力だそうだ。
魔力渦の向こうへ行って文明人と出会えたとしても、そこには文化や言葉の壁がある。
意思疎通には相応の時間が必要。
すれ違いや誤解により、異世界と戦争状態になってしまった国もあるらしい。
そこで、国連職員として世界を飛び回り、
『異世界人との通訳や外交官として働いてほしい』
というのが国連の希望のようだ。
日本政府や自衛隊にも、それぞれの思惑があるだろう。
『日本に
そう頼まれた。
話しが大きすぎて、頭の整理ができていないから待ってほしいと頼んだ。
「最終結論は年末まで待ちます。焦らなくて大丈夫です」
と返答され、一安心。
退院までに決めろ、とか言われたらどうしようかと驚いたわ!
この時代の貨幣価値がわからないけど、どこに就職しても相場以上の給料はもらえるらしい。
他の選択肢としては、フリーのシーカーとして活動することもできると教えてくれた。
資料を読みながら検討することにしよう。
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