ライブ配信異世界転移!?クリスマス配信

黒羽冥

第1話クリスマス!ライブ配信!!

皆さんこんばんは!クロノのライブ配信へようこそ!今日はなんとクリスマスイブ!!お子様も親御さんもそして御年輩の方も!男女関係なく!パートナーがいるいない関係なく今日の配信楽しんでいってくれ!!

「うおおおっ!!こんばんは!クロノ!」

「こんばんはクロノ!」

「俺はまた今年も一人だぜ(泣)」

男性リスナーのお決まりのような言葉を聞いた後は女性リスナーのコメントだ。

「私はクロノとクリスマス過ごせるからいいもん!」

「もう!ダメよ、私のクロノだし!」

俺はその言葉を聞くとコホンと咳払いをする。

「ええ…まあ女性リスナーの皆さんは本当にありがとう!俺もお前らと過ごせて嬉しいぜ!」

調子に乗った俺はそんな台詞をはいてみる。

女性リスナーの黄色い声を頂いてるとコメントに「女子リスはいいかもだけど俺達だって」と男子リスナーからのコメントが入るがこれは想定内だ。そこですかさず俺の口は動く。

「さ、いいか!今夜はクリスマスイヴ…今日は異世界からのスペシャルプレゼントだ!!」

俺がそう言うと勘のいい男性リスナーはすかさずコメントを打ってくる。

「おい!クロノ!?まさか?」

「まじか!?クロノ!!マジなのか??」

俺は自信満々の表情で言い放つ!!

「俺は性別関係なく接してきただろ?もちろん今年はそんな毎年寂しい男性リスナーの為に!!俺は『スペシャルゲスト』を用意したぜ!!」

「おおおおおお!!!」

「まじかクロノ!!??」

「クロノの配信来ててよかったぜ!!」

等など分かりやすい反応を見せてくれる男性リスナーの声に俺はもう一度咳払いをする。

「コホン…では…男性リスナーに今年の俺からのクリスマスプレゼントは!!」

「この方の登場だあああっっ!!!」

俺は溜めて溜めて言い放つとカメラアングルを変える!すると配信画面にはサンタのコスプレ姿をしたカルマが登場したのだ。

「うおおおおおっ!!!」

「サンタカルマちゃんだ!」

「カルマちゃあああああん!!」

「好きだカルマちゃん♡」

「でかしたクロノ!!」

「お前のリスナーやってて良かったぜ!!」

等など俺の用意したスペシャルプレゼントは好評のようだ。

ひとしきりカルマへのラブコールコメントで溢れかえると俺はここで今日の配信のテーマを発表する。

「盛り上がってきたところで今日は皆のクリスマス体験ってテーマで話さないか??」

俺がそんな提案をするのは毎年恒例だったりするのだった。

するとリスナーの一人がこんな提案をしてきたのだ。

「俺はカルマちゃんのクリスマスの思い出が聞きたいな!」

なるほど、俺の配信では古参リスナーが多く皆大体決まった内容であった為カルマの話は新鮮かもしれない。

「そんな提案あったけど皆はどうだ?」

俺が聞き返す。

「おお!いいやん!!」

「それはナイスアイデア!!」

「カルマちゃんのクリスマス聞いてみたい!」

するとカルマは何故かモジモジしている。

「どうしたカルマ?」

俺の言葉にカルマは顔を赤らめていたのだ。

「あのね…クロノ…」

「おう!?どうしたカルマ?」

俺がそう言うとカルマは耳打ちしてくる。

(あのね…今言うのは本当にゴメン何だけど私…お腹好きすぎて…お腹なりそうなの。)

ぷっ!!!

俺は思わず吹き出しそうになる。だがカルマのこの発言の原因は確かにあったのだ。それは俺達の前には豪華なクリスマス料理が並んでいたのだから。

「よし!皆!!じゃあ皆で乾杯して食べて飲みながら話そうぜ!!」

「おおおおおお!!」

「待ってました!!」

俺とカルマも飲み物をグラスに注ぐと準備はできた!

「よし!!皆!グラスに飲み物は準備オッケーか?」

「「うおおおおおっ!!!オッケー!!」」

「よし!じゃあ今日の乾杯コールはカルマに任せる!!」

「えっ?」

カルマは驚いた表情を浮かべ顔を赤らめるとシャンパンの入ったグラスを手にすると。

「じゃ…じゃあ皆さん!!クリスマスにカンパーイ!!メリークリスマス!」

「「乾杯!!!」」

「「メリークリスマス!!」」

いっせいに乾杯とクリスマスのコメントが流れてくる!!

「んぐんぐ!ぷはぁぁっ!!」

「いやぁ…美味いなカルマ!?」

俺はシャンパンを飲み干しカルマに声をかけると飲み物を飲んだカルマは勢いよくフライドチキンをパクパク食べていたのだ。

俺はその姿に思わず嬉しくなる!するとカルマの口の脇に食べ残しがついている、俺は何気にそんな彼女の肌に触れそれを取ってあげる。

「あ…ありがと。」

カルマは顔を赤らめるとリスナーからの非難のコメントが入ってくる。

「な!?」

「クロノ!!お前!?」

「クロノってば!!」

「美味しそうに食べてるカルマちゃん天使!」

カルマはそのコメントに反応する。

「ちょっと…恥ずかしいよ。」

その声に可愛いだの天使だの沢山のコメントでコメント欄は埋まっていく。もちろん俺へのリスナーからの批難もあった気もするがいつもの事だ。

俺達はリスナーと談笑しながらひとしきり食べると本題をと次の準備をする。

「え〜では、盛り上がってる所、早速本題に入りたいと思います!」

俺がそう言うとカルマも食べ終えニコニコしていた。

「では、ここで今年はスペシャルゲストのカルマにクリスマスを語っていただこう!!」

「おおっ!!待ってました!カルマちゃん!」

「俺はこれを聞きに来たんだ!」

「楽しみだよカルマちゃん!」

ひとしきりコメントが読み上げられるとカルマは喉を調整している。

「ええっと…じゃあ私はクロノみたいに話が上手じゃないし盛り上がる話ではないけど、私のクリスマスに関する『不思議』な、お話をさせていただきます。」

男性リスナーの大絶賛のコメント!

そして、女性リスナーもカルマを気に入ってくれてる子もコメントをくれる。

「では…。」

そしてカルマは語りだしたんだ。

私がこの世界にきてからのある雪の日の話です。

「はぁ…はぁはぁ……。」

雪を踏みキュッキュッと音を鳴らし雪道を歩いている私…。

「うわぁ…本当に寒いな…。」

私はそう呟き立ち止まり手を口に持っていくとはぁっとその手を息で温めたの。

「こっちの世界もこんなに雪振る事あるのね。」

私はそういって空を見上げたの。

太陽はあまりにも眩しく目に輝く光で眩しすぎた。

「そういえば…そろそろクリスマスかな?こっちの世界でもクリスマスって習慣あるのかな?」

私はそう呟くと過去を思い浮かべたの。

「ねぇ!ちょっと聞いてるの??」

母は私に声をかけてくる。

私は家の居間でクリスマスの飾りつけをしている最中だった。

「えっ?ああ…ちょっと考え事してた…ごめん。」

母は呆れ顔をすると今日のご馳走の準備を再開する。部屋には良い香りが漂い私のお腹も自然と鳴る。

ぐぅぅぅ~~~っ。

私の顔は自然と赤く染まったらしく母はそんな私を見て笑う。

「後はお父さんがケーキを買ってくるだけね。」

「そうだね!お父さん今年も『サンタベル』のケーキ買ってくるかな?」

サンタベルとは…昔から私の家でケーキを頼んで買ってきているケーキ屋さんで作っている方は今ではおじいちゃんになっちゃって、それでも美味しいケーキを毎年作ってくれているの。

「あそこのケーキは本当に美味しいよね?」

「そうね…でも聞いた話だとこないだから店が閉まっていたとかっていう話も聞いたのよね。」

母のちょっと残念そうなその顔はどこか寂しそうだったの。

母とそんな話をしていた時玄関が開く音がすると父の帰った声がする。

「ただいま!!」

父は元気な声で帰ってきたのだけどその手に持っていたのはいつもと違うケーキ屋さんの箱だったの。

「あれ?今年はサンタベルのケーキじゃないんだ。」

「あ…ああ…それが今年は閉まってたんだ。だから新しい店で買ってきてみたんだ。」

「そうだったんだ…。」

そう言った私の気持ちを察したのか父は最近出来たばかりという店のイチオシのケーキだった。

「ありがとう!お父さん!」

私は出来る限りの笑みを浮かべたと思う。そして三人で楽しいクリスマスのひと時を過ごしたの。

私は部屋に戻ると心の中に少しの寂しさを感じながらもパソコンを起動すると…いつもの様にクロノの配信をつけたけど今始まったばかりのようだった。

「さぁ!皆さんこんばんは!今日も始まりましたクロノの配信…今日は何と!『クリスマススペシャル!!』パチパチパチ!」

私はクロノの配信はお気に入りだしいつもは楽しく聞いているのにでも今日は…。

始まった配信は盛り上がりをみせ私もついついコメントには参加するも心の何処かではポカンと穴が空いた様な気分…。

私のパソコンのコメントを打つ音がカタカタ音を立てた。

何気ない相づちのコメントを送信しようとしたその時!

クロノの話は不思議なタイミングでケーキ屋さんの話をし始めた。

「さぁ…今日はね、俺が昔から行っていた、とあるケーキ屋さんの話をするね!」

その言葉に私はドキリとする。

「えっ?」

口から思わず声を漏らしてしまうとクロノは話し始めたの。

「いいかい?俺がガキの頃から好きで食べてたケーキ屋さんがあってね。ずっとそこのケーキばかり買ってきてもらっていて食べていたんだよ!」

へぇ?それってどこの店?等などのコメントが流れるとクロノは続ける。

「いいか?皆が興味をもつかも知れない話をするぞ!まあ、昔からその店はうちの近所では味も見た目もいいって評判の店でね!そしてなんと店の店主はおじいちゃんだったんだよ。」

「おじいちゃんが店主か!?」

「クロノが小さい時からおじいちゃんってすげぇな!」

「でも味もいいなら食べてみたい」

そんなコメントの中クロノは現実味のない話をしたの。

「それでな!その店主の正体を実は俺は知ってるんだ!」

わちゃわちゃとクロノに返信のコメントが流れる。

「その店主の正体…知りたいか?」

クロノの勿体ぶった話し方についつい私も食いついてコメントを打ってしまう。

「その店の店主の正体は??」

皆が呆れながらのコメントを打つ中、私のコメントをクロノはひろってくれる。

「はは…いいね!えっと…名無しさんだね!」

クロノはそう言うとニコリと笑顔を浮かべ答える!!

「その正体は!!??なんと!!」

「サンタクロースだったんだ!!!」

…………。

しばらくの間コメントは止まったと思う。

クロノが誰もが信じないような答えを出したその発言に皆のコメントは呆れる様なコメントばかりが流れた。

「あはは!そう思っていていいぞ!だからきっと今日は空いてなかったんだよ!」

その答えに正直私も一瞬呆れたの。

「いいか!?だから明日は俺も昔から行ってたケーキ屋さん『サンタベル』のケーキを食べていた皆にきっとサンタクロースからのプレゼントが用意されてるハズだ!!」

「サンタベル?聞いた事ないや!」

「私そこのケーキ食べた事ある!確かに今年店空いてなくて違う店のにした(泣)」

「名無しさんも明日を楽しみに待ってなよ…」

私はクロノがかけてくれた声を聞いた気がしたけど…いつの間にか寝てしまっていたの。

翌日私が目覚めると父はお仕事でもう出かけていた。私は眠い目を擦りながら一階に降りていくと母の私を呼ぶ声がする。

母が呼ぶ居間に行ってみるとそこにはなんと『サンタベル』のケーキの箱があったのだ。

私は思わず箱を開けてみるとずっと昔から食べてきた美味しそうなケーキが入っていたの。

すると箱の脇に一つの手紙がそえられていたのを見つけたの。

手紙を開いていく私は読み始める。

『こんにちは!私はサンタクロース!サンタベルの店主じゃよ…私は長いことケーキを作り続けてきたのじゃが、もう最近では病気を患ってしまっての手足もうまく動かせなくなってしまったのじゃ…そこでこれまで来てくれていたお得意様限定で最後のクリスマスケーキを贈ろうと思っての…』

そこまで読んだ私の目からはいつの間にか涙が溢れ出していたの。

『こんな形にはなってしまったのじゃが最後のサンタベルのクリスマスケーキを食べてください。長い間私のクリスマスケーキを食べてくれてありがとう…店主サンタクロース。』

最後まで手紙を読んだ私の目からはいつしか涙が溢れそれに気づいた母は後ろからそっと私を抱きしめてくれていたの。

そして私は泣いちゃってたの。

私が話を終えると「泣」や「号泣」等などのコメントで溢れていた。

「今はね!そんな不思議な体験はクロノが一枚かんでたのでは?って思っているんだけど皆さんどう思います?」

私はリスナーさんにそう言うとクロノは隣で笑顔を見せている。

「カルマ!んなわけないだろ!?」

そうクロノは笑って言っていたけどそんな気がしてならなかった。

「クロノってなんか不思議な奴だしな笑」

「私もクロノって変な魅力あるなって思うんだよね?」

等クロノを怪しい人物呼ばわりするコメントが流れる。

するとクロノは急に立ち上がる。

「さぁ…今日の配信はカルマの温かいクリスマスの話で心も温かくしてもらったな!」

「おおう!カルマちゃんありがとう!」

「僕ももっとカルマちゃんのファンになったよ!」

「パチパチパチ!」

そんなコメントにカルマは顔を赤らめている。

「じゃあラストは俺からの皆へのクリスマスプレゼントといこう!!」

パチンと俺が指を鳴らすと自分とカルマをカラフルな光が照らす!

「おお!」

「凄い綺麗!!」

「クロノ!グッジョブ!」

俺が更に指を鳴らすとシャンシャン…と鈴の音が聞こえてくる。

シャンシャンシャンシャン…

「えっ?クロノ?これって?」

カルマがそう声をかけてくるが俺は彼女に笑顔を向けると更に指を鳴らす。

パチンッ!!

すると光が俺達の前に差してくる、そしてその光の先にある月から何かの影が見えてくる!

映像はそちらに視点を移すとコメントが届いてくる。

「えっ?クロノ?」

「あれって…」

「まさか?サンタクロース!?」

「異世界ってすげぇな!」

等などリスナーの皆は感動と驚きのコメントを送ってくれる。

「凄い…よ、クロノ…。」

カルマも隣で空を見上げている。

「さぁ…いくぞ。」

パチンッッッ!!

俺が手を空に掲げ指を鳴らすと…。

空からトナカイに乗ったサンタクロースが光を散りばめながら降りてくる!

その光景をリスナー、そして俺達二人はずっと見ていたんだ…。

「Merry Christmas!」

そう…誰もが口にしたかも知れない。

カルマが息を吐くと白く透き通る空気。

「ふぅ…昨日の夜は楽しかったな。」

カルマは笑顔でそう呟くと再び雪道を歩き出す。

(後日談、カルマ様より)

「私があまりにもしつこくその時のクロノの行動を問いただした結果なんだけど…。」

「クロノはケーキ屋さんのサンタさんから偶然店を辞める相談を持ちかけられる事になり話した結果…お得意様に最後のケーキを配ったのは臨時バイトをしたクロノだったみたい笑」

お読みいただけた皆様へ。

配信者クロノより。

「Happy✨𝙼𝚎𝚛𝚢 𝚇'𝚖𝚊𝚜🎄」






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