狼男は夢を見る 異形の者が集まる曲芸団の運命は如何に

昭和初期の日本、ドサ廻りの小さな曲芸団には異形の者が集まり、身体的な特徴と一芸を見世物にしていた。
日本中を旅回り、寝食苦楽を共にする彼らの日常を情緒的な文体で描いた小説です。

主人公の狼男章一郎は見た目は毛むくじゃらで恐ろし気でありながら、繊細で気弱な青年です。生まれも育ちも幸薄い章一郎は美しい歌声を持っていました。彼が抱く夢と葛藤は余りにも人間くさくて、生々しい。そして劇団員達もまた、一人一人が各々の欲望や希望に突き動かされていきます。

そんな彼らが思いも寄らぬ事件に巻き込まれていきます。

彼らを待ち受ける運命はいかに・・・。

読めば戦前の空気を感じる物語、おすすめです。

その他のおすすめレビュー

堀井菖蒲さんの他のおすすめレビュー376