第2話 ちらっ

 ――ふさ、ふさ、さく、さく。


 ふっふっふ、足音が近づいてきたわね。獣の足音じゃないわ。間違いなく、人の足音。獣の足音は聞き慣れてるもの。


 足音が聞こえやすいように、草を並べておいて正解だったわね。


 ここでバレたら、ほんとにプレゼント、もらえなくなっちゃう。大きく息を吸って、ゆっくり呼吸して。はー、緊張するわね。



 ――ガサガサ。



 ……もう、プレゼント、置いたかしら。ちょっとだけ。ちょーっとだけなら、見てもいいわよね。


 ちらっ。


 なんかいた! いたわ!


 ちらちらっ。


 なんか、赤くてふかふかしてる! きっとサンタさんに違いないわ!


 もうちょっと見てても、バレないわよね。ドキドキ。


 赤い服、赤い帽子。


 それに――真っ白な髪。あたしとおそろいだわ。


 プレゼントは、ちゃんと、お姉ちゃんの分はあるみたいね。


 ――こつん。


「悪い子ね」


「ふにゃっ」


 おでこ、ぴんってされた!


 起きてるの、バレちゃった……!

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