供養 新宿うさぎのラビリンス

赤ぬこ むぎ猫

第1話

季節はまだ冬に近く、桜の蕾が生えてくる少し前、いまだ冬から抜け出せていないからか少し肌寒く外に出るのが億劫になる。そして現在進行形で布団にくるまってミノムシになっている黒髪の少女、こと三好可憐は枕元にある目覚まし時計をちらりと見てそろそろ起きなければと思いつつも少し動くと布団の隙間からヒューと冷たい風が吹き布団からでるのを億劫にさせる。外からは配達員が新聞をポストに入れる音がする「可憐~新聞とってきてくれな~いか?」と下から父親の声が聞こえてきた。「仕方ないなぁ…」とぬくぬくとくるまりながら温まっていた布団に別れを告げ、、自分で取りに行こうとしないな父親を少し恨みながら自分の部屋から冷えた廊下に出てポストを開ける。ポストには今日の日付の新聞と写真がギッシリと入った中くらいの封筒と奥に入っていた一つの小さな封筒をを見つけた。茶色の封筒張られた見覚えのある100円の切手と少し癖のある筆跡で書かれた自分宛の手紙だと確信した「おや?なにか手紙が来ていますね。ふむふむ…この字体はたぶん蓮くんかな?」封筒に入れられた手紙を見ずに差出人を特定したこの少女の名は三好可憐、手紙の差出人、兎月蓮(うずきれん)の高校時代の同級生で隣の家に住んでいる幼馴染である可憐は新聞を父親に届けた後、写真が入った封筒と手紙を持って自分の部屋に向かい封筒を開封する。そして書かれてあった内容は以下のとおりである。「拝啓 三好家の皆さんと三好可憐ちゃんへ、俺は兎が大好きです。どのくらいというと世界一とは言えないが地元で一番くらいには兎が好きです。愛くるしいくりくりとした瞳、ピコピコと動く長い耳、そしてさらさらとした毛並みなど、どこを見てもかわいいにあふれている。かわいいなぁぁぁああああぁ!!… 失礼。取り正しました。兎がかわいいのはもちろん日本最古の書物である古事記にも兎を助けなさいと書いてあるし※(諸説あります|)埼玉県にある調(つき)神社には兎の置物がいっぱいあるし神聖な動物であり敬うべき存在である、兎を信じよ、兎を崇めよ(※個人的な思想なので良い子はマネするべからず)兎は生活を豊かにするし、今はまだ効かないが、そのうちガンにも効くようになる。そう確信しています※(科学的根拠はありませんので注意)そして今、俺は幼いころからの夢である兎カフェを開店するべく動物の取り扱いに関する免許を取りに東京、新宿に来ているのですがなぜ免許を取りに地元の県庁ではなくわざわざ東京まで来ているかというと、動物カフェを開店するには1.営業許可の取得2.第一種動物取扱業の登録3.動物取扱責任者の選定4.ペットフードの製造と販売に関する届出※犬猫のみ 5.消防署への届出6.税務署への届出が必要であるがこの内条件2の第一種動物取扱業者は、事業所や業種によっては都道府県知事か政令指定都市の長の登録を受けなければいけないのでわざわざ東京に来ているわけです。そして先ほど申請を終えてちょっと新宿を観光しながら新宿駅を使って実家のあるグンマ―じゃなくて群馬県高崎市に帰ろうと思っているわけなんですがあるものを見つけてしまったのでちょっと帰るのが遅くなりますが可憐ちゃんが好きだった猫の写真を送りますのでご容赦ください。」兎月蓮より。「……」所々ふざけたような文章を見てこれ書くの最後の方だけでいいだろと思ったり、封筒いっぱいに入った野良猫の写真はありがたいと思ったりした可憐なのであった。第一章迷宮駅新宿 卯月蓮は迷っていた。というのも、先ほどの手紙にも書いてあった通り、すこし東京に滞在することにしてから、今日で十四日東京に出発する一日前に小説作家が集まるチャットサーバーで流れてきた新宿駅に出没する白い兎の噂を聞き資格獲得ついでに近くのホテルで十四日間探し回っていた。当然、その兎の噂はデマやただのコメントだとチャットサーバーのみんな思っているのが殆どだった。しかしサーバー内には会社の部下百名を率いてオーストラリアの街中で兎狩りをする奴もいるし、兎月の友イヤマラさんこと藤原無月さんみたいなまとも枠の皮をかぶった変態もいる。ちなみに白い兎が新宿駅に出没する話をしたのはゼフィさんという人で、ゼフィさんは数ヶ月に一度開催される短編小説の朗読会で朗読する役がゼフィさんである。ゼフィさんが言うには終電が通る直前、新宿駅で迷ってしまったときに改札の隙間を駆けていく白い兎を見たというのだ。そんなわけで卯月蓮は新宿駅で毎日終電の時間に改札で白兎が現れるのを待っているのである。だが流石に十四日連続で白兎が現れるのを待っているのは例え超ド級の兎好きである蓮でも厳しいもので今日現れなければ明日の始発で帰ろうと思っていた。そして駅の窓から終電が出発したのを見て、やっぱりデマだったんだなと思い泊まり込んでいたホテルに向かって歩き出す。瞬間、通路の端に光るものを見た。きらりと光るそれは黒いものをぽろぽろと落としながらぴょんぴょんと飛び跳ねて去って行った後に落ちていた黒いものをティッシュペーパーでくるんで取ってみるとアイヌの言葉でオソマ、日本語で言うところのうんこだった。糞が落ちているということは近くに落とし主の住処がいるということである。そして落ちていた糞の大きさ、ころころとした形から兎の糞であるということがわかる。ということは…と角から覗いてみると白い兎がひくひくと鼻を動かしている「あの噂…本当だったんだな」そう小声で言いながらも気配を殺し油断する時を待つ確実に捕まえるために…確か兎は上から棒で上から突くと隠れようとして動かなくなる習性があるはずなのだが、明らかに警戒しながら周囲の様子をうかがっている。一歩踏み出した瞬間落ちていたお菓子の袋を踏んでしまった。袋を踏んだ時の音が聞こえたのがこちらに木が付いたのか白兎がだぁっと走り出してしまう。「あっ!逃げた!」まさかそんな早く逃げると思っていなかった蓮は初動が少し遅れながらも持ってきた網を逃げる兎に向かって放り投げて

捕まえる。網を使った猟は普通免許がないと使えないが、住んでいるところには猟友会の支部があったためとシカなどのジビエ肉好きな友人がいるので罠猟の免許を取ったわけである。あれ?街中で猟ってやっていいの?と思った人もいるだろう。もちろん許可を取らずに街中でするのは違反なので皆さんはやらないようにしようね。さて、目標目掛けて飛んで行った網はどうなったかというと、兎を捕らえていた。

網の中で逃げ出そうとバタバタと動き回る兎

「よし!捕まえたぁ!」やっとの所で兎を捕まえた蓮だったが。駅のどこからかコツコツと革靴で歩く音がする。警備の人かと思ったが、それにしては音が多すぎる。そして反響する音の大きさと回数から10人以上の人がいると思われるが、この時間にそんな大人数で来るとは思えない。一応、本当に警備員だった時を考えて、迷い込んだ一般人を装うため兎を隠しておく

「.....熱源反応はこの辺りの筈だが....」


「あれは....前にオフ会で会った」

確か...ユーザー名Kボーンステーキさんだっけか

でも何でこんなところに...

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