卒業検定
車に乗ることは便利な反面、危険がいっぱいだ。
例えば……。あれ? 今日は違う? 卒業検定に来た? そ、卒業か早いな。え、乗りたいの? 車に? マジか、俺の教習に当たったヤツはみんな見事にやる気をなくしていくもんだが……。まあ一応ここまで来たのは喜ばしいことだ。スーパーセーフティマインドを持ったドライバーが誕生するわけだからな。
ここまで教習を受けてきたけどどうだった。え? 他ではやらない項目もあった? そんなことはないと思うぞ。気のせいだ。
さあ、行ってみよう。
今日はよく晴れている。風が少し吹いているくらい。ドライブ日和ってやつか、何も起きなければな。え? 何も起こさせない? 頼もしいこと言ってくれるじゃないか。
まっすぐ進んでいく。おっと、ここからは俺は黙っておくのだった。見守っておくぜ。
――車はスムーズに進んだ。見通しの悪い横断歩道で、おばあちゃんを危うく跳ねそうになったが、なんとかギリギリ止まることができた。さすがのディーラーでさえホッとしているくらいだった。なんとか合格かと思われた。あの交差点にたどり着くまでは。
こんなにスムーズに行くとはな。恐ろしいぜ。さあこの交差点を右に曲がればゴールだぞ。おお、最初の交差点じゃないか。懐かしい。さあ、曲がろう。横断歩道に気を配って――。
「見つけた! あいつだ!」
やっと見つけたぞ。横断歩道を渡っている黒い服の男。コイツだ。間違いない。情報通りだ。キミ、ここで止めてくれないか。ちょっと過ぎ去らないでくれ。何?試験中だからって? それどころじゃない。ああ、憎い。あいつが‼ あいつが‼ いなければ!! 今すぐにでも轢き殺したい! ミリーとフロンがやられたように! あいつにも!この身が朽ち果てようとも、奴を奴を!
おい、この野郎貸せ! 手を離せ! 俺が操作する! 試験は中止だ。アクセルを踏むな。俺の足元にはブレーキがあるんだ。無駄な真似をするな。抵抗するのか‼ ならお前も敵だ! この! ふん! ああ!
お前も殺してやる、道連れだ! 一緒に突っ込むんだよ。おのれ、この! あ
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