第18話 バード


ゲール語の歌うたいが

歌っていた


始めて桟橋を渡った少女のこと

母と子の別れ

まとまってバッと生える草のこと


恋人を思う人の

海ぐらいの大きい気持ち

砂のなんとか



周りにいた人人人が

だんだんと船をこぎだした

多分ゲール語の国に

出発している



目はメロディーを

追いかけて閉じてなんか

いられなかった



ゲール語の歌い手は

美味しいお茶の話もした



お茶を一袋買って

飲んでみた

冬はすぐにコップが冷える


氷のようになったミルクティー

最後の一滴まで

お茶の香りが豊かで

ゲール語の歌い手の

言っていたことをけっこう

思い出せた



ゲール語の香りたゆたう朧月

          コヒノム






真知子の歌人への道はまだ始まったばかりだった




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