第6話 白河さんと二人で夜ご飯


 「あっ、出てきたーっ! お風呂上がりで、……うーん、なんかエロいねっ? ププッ」


 照れる事も無く、白河さんはテーブルに料理を並べていた。


 「ホントは、一人で食べるつもりだったから、手の込んだ物作ってないけど、一緒に食べた方が美味しいかなって」


 白河さんは、そう言って大皿にガッツリ乗った回鍋肉を出した。


 「うわっ、美味そう! 回鍋肉ってなんて幸せな匂いなんだ!」


 「味噌汁も作ったから、コレ、今日はいらないわよねっ」


 さっきコンビニで買った、インスタントの味噌汁を指差して言った。


 「タッパーにおかず詰めてくれるんだと思ってたからこの前食べた時、『味噌汁欲しいなぁ』って」


 「清澄くんがイヤじゃなければ、時間が合う時一緒に食べようよ」


 「ぜっ、是非お願いしますっ!」



 「その代わり……、あっ、冷めないウチに食べよ、食べよ」


 「いただきまーす!」

 「はーい、召し上がれっ!」


 山盛りご飯に、アツアツの回鍋肉、育ち盛りの俺にはこの上ないご馳走だ!


 「味付けは市販のだから、簡単に出来ちゃうよねっ」


 「でもっ、ウマいっ! キャベツとか、シャキシャキだし! あーっ、ご飯がすすむっ! 味噌汁は……豆腐とワカメっ、一番好きなヤツーっ」


 「あははっ、喋りながら食べてるっ、しかも、早口だしっ? 清澄くん見てるだけで、お腹いっぱいになっちゃうよー。……でも、こんなに喜んでくれると嬉しい」



 ……ん?



 何かドキッとした。

 ……言い方悪いけど、こんな寝癖ですっぴんメガネ女子の笑顔に胸が高鳴った。



 まぁ、それよりもご飯が美味い!


 「おかわりあるわよっ!」


 白河さんは、定食屋のおばちゃんの様に手を出してきた。


 「いただきますっ」

 茶碗を差し出しながら、


 「あっ、食費と材料費は俺が出すんで、そこは、甘えられないです」


 「うーん、……それじゃ、その代わりに、一緒にご飯食べる時だけ、私の話相手になって欲しいんだけど?」


 「……」


 「仕事の愚痴とか、色々な事、友達とかに言えない事を誰かにぶちまけたいのよっ! 無理を承知で、……ダメかな?」



 「……そんな事でいいんですか? そんなのウチ、母子家庭で妹も居るから、いつも女の人のそんな話ばっかり聞いてましたよ。それだけで、こんな美味いご飯が食えるなんて、夢みたいだっ!」



 「それじゃー、契約成立だねっ!」



 「あと、……もう一つ、これはお金払うから……、私の部屋、……掃除して欲しいの」


 「はつ、なんで?」


 「私、料理は出来るんだけど……、見ての通りズボラで、片付けとか全っ然出来ないの。だからもう足の踏み場も無くて、業者に頼むとか無理だし困ってたのよ。そしたら清澄くん掃除のバイトしてるって、それに、この部屋見たらもう、ねっ?」


 「うーん、それじゃ今日までの食費と手間賃で、今度の白河さんの休みの日に、気合い入れて、やってやりますよーっ」


 腕に力こぶを作って鼻息を荒くした。



 「ありがとう、助かるっ、うんっ!……その位気合い入れないとマズいレベルだから、覚悟してねっ!」



 「あの、……多分だけど、洗ったままの服とか、脱ぎっぱなしの下着とかは、何とかしておいて下さい」


 「なんでわかるのっ? ……それだけは、何とかします」


 恥ずかしそうにうつむいた。


 「私、週休二日だから、土日休みよ、今日は、たまたま有給取ったから、……今度の土曜日、空いてる?」


 「日曜日は、妹が来るから無理だけど、土曜日なら大丈夫です!」



 「それじゃ、大変だろうけど、宜しくお願いします! キレイになったら、清澄くんの好きなモノ作っちゃうよっ!」


 メガネの奥からウインクして言った。



     ※※※※※※※※


 ♪読んで頂きありがとうございますっ♪


 清澄くんにお部屋の掃除して欲しいっ!


 ……って思った方、★♡、応援コメント宜しくお願いします♪

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