栗の木さんへ

工場裏の栗の木さん

青くて ふわりと 

しげる葉は 六月半ば

白い花を 咲かせるの


あの可愛らしい 白い花

どうしてあんなに 臭いんだろう

みんなが みんな しかめっつら


工場裏の栗の木さん

ふと気になって 見つめていたら

写真を撮ってと 声がした


そらみみ そらみみ

超感覚的知覚 

あの子の声よ きっとそう


夏になると 緑のいがいが

大きくなって


秋になったら 茶色のいがいが

栗の実 栗のみ 美味しいよ


ある日 工場裏の栗の木さん

残されてたのは 切り株ひとつ

わたしの前から 姿を消して

いったい どこへと 旅にでた


悲しくって 悲しくって 

涙が流れて とまらない    


工場裏の栗の木さんは

伐採されて 死んじゃった


もう二度と 

あの栗の木さんには

会えないんだ


別れをちゃんとしたかった


息をしてる栗の木さんを

人の勝手で切っちゃうなんて

なんだか それは

悪魔の仕業


さようなら……。

工場裏の栗の木さん🌰🌲



追伸

工場裏の栗の木さん

君の最後の晴れ姿

私のスマホに撮りました





















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