Day2

 葬式で会った叔母さんが僕にリンドウを買ってきてくれた。これから、田舎に戻るらしい。めったに会わない叔母さんが僕の顔を見て不機嫌そうに呟く。


「あなたが一人で暮らすことに私は何も言わないけどね。部屋の片づけの手伝いはしなくても大丈夫なの?」


「大丈夫だよ」


 叔母さんは僕のことを気味悪そうに見た。いや、部屋を見まわしたのかもしれない。心なしか、僕のアパートから出て行くときは早足だった。きっと流木のアート作品より、リンドウの方が多かったことが気持ち悪かったのだろう。今は各部屋のいたるところに置いている。一輪挿しだと寂しいので花束で飾っている。


 美香の仏壇は現代仏壇にした。屏風のように棚に置くだけの簡易的なものだ。仏壇の中の祭壇のようなものはない。その代わり、周囲には自由にアレンジができる。僕は迷わずリンドウを置いた。リンドウで埋め尽くした。誰も美香の仏壇だとは思わないだろう。はじめは美の遺影を中心にリンドウを並べた。なんだか物足りない。そうだ、鉢で買ってこう。美香も喜ぶはずだ。ベランダで栽培するのもいいかもしれない。彼女に会えるような気がする。

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