概要説明!なのじゃ!

第3話 1/2

「え〜と。整理すると……」


 何度も質問してやっと状況が分かってきた。


「お前があの祠に封印されていたカミサマで、名前はカノガミ」


「そうじゃ。茶」


 言われるがままに緑茶をいれた。


「お前は時を操るカミサマってことだよな?」


「そうじゃ。茶菓子」


 言われるがままにカントリーマ○ムを出した。


「そして、本来車に轢かれるはずだった俺と小宮を助けてくれたのはお前ということか」


「そうじゃ。うんまぁ!?」


 カノガミは皿に盛ったカントリーマ○ムを全て平らげた。


「アレはどうやったんだ? 時間を戻したのか?」


「いや、全ての時を戻すのはめっちゃ大変なのじゃ。じゃからオヌシの意識だけを1時間前に送った。なぁ? もうこの茶菓子は無いのか?」


 カノガミはキッチンを荒らし出し、ポッ○ーの箱を勝手に出して来た。


 それは俺が楽しみにしていたポッ○ーだぞ!


 それにしても……。


「俺の意識だけを? それって……」


「な〜んかウチの知っとる白水しらみずじゃないのぉ。ケッタイな家にケッタイな乗り物……服だけは可愛いから許すぞ♡」


 コイツ……せっかく状況を整理してるのに余計なことばっか言ってくるな。語尾にハートマークを付けてくるのも地味にムカつく。


「ここはお前がいた時代から何百年も経った時代で」


「みなまで言うな!」


  説明しようとした所を手で遮られる。


「ウチもそろそろ面倒じゃなぁ〜と思ってたのじゃ。いちいちリアクションするのも疲れちゃうんじゃもん」


 カノガミが目を閉じる。


 力を込めているような雰囲気だ。何かやるつもりだろうか?


 うっすらとした光が彼女の全身を包み込む。


 すると、その長い髪がさらに伸び、空中をウネウネと動いて俺の頭に巻き付いた。


 何これ!? 見た目がめちゃくちゃホラーなんですけど!?


「む」


 カノガミは目を閉じたまま眉をひそませた。


 俺の頭に巻き付いた髪がドクドクと何かを吸い取るように脈打つ。


 やめて!? 俺からなんだか分からないものを吸い取らないで!?


「おぉ! 分かる。分かるぞ。この時代のことが手に取るように分かる! ジュンの知識から読み取ることができるのじゃ!」



 カノガミがビシィッ!と蛍光灯を指刺す。


「コレが電気!」


「おぉ!? 教えてないのに!」


「コレがマンガ!」


カノガミがテーブルに積んであった少年マンガを手に取る。


「コレがポッ○ー!」


 カノガミがポッ○ーを袋から取り出した。


「すげぇ! 便利な能力だな!」


「ポッ○ーうんまぁ〜。このマンガも面白いの。ジュン! 茶、入れてくれ」


「マンガ読みたかっただけかーーーい!?」



 コイツのペースにのまれちゃダメだ……なんとか話を戻さないと。


「ところで、お前が俺にやったこと。能力。それって『タイムリープ』のことだよな?」


「うむ。ウチもジュンの知識から読み解いたぞ。タイムリープの概念で相違無い。映画かなんかであったヤツじゃな」


「子どもの頃見たことあるヤツだ。当時は難しかったからよく分かんなかったけど」


 カノガミが急に真剣な表情になる。


「そう。ウチはお前を憑代よりしろに復活した。言わば一心同体。ウチの力はお前の力。ウチのタイムリープの能力を使えばお前はこの世の全てを手に入れられると言っても過言ではない。富・名声・女!! 全てが手に入るのじゃ!! どうじゃ男子おのこ足るもの喉から手が出るほど欲しい物ばかりじゃろ?」


 カノガミの表情が徐々に邪悪になっていく。やっぱりコイツは悪いカミなのか? 俺の心を惑わそうとしている気がする。


「それに、今回のように突発的な死すら回避できる! ……即死しなければじゃが……。そう! ジュンは無敵じゃ!! ウチと一緒におる限り!!」


「途中なんか変なのが挟まった気がするけど、お前の能力のおかげで俺も小宮も死なずに済んだ訳だし、凄い力なのは認めるよ」


「そうじゃろそうじゃろ? それに! なんと言っても!! この超絶美女のウチが一緒におるオマケ付きじゃ♡」


 カノガミが腰をくねらせポーズをキメる。


 悔しいがカノガミは確かに超絶美女。俺も健全な中学生男子。セクシーな女性との共同生活なんて心が踊らないはずがない。


 だが、なぜだ……。


 カノガミは俺と目が合うと、チロッと舌を出してウィンクしてみせた。


 なぜかめっちゃイラッとする……。


「ま、タイムリープする為に、ジュンの寿命を、タイムリープする、ウチがことになるが、些細な代償じゃろ?」


「は?」


「ほら、今日な、1時間タイムリープしたじゃろ? お前の寿命を1時間貰ってタイムリープしたのじゃ♡」



「なんだってええええええええぇぇぇ!?」



 代償が重過ぎた。

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