第34話 関係性

「これで言い逃れはできなくなった」

 日暮家に帰宅した三人。

 リビングに座るなり言葉を発したのはピジーだった。

「学校でも、<ベスティア>に襲われたっていう生徒もいるし……」

 首を傾げながらそう言う蓮人。

「ま、まあまあ、そんなに焦らなくてもいいと思いますよ」

 お茶が入ったコップを差し出すフェアリー。

「……のんきに言ってられるのも今のうちよ」

 ちょっと怖い顔をしながらも、お茶を受け取ったピジー。

「あ、そうだ。二人に訊きたいことがあったんだけど」

 と、話題を変えるように蓮人が、二人を交互に見ながらそう言う。

「あのスーツ男は何者なんだ?」

「ああ」

 飲んでいたお茶をテーブルに置き、こちらに向き直る。

「あいつが——魔人よ」

「な——なんだって!?」

 ピジーにそう言われ、蓮人は驚愕した。

「?そんなに驚く意味が分かんないんだけど」

「い、いやいや驚くだろ普通!ま、魔人だって?」

「ええ」

 真っ直ぐ蓮人を見ながら言う。

 そこで少し考える。学校での会話、そして今回の秋葉でのやり取り。

 ……まさか、ピジーと魔人は知り合いなのだろうか?

「まあ、遠い知り合いね」

 まるでこちらが思っていたことを分かったかのように、そんなことを言った。

「そ、そうか。……ええと、なんで知り合いなのに、あんな喧嘩みたいなことしてるの?」

「は?」

「あ、いや、なんというか……」

「私とアイツが、どうして知り合ったのかを訊きたいの?」

「……まあ、そうですね」

 自分は、果たして何が訊きたかっのだろう。少し思考がぐちゃぐちゃになってしまった。

 まあ、結果的に話は流れているようなのでいいとしよう。


「所々端折るけど、元々私たちは、魔界と一緒だったの。魔法学校っていうところに、アイツ——フォレストが講師だった」

「フェアリーもそうだったの?」

「まあ、フォレストの授業は受けてなかったんですけどね」

「こっちの世界で言うならば、教え子に当たるのかしら?」

「……なるほど」

 魔界と妖精界は一緒だった、という新たな事実を聞かされた蓮人だった。

 もちろん、新たな疑問は生まれる。

「なんで魔界と妖精界は分かれたの?」

「話が長くなるから言わない」

「えぇ……」

 話が長くなるという理由から、強制的に話を切られてしまった。

「それじゃあ、私は部屋に行ってるから」

 そう言ってピジーは、異色のやや長い髪を揺らしながら去っていった。






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